いつか出会うだれかのために(完結)
1章
家にたどり着いた光一は、すぐ部屋に直行した。ベッドに大きな体を投げ出すようにうつ伏せる。次から次へと涙が溢れてきて枕を濡らした。くやしかった。悲しかった。正直彼女がこんな事をするなんて思わなかった。しかし、自分の目の前で手紙は読み回されていたのだ。その事実が光一を打ちのめしていた。
かなりの時間がそのまま経過した。夕飯の時間などとっくに過ぎているのに光一を呼びに来る者など、いつものように誰もいなかった。
光一の両親は医者を生業としていた。しかし病院勤めは飽きたと言い出し、書置き一つで夫婦共々カンボジアに行ってしまったのだ。後に残された光一と兄の洋介は呆然としたものだ。幸い、両親の蓄えがしっかり有ったため生活に困る事などなかった。しかし、遊び人の兄が家事などするわけなく必然的に光一任せになった。炊事、洗濯、掃除、何で高校生でこんな事までしなくちゃならないんだと思ったこともあるけれど、光一まで家事をしなかったら家が荒れ放題になってしまう。シブシブながらもこなしていた。おまけに兄の洋介は飯がまずかろうものなら容赦なく攻撃してくる。必死で練習した。そのおかげか高校生なのに料理はプロ級にうまくなった。洋介は家に帰ってきたりこなかったりまちまちなくせに、自分のご飯ができてないと猛烈に怒り出す。いつも洋介の分を作っていたのだが、やはり料理を食べないのはもったいない。そう思って二人分の食事を食べていた。そんな生活が一年。光一の体重は両親がいた頃は小太りだったのに、今でははっきりデブといえる。自分でも気にしてはいるのだがなかなか痩せられない。どうしても食べてしまうのだ。ダイエットをしても仕方がないといってすぐに諦めてしまう。その度に洋介にせせら笑われた。
「おい、メシできてね―じゃ……ん…?」
いつものように洋介がノックもせずに入って来た。今日は帰ってきたようだ。しかし、光一は顔を上げる気になれなかった。
「どうした? 光一?」
洋介の声が上から降ってくる。返事を返そうとするが喉が詰まって言葉がでてこない。人に見られたことによって、いっそう体が震えてしまった。
「ない……てんのか……?」
指摘された事で恥ずかしさが溢れてきた。感情の奔流が制御できない所まで昂ぶってくる。
「なんか、理由はわからんけど元気だせよ、男が泣くっていうのはみっともないぞ」
洋介のいつものからかいを含んだ声が聞こえてくる。その言葉を聞いた瞬間逆上した。
「ほっといてよ。兄ちゃんに何がわかるっていうのさ!」
「そりゃあ、わかんないさ。話してくれねえとな。ん? 言ってみ、すっきりするぞ。俺が聞いてやろうって言うんだからめったにないぞ」
洋介のからかい度合いがさらに大きくなった。いつもならこの位で身の危険を察知して相手をする事を止めるのだが制御できない。
「絶対、兄ちゃんにはわかんないよ! デブの気持ちなんかさ。太った事のない兄ちゃんなんかには絶対わかりっこない!」
普段絶対出さないような大声が響き渡る。そう洋介には絶対わかるはずなどない。同じ兄弟なのに彫刻のように整った顔と体をもつ洋介なんかにはわかるはずがなかった
「そりゃあ、わかるわけないさ。俺デブじゃないしさ」
腹が立って顔をあげる。人が落ち込んでいるのにそこまで言う事はないだろ。怒りのあまり睨みつけると、言葉とは逆に洋介の真剣な顔があった。
「お前が何に悲しんでいるのか知らないが、話してくれないとわかるわけがない。デブだろうがなんだろうが自分の気持ちは、所詮……他人にはわからない。話してみな。ちゃんと聞いてやるからさ。それに、泣いているよりは怒った方が、元気出ただろ」
洋介の予想外な言葉に毒気を抜かれてしまった。いつもからかうだけだった洋介が真剣な顔をしていた。目に真摯な色が宿っていた。それに触発されるように光一の重い口は徐々に開いていった。
かなりの時間がそのまま経過した。夕飯の時間などとっくに過ぎているのに光一を呼びに来る者など、いつものように誰もいなかった。
光一の両親は医者を生業としていた。しかし病院勤めは飽きたと言い出し、書置き一つで夫婦共々カンボジアに行ってしまったのだ。後に残された光一と兄の洋介は呆然としたものだ。幸い、両親の蓄えがしっかり有ったため生活に困る事などなかった。しかし、遊び人の兄が家事などするわけなく必然的に光一任せになった。炊事、洗濯、掃除、何で高校生でこんな事までしなくちゃならないんだと思ったこともあるけれど、光一まで家事をしなかったら家が荒れ放題になってしまう。シブシブながらもこなしていた。おまけに兄の洋介は飯がまずかろうものなら容赦なく攻撃してくる。必死で練習した。そのおかげか高校生なのに料理はプロ級にうまくなった。洋介は家に帰ってきたりこなかったりまちまちなくせに、自分のご飯ができてないと猛烈に怒り出す。いつも洋介の分を作っていたのだが、やはり料理を食べないのはもったいない。そう思って二人分の食事を食べていた。そんな生活が一年。光一の体重は両親がいた頃は小太りだったのに、今でははっきりデブといえる。自分でも気にしてはいるのだがなかなか痩せられない。どうしても食べてしまうのだ。ダイエットをしても仕方がないといってすぐに諦めてしまう。その度に洋介にせせら笑われた。
「おい、メシできてね―じゃ……ん…?」
いつものように洋介がノックもせずに入って来た。今日は帰ってきたようだ。しかし、光一は顔を上げる気になれなかった。
「どうした? 光一?」
洋介の声が上から降ってくる。返事を返そうとするが喉が詰まって言葉がでてこない。人に見られたことによって、いっそう体が震えてしまった。
「ない……てんのか……?」
指摘された事で恥ずかしさが溢れてきた。感情の奔流が制御できない所まで昂ぶってくる。
「なんか、理由はわからんけど元気だせよ、男が泣くっていうのはみっともないぞ」
洋介のいつものからかいを含んだ声が聞こえてくる。その言葉を聞いた瞬間逆上した。
「ほっといてよ。兄ちゃんに何がわかるっていうのさ!」
「そりゃあ、わかんないさ。話してくれねえとな。ん? 言ってみ、すっきりするぞ。俺が聞いてやろうって言うんだからめったにないぞ」
洋介のからかい度合いがさらに大きくなった。いつもならこの位で身の危険を察知して相手をする事を止めるのだが制御できない。
「絶対、兄ちゃんにはわかんないよ! デブの気持ちなんかさ。太った事のない兄ちゃんなんかには絶対わかりっこない!」
普段絶対出さないような大声が響き渡る。そう洋介には絶対わかるはずなどない。同じ兄弟なのに彫刻のように整った顔と体をもつ洋介なんかにはわかるはずがなかった
「そりゃあ、わかるわけないさ。俺デブじゃないしさ」
腹が立って顔をあげる。人が落ち込んでいるのにそこまで言う事はないだろ。怒りのあまり睨みつけると、言葉とは逆に洋介の真剣な顔があった。
「お前が何に悲しんでいるのか知らないが、話してくれないとわかるわけがない。デブだろうがなんだろうが自分の気持ちは、所詮……他人にはわからない。話してみな。ちゃんと聞いてやるからさ。それに、泣いているよりは怒った方が、元気出ただろ」
洋介の予想外な言葉に毒気を抜かれてしまった。いつもからかうだけだった洋介が真剣な顔をしていた。目に真摯な色が宿っていた。それに触発されるように光一の重い口は徐々に開いていった。
プロフィール
- ニックネーム
- ケイロン
- 性別
- 男
- 血液型
- A型
- 生年月日
- 19○○年5月23日
- 現住所
- 岡山のどこか
- 所在地
- 岡山のどこか
- 職業
- 教師っぽいこと
- 自己紹介
- 小説を読むのも書くのもすきなのでHPを立ち上げました。
お時間が許すのなら、作品を読み、感想でもいただけたら嬉しいです。
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