いつか出会うだれかのために(完結)
3章
「お前にはまずこれに着替えてもらおう」
しばらく自分の部屋でごそごそやっていると思ったら、取り出したのは空手の胴着だった。
「兄ちゃん、いったい?」
バッシィィィン――
その瞬間、光一の頬に衝撃が走りぬけた。
「師匠って呼べと言っただろうが!」
洋介の手にはいつのまにか竹刀が握られていた。おまけに鉢巻とサングラスまでしている。
「いっ、いきなり竹刀ですか…?」
「口答えするんじゃない!」
さらに一撃がきた。光一は本能的に悟る。やばい、トリップしている。これ以上何か口を挟もうものなら変身する前に、あの世に強制送還されてしまう。
黙りこくった光一を見て、洋介は首を満足そうにうんうんと頷く。
「さて、お前が今からやる事は、ダイエットだ。さっきも言ったが、これは必須事項だ。いかに顔が良くても太っていては始まらない」
神妙に聞く。自分でもそれは最優先事項だと思っていたところだ。
「光一、おまえ体重何キロだ?」
「えっと、120キロかな」
洋介が信じられない言葉を聞いたようにのけぞる。
「そんなに有るのか!? よく床を踏み外さないなぁ」
さりげなく失礼な事を言ってくる。光一がむくれていると洋介がまた一つのアイテムを取り出した――体脂肪計だ。
「よしこれに乗るんだ。年齢、身長、着衣の重さを入力しろ」
「う、うん」
光一は年齢17歳、身長185cm、着衣量はだいたいで入力した。そして、おそるおそる体脂肪計に乗る。メーターがゆっくりと動いていく。固唾を飲んで見守る。結果が――出た。
「なんだ、これ!? さばよんでいたな、お前!」
メーターに表示されたの体重129キロ、体脂肪率39パーセントだった。うーむ、いつの間にまた太ったのか。二ヶ月前に計った時はもうちょっと痩せていたのだが。
洋介は少し途方にくれたような表情をした。しかし、何かを思い直したのかにやりと笑った。
「ふっ、やりがいがある奴だ。とりあえず、半分に減らすぞ!」
笑顔で無茶な事を言う。そんな事をしたら死んでしまう。当然の抗議をあげようとするがその前に鋭い視線で制されてしまった。
「変わるんだろ、だったらこの位、当たり前だぞ。」
そう、自分は変わらなくてはならないのだ。それなのに、これくらいの事で取り乱してしまうとは。光一は自分の事を恥じた。見返してやると言う気持ちがまた強く燃え上がってくる。うつむく光一を見て満足そうに洋介が頷く。
「わかってくれたか。これはあくまで始まりだ。お前のやる気が試されている。この程度ことで根を上げるようでは、この先、何も出来ない。ダイエットはただ痩せるだけではない。自分への挑戦と考えろ!」
一言一言が胸を打つ。自分への挑戦――そうなのだ。情けなかった自分を変える試練なのだ。そう思えば、ご飯も我慢できる。間食も我慢できる。光一はじっと洋介を見詰めた。真似ではない師弟愛が生まれた瞬間だった。お互い頷きあう。
「では、ダイエットのやり方を説明する。まず、身長と体重を比較するに体脂肪率の割合が多すぎる。これは中性脂肪のせいだ」
「中性脂肪?」
「うむ、主にコレストロールと共に成人病の元になったりするのがこれだ。肥満の奴が成人病になるって言う話はよく聞くだろ。たいていはこいつが原因だ」
「そんなものが…僕にいっぱいあるの?」
「ああ、放っておいたら三十過ぎる頃にはアウトだな。まあ、今のお前は成人病予備軍といったところか」
ガーンと光一の頭の中で鐘が鳴る。そんな状況に自分が陥っていたなんて。太ってるって見た目だけじゃなく、体にも悪かったなんて。光一はショックで固まってしまった。そんな光一を慰めるように洋介が口を開く。
「だが、安心しろ。まだ間に合う。ようはどうやって効率よくやせるかだ。ダイエットっていうのはどうやってする?」
「えっと、食べなかったり。運動したりするとか…」
今まで試したことがあるものを恐る恐る言う。
「半分当たりで半分はずれだ。いいか、ダイエットとは基本的に摂取カロリーより消費カロリーを大きくする事だ。だから、食べなくても運動しなければ効果は半減だ。その逆も同様の事が言える。ここまでは、わかるな?」
「うん…」
「つまり、この両者を計画的に実行してやることに意味がある。ダイエットには無理は大敵。いかに計画的に進めていくかが成功の鍵と知れ!」
「はい!」
光一は気合を入れて返事をする。しかし、なんでこんな事まで知っているのだろうか。まったく洋介には縁がなさそうな世界なのに。そう思って質問する。
「ん? そうだなぁ…、博識はいい男の条件だからな」
にやっと笑いそう答えた。なんだか、かわされた気がした。さらに問い詰めようとするが洋介にさえぎられる。
「では、お前の場合のダイエット方法を言う。まずは食事制限をする。といっても普通に一人前は食べさせてやる。ようは摂取カロリーを少なくする事が狙いだ。だからキノコや山菜などカロリーが少なく栄養バランス優れたもので組み立てていき、しっかり食べる。食べれないって事は気力や、やる気を削いでいくからな」
「はい!」
「次に運動だ。食事を取る分、こっちは激しくする。主に有酸素運動と筋肉トレーニングを併用する。脂肪が燃焼し始めるのが運動を始めて二十分くらいだ。だから最低毎日二時間は走ってもらう。その際ウーロン茶を飲むことを忘れてはならない。中性脂肪を分解する働きがあるから、飲むと飲まないじゃ大違いだ」
「ウーロン茶ってそんなに体にいいんだ?」
「ああ、ウーロン茶を毎日飲む中国福建省の住人は、明らかに他の地域の者より中性脂肪が少ない。これはウーロン茶が脂肪を燃やしてくれるからなんだ」
「へぇー」
洋介の博識ぶりに驚く。まったくどこからこんな知識を仕入れてくるのだろうか。
「話がそれてしまったな。次は筋トレだ。だいたい週に三回くらいのペースで行う。これは筋肉の超回復を考慮してのことだ。さらに有酸素運動と併用する事によって確実に効率が良くなる。これの利点は二つある。一つ目は筋肉の付きかたが格段にアップする。もう一つは脂肪と筋肉が入り混じる、いわゆる霜降り肉にならないことだ。この状態になるとたとえ痩せても体が太く見える。俗にいう筋肉太りだな」
ふうっと大きく深呼吸する。さすがに一気に話しすぎて疲れたようだ。洋介はキッチンまで行き水を一口含んだ。ゆっくり喉が嚥下する。
「以上が当面のお前の目標だ。だいたい一年を目安として計画する」
洋介が光一をじっと見詰めた。負けずに見詰め返す。胸の中に熱い物が込みあがってきた。
「ついてこいよ!」
「はい! 師匠!!」
洋介はニヤっと笑った。光一の顔にも似たような表情が浮かんでいた。
しばらく自分の部屋でごそごそやっていると思ったら、取り出したのは空手の胴着だった。
「兄ちゃん、いったい?」
バッシィィィン――
その瞬間、光一の頬に衝撃が走りぬけた。
「師匠って呼べと言っただろうが!」
洋介の手にはいつのまにか竹刀が握られていた。おまけに鉢巻とサングラスまでしている。
「いっ、いきなり竹刀ですか…?」
「口答えするんじゃない!」
さらに一撃がきた。光一は本能的に悟る。やばい、トリップしている。これ以上何か口を挟もうものなら変身する前に、あの世に強制送還されてしまう。
黙りこくった光一を見て、洋介は首を満足そうにうんうんと頷く。
「さて、お前が今からやる事は、ダイエットだ。さっきも言ったが、これは必須事項だ。いかに顔が良くても太っていては始まらない」
神妙に聞く。自分でもそれは最優先事項だと思っていたところだ。
「光一、おまえ体重何キロだ?」
「えっと、120キロかな」
洋介が信じられない言葉を聞いたようにのけぞる。
「そんなに有るのか!? よく床を踏み外さないなぁ」
さりげなく失礼な事を言ってくる。光一がむくれていると洋介がまた一つのアイテムを取り出した――体脂肪計だ。
「よしこれに乗るんだ。年齢、身長、着衣の重さを入力しろ」
「う、うん」
光一は年齢17歳、身長185cm、着衣量はだいたいで入力した。そして、おそるおそる体脂肪計に乗る。メーターがゆっくりと動いていく。固唾を飲んで見守る。結果が――出た。
「なんだ、これ!? さばよんでいたな、お前!」
メーターに表示されたの体重129キロ、体脂肪率39パーセントだった。うーむ、いつの間にまた太ったのか。二ヶ月前に計った時はもうちょっと痩せていたのだが。
洋介は少し途方にくれたような表情をした。しかし、何かを思い直したのかにやりと笑った。
「ふっ、やりがいがある奴だ。とりあえず、半分に減らすぞ!」
笑顔で無茶な事を言う。そんな事をしたら死んでしまう。当然の抗議をあげようとするがその前に鋭い視線で制されてしまった。
「変わるんだろ、だったらこの位、当たり前だぞ。」
そう、自分は変わらなくてはならないのだ。それなのに、これくらいの事で取り乱してしまうとは。光一は自分の事を恥じた。見返してやると言う気持ちがまた強く燃え上がってくる。うつむく光一を見て満足そうに洋介が頷く。
「わかってくれたか。これはあくまで始まりだ。お前のやる気が試されている。この程度ことで根を上げるようでは、この先、何も出来ない。ダイエットはただ痩せるだけではない。自分への挑戦と考えろ!」
一言一言が胸を打つ。自分への挑戦――そうなのだ。情けなかった自分を変える試練なのだ。そう思えば、ご飯も我慢できる。間食も我慢できる。光一はじっと洋介を見詰めた。真似ではない師弟愛が生まれた瞬間だった。お互い頷きあう。
「では、ダイエットのやり方を説明する。まず、身長と体重を比較するに体脂肪率の割合が多すぎる。これは中性脂肪のせいだ」
「中性脂肪?」
「うむ、主にコレストロールと共に成人病の元になったりするのがこれだ。肥満の奴が成人病になるって言う話はよく聞くだろ。たいていはこいつが原因だ」
「そんなものが…僕にいっぱいあるの?」
「ああ、放っておいたら三十過ぎる頃にはアウトだな。まあ、今のお前は成人病予備軍といったところか」
ガーンと光一の頭の中で鐘が鳴る。そんな状況に自分が陥っていたなんて。太ってるって見た目だけじゃなく、体にも悪かったなんて。光一はショックで固まってしまった。そんな光一を慰めるように洋介が口を開く。
「だが、安心しろ。まだ間に合う。ようはどうやって効率よくやせるかだ。ダイエットっていうのはどうやってする?」
「えっと、食べなかったり。運動したりするとか…」
今まで試したことがあるものを恐る恐る言う。
「半分当たりで半分はずれだ。いいか、ダイエットとは基本的に摂取カロリーより消費カロリーを大きくする事だ。だから、食べなくても運動しなければ効果は半減だ。その逆も同様の事が言える。ここまでは、わかるな?」
「うん…」
「つまり、この両者を計画的に実行してやることに意味がある。ダイエットには無理は大敵。いかに計画的に進めていくかが成功の鍵と知れ!」
「はい!」
光一は気合を入れて返事をする。しかし、なんでこんな事まで知っているのだろうか。まったく洋介には縁がなさそうな世界なのに。そう思って質問する。
「ん? そうだなぁ…、博識はいい男の条件だからな」
にやっと笑いそう答えた。なんだか、かわされた気がした。さらに問い詰めようとするが洋介にさえぎられる。
「では、お前の場合のダイエット方法を言う。まずは食事制限をする。といっても普通に一人前は食べさせてやる。ようは摂取カロリーを少なくする事が狙いだ。だからキノコや山菜などカロリーが少なく栄養バランス優れたもので組み立てていき、しっかり食べる。食べれないって事は気力や、やる気を削いでいくからな」
「はい!」
「次に運動だ。食事を取る分、こっちは激しくする。主に有酸素運動と筋肉トレーニングを併用する。脂肪が燃焼し始めるのが運動を始めて二十分くらいだ。だから最低毎日二時間は走ってもらう。その際ウーロン茶を飲むことを忘れてはならない。中性脂肪を分解する働きがあるから、飲むと飲まないじゃ大違いだ」
「ウーロン茶ってそんなに体にいいんだ?」
「ああ、ウーロン茶を毎日飲む中国福建省の住人は、明らかに他の地域の者より中性脂肪が少ない。これはウーロン茶が脂肪を燃やしてくれるからなんだ」
「へぇー」
洋介の博識ぶりに驚く。まったくどこからこんな知識を仕入れてくるのだろうか。
「話がそれてしまったな。次は筋トレだ。だいたい週に三回くらいのペースで行う。これは筋肉の超回復を考慮してのことだ。さらに有酸素運動と併用する事によって確実に効率が良くなる。これの利点は二つある。一つ目は筋肉の付きかたが格段にアップする。もう一つは脂肪と筋肉が入り混じる、いわゆる霜降り肉にならないことだ。この状態になるとたとえ痩せても体が太く見える。俗にいう筋肉太りだな」
ふうっと大きく深呼吸する。さすがに一気に話しすぎて疲れたようだ。洋介はキッチンまで行き水を一口含んだ。ゆっくり喉が嚥下する。
「以上が当面のお前の目標だ。だいたい一年を目安として計画する」
洋介が光一をじっと見詰めた。負けずに見詰め返す。胸の中に熱い物が込みあがってきた。
「ついてこいよ!」
「はい! 師匠!!」
洋介はニヤっと笑った。光一の顔にも似たような表情が浮かんでいた。
プロフィール
- ニックネーム
- ケイロン
- 性別
- 男
- 血液型
- A型
- 生年月日
- 19○○年5月23日
- 現住所
- 岡山のどこか
- 所在地
- 岡山のどこか
- 職業
- 教師っぽいこと
- 自己紹介
- 小説を読むのも書くのもすきなのでHPを立ち上げました。
お時間が許すのなら、作品を読み、感想でもいただけたら嬉しいです。
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