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短編小説


二色

 人には色がある。それはどこかで聞いた言葉だ。
赤、青、緑。
数え切れないほど様々な色がある。感情によってさまざまな表情を見せ、その姿は絶えず変化する。憎しみに彩られればどす黒く変色し、喜びで満たされていれば光り輝く。ただ、基となる色は一人に一色らしい。
私は何色なのだろう、敏子は思う。ただ、何色だろうと今、自分は光輝いているだろう。胸の鼓動が痛いほど聞こえる。幸福感で頭がクラクラしそうほど現実味がない。
控え室には両親がいた。似合わない礼服に身を包んだ父が初めて見せる泣き顔をくしゃくしゃにしていた。母は逆に笑顔を浮かべていた。いたずらっ子みたいに目を輝かせ、優しい瞳で私のことを見守っている。
呼び出しのアナウンスが掛かる。
さあ、時間だ。
私は父の腕をとる。泣きはらした父と目が合う。
「ありがとう」その言葉が自然と出てくる。こんなに心を込めて言ったのは初めてかもしれない。すこし父はビックリしたようだったが、涙を拭き寂しそうに笑った。
「ぶん殴るぐらいの権利はありそうだ」父は無理に笑みを作った。目の縁が赤いままだった。
一歩一歩足を進める。光と音楽に満ちあふれた会場が近づいてくる。
あの人が待っている。
そう考えるだけで足が軽くなる。たぶん、あの人の色も輝いているとおもう。私とあの人、そして会場の人たち。全ての色が私たちを祝福してくれるかのように輝いている。
案内係がとびらを開く。光の洪水。一瞬目がくらむ。光の先にあの人がいた。こぼれそうな笑顔を浮かべていた。私の大好きな笑顔だ。
そっとお腹を意識する。私とあの人。二色がまざった愛の結晶も私たちを祝福してくれているようにじんわりと暖かかった。
どんな困難も険しい道のりも乗り越えられる。自分一人では無理でも、これからは困難も幸せも二人で分かち合うのだ。きっと上手くいくはず。
私は最高の笑顔をあの人に向けた。世界は光に満ちていた。

プロフィール

ニックネーム
ケイロン
性別
血液型
A型
生年月日
19○○年5月23日
現住所
岡山のどこか
所在地
岡山のどこか
職業
教師っぽいこと
自己紹介
小説を読むのも書くのもすきなのでHPを立ち上げました。
お時間が許すのなら、作品を読み、感想でもいただけたら嬉しいです。

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