いつか出会うだれかのために(完結)
2章
「兄ちゃん、くやしい……、くやしいんだよ…。こんな自分なんていやだ! 変わりたい…変わりたいよぉ……」
あの後、起きあがりリビングで話し込んだ。河井京香に告白した事。それがこっぴどく裏切られた事。そして、それは自分がデブという事に起因しているという事。全てを言い終わり光一の口からは自然と悔しいという言葉が漏れていた。もし、自分が痩せていたら同じ振られるでも、もっと違ったかもしれない。また、もっと賢くてかっこよかったら京香は振り向いてくれたかもしれなかった。そう思うと悔しくて涙が出てきた。
洋介は光一の話を聞き終わると腕を組んだまま黙り込んだ。室内を静寂が支配する。洋介の何かを考える時の癖で宙を睨みつけていた。何もないところのはずなのに洋介には何かが見えているようだ。一度ゆっくり目を閉じた。考えがまとまってきているようだ。そしてカッと目を見開くと光一を見据えた。
「本当に悔しいと思うんだな?」
「うん……」
「今の自分がいやだっていうんだな?」
「…うん………」
その言葉を聞き終わるとまた洋介は目を閉じた。そして、こんど開けたときにはいつものからかうような表情が浮かんでいた。
「じゃあ、変わってみるか?」
「えっ?」
洋介が何を言っているのかわからなかった。どうやって変わるというのだ。ダイエットでもしろと言うのか。
「変わるって…どうやって? ダイエットでもすればいいの…?」
光一が自信なさげに言うと洋介の唇がつりあがった。
「あまい! お前ダイエットさえすれば本当に変われると思うか?」
「それは思わないけど、少しはましになると思うんだけど…」
その言葉を聞き、洋介の笑みはさらに大きくなった。
「そりゃあ、確かにましにはなるさ。だが、それだけだ。変わったって言えるか? 言えないだろう。だいたい、ダイエットさえすれば美人になれるなんてのは女の幻想だ。元の顔が悪ければ痩せた分、その悪さが目立つだけだしな。お前は悪い事に両親の悪い所ばかり似てしまった。おふくろの低い鼻。親父のはれぼったい目。それじゃあ、痩せてもどうもならない」
「じゃあ、どうやっても…僕は変われないっていうんだね…」
あんまりな洋介の言葉を聞きうつむく。わかっている現実だが言葉にされると痛い。両親のいい所だけを受け継いだ洋介は肉親の目から見てもかっこよかった。たぶん、自分は一生こんな風にはなれないと思う。光一は力なく視線を落とした。
「おっと、勘違いするなって。俺が言いたいのはダイエットだけじゃだめだってことさ。やるんなら徹底的にしろって事。つまり、整形しろって事さ」
「せ、整形…?」
光一が唖然とした声で聞く。それに洋介は大きくうなずいた。
「そう整形だ。もちろんそれでけじゃダメだがな。お前、いい男ってどんな定義か知っているか?」
「えっ、やっぱしかっこいい人とか」
「違う!かっこいいのは当たり前だ。知識、教養、センスすべてが揃っていて自分の分を心得ている奴。そんな奴をいい男と言う」
本当にそんな奴がこの世の中にいるのかと光一は思った。しかし、兄の会話にヘタにわりこもろうものなら危ういのは自分の身だ。すっと目線を下げる。洋介のいい男論はどんどん白熱していった。ファッションに優れているとか女性を喜ばせるとか。そこまで行くと人間じゃないだろうと言いたかったがお構いなしだ。光一はもう半分も聞いていなかった。だから次のセリフに驚いた。
「という男に今からお前がなるんだ」
「えっ……………」
頭の中が真っ白になった。何を言っているのかとギョッと見つめる。
「そんなの無理だよ」
光一が当然のように言う。当たり前だ。そんなスーパーマンに成れるわけがない。光一はうつむいた。
「お前、悔しいんじゃなかったのか?」
真剣な目をして見つめてくる。言い訳は許さない。強い意志がこもっていた。
「さっき言ったろ。変わりたいって言ったろ。こんな自分いやだって。思い出せよ。お前がどうしてそんな事を思うようになったのか、それを思い出せよ」
洋介の言葉が胸を打つ。もしも違う自分だったらこんな目にも遭わなかったかもしれない。そう思うと胸の奥にくすぶっていた感情が再び燃え上がってきた。馬鹿にしたような笑いを思い出す。そう、変わるのだ。そして見返してやる。光一の目に覇気が宿った。そこには、今までの気弱な青年はいず目標を定めた一人の男がいた。
そんな光一を見て洋介はにやりとわらった。
「やるからには中途半端はなしだ。俺について来い!」
「うん、兄ちゃん!」
洋介は口の前でチッチッと指を振り、シニカルに笑った。
「師匠とよびな」
「はい……、師匠!」
こうして加藤光一改造計画がスタートした。
あの後、起きあがりリビングで話し込んだ。河井京香に告白した事。それがこっぴどく裏切られた事。そして、それは自分がデブという事に起因しているという事。全てを言い終わり光一の口からは自然と悔しいという言葉が漏れていた。もし、自分が痩せていたら同じ振られるでも、もっと違ったかもしれない。また、もっと賢くてかっこよかったら京香は振り向いてくれたかもしれなかった。そう思うと悔しくて涙が出てきた。
洋介は光一の話を聞き終わると腕を組んだまま黙り込んだ。室内を静寂が支配する。洋介の何かを考える時の癖で宙を睨みつけていた。何もないところのはずなのに洋介には何かが見えているようだ。一度ゆっくり目を閉じた。考えがまとまってきているようだ。そしてカッと目を見開くと光一を見据えた。
「本当に悔しいと思うんだな?」
「うん……」
「今の自分がいやだっていうんだな?」
「…うん………」
その言葉を聞き終わるとまた洋介は目を閉じた。そして、こんど開けたときにはいつものからかうような表情が浮かんでいた。
「じゃあ、変わってみるか?」
「えっ?」
洋介が何を言っているのかわからなかった。どうやって変わるというのだ。ダイエットでもしろと言うのか。
「変わるって…どうやって? ダイエットでもすればいいの…?」
光一が自信なさげに言うと洋介の唇がつりあがった。
「あまい! お前ダイエットさえすれば本当に変われると思うか?」
「それは思わないけど、少しはましになると思うんだけど…」
その言葉を聞き、洋介の笑みはさらに大きくなった。
「そりゃあ、確かにましにはなるさ。だが、それだけだ。変わったって言えるか? 言えないだろう。だいたい、ダイエットさえすれば美人になれるなんてのは女の幻想だ。元の顔が悪ければ痩せた分、その悪さが目立つだけだしな。お前は悪い事に両親の悪い所ばかり似てしまった。おふくろの低い鼻。親父のはれぼったい目。それじゃあ、痩せてもどうもならない」
「じゃあ、どうやっても…僕は変われないっていうんだね…」
あんまりな洋介の言葉を聞きうつむく。わかっている現実だが言葉にされると痛い。両親のいい所だけを受け継いだ洋介は肉親の目から見てもかっこよかった。たぶん、自分は一生こんな風にはなれないと思う。光一は力なく視線を落とした。
「おっと、勘違いするなって。俺が言いたいのはダイエットだけじゃだめだってことさ。やるんなら徹底的にしろって事。つまり、整形しろって事さ」
「せ、整形…?」
光一が唖然とした声で聞く。それに洋介は大きくうなずいた。
「そう整形だ。もちろんそれでけじゃダメだがな。お前、いい男ってどんな定義か知っているか?」
「えっ、やっぱしかっこいい人とか」
「違う!かっこいいのは当たり前だ。知識、教養、センスすべてが揃っていて自分の分を心得ている奴。そんな奴をいい男と言う」
本当にそんな奴がこの世の中にいるのかと光一は思った。しかし、兄の会話にヘタにわりこもろうものなら危ういのは自分の身だ。すっと目線を下げる。洋介のいい男論はどんどん白熱していった。ファッションに優れているとか女性を喜ばせるとか。そこまで行くと人間じゃないだろうと言いたかったがお構いなしだ。光一はもう半分も聞いていなかった。だから次のセリフに驚いた。
「という男に今からお前がなるんだ」
「えっ……………」
頭の中が真っ白になった。何を言っているのかとギョッと見つめる。
「そんなの無理だよ」
光一が当然のように言う。当たり前だ。そんなスーパーマンに成れるわけがない。光一はうつむいた。
「お前、悔しいんじゃなかったのか?」
真剣な目をして見つめてくる。言い訳は許さない。強い意志がこもっていた。
「さっき言ったろ。変わりたいって言ったろ。こんな自分いやだって。思い出せよ。お前がどうしてそんな事を思うようになったのか、それを思い出せよ」
洋介の言葉が胸を打つ。もしも違う自分だったらこんな目にも遭わなかったかもしれない。そう思うと胸の奥にくすぶっていた感情が再び燃え上がってきた。馬鹿にしたような笑いを思い出す。そう、変わるのだ。そして見返してやる。光一の目に覇気が宿った。そこには、今までの気弱な青年はいず目標を定めた一人の男がいた。
そんな光一を見て洋介はにやりとわらった。
「やるからには中途半端はなしだ。俺について来い!」
「うん、兄ちゃん!」
洋介は口の前でチッチッと指を振り、シニカルに笑った。
「師匠とよびな」
「はい……、師匠!」
こうして加藤光一改造計画がスタートした。
プロフィール
- ニックネーム
- ケイロン
- 性別
- 男
- 血液型
- A型
- 生年月日
- 19○○年5月23日
- 現住所
- 岡山のどこか
- 所在地
- 岡山のどこか
- 職業
- 教師っぽいこと
- 自己紹介
- 小説を読むのも書くのもすきなのでHPを立ち上げました。
お時間が許すのなら、作品を読み、感想でもいただけたら嬉しいです。
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