「絣の着物」

この話は私自身が体験したものです。

それはある夏の夜のことでした。

当時の私は、風呂のないオンボロアパートで一人暮らしをしていました。

そこから歩いて10分位の所に銭湯があり、夜中の1:00位まで営業してました。

その銭湯に行く途中にビルとビルとに挟まったトンネルのような小さな道がありました。

その道は大人ひとりが通れる程度で、すれ違う場合はお互い体を横向きにして通り、道の長さも
10メートル位の小さな道でした。

その出口の向こうには、車や人が行き来しているのが見えていて、一目瞭然
の道でした。

私はその日、銭湯の閉店時間が迫っていたため小走りで、トンネルのようなその小さい道に足を
踏み入れたのでした。

そして、道の半分位になったときに私は「ギョッ」として振り返ったのです。

そこには、絣の着物を着た5〜6歳の男の子がいたのです。

男の子は裸足で座っていて両手の指で目をふさいで泣いていました。

私は、夜中の1:00近くにこんな小さな男の子が・・しかも絣の着物なんていまどき着るか?

と思いながら、何よりも振り返って気がついたことに恐ろしさを感じたのです。

はじめから男との子がいたのなら最初から見えていたはずだろうし・・・

もしかして幽霊? 地縛霊?

と一瞬思いましたが、幽霊と思えない程リアルに私の目の前にその子はいたのです。

普通ならこんな夜中に男の子が泣いていたら、声をかけるべきなのでしょうが、その格好をみると私は躊躇してしまいました。

もしも声をかけて両手をあげたら「のっぺらぼー」とか・・・

そう思うと恐怖で体はすくんでしまいました。

とにかくリアルだったので、こんなリアルな幽霊はいないと自分にいいきかせ、その場を立ち去り銭湯に向いました。

銭湯の番台に座っているおじさんに絣の着物を着た男の子が泣いてたと話をしようかと思ったのですが、

「見たんですか!? あなたも!! でるんですよ。男の子の幽霊が。」

と言われたら私はその場で失神してしまうと思ってしまい、尋ねる勇気がありませんでした。

その数日後に、私は仕事先で「戦後の日本史」みたいな写真集に目を通していました。

するとそこに絣の着物を着た5〜6歳の男の子が写っていて、

私は

「この子だ!!」

と思ってしまいました。

いずれにしても、この男の子が何処のだれだったのかは分かりません。

また、幽霊だったのかもしれないし、違うかもしれないと思うことにしています。

謎は謎のままにしておいた方が良いと思っています。


その方が、気持ちが「楽」ですから
                                       〔 了 〕

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masayuki57
何故かひとよりも不可思議な体験をしているということに気がつき、せっかくだから公開しようと思いました。 よろしくね。
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