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手づくり線香

 
代表の父:久保田克彦は約5年前から線香を手づくりするようになりました。
理由は売っているものには化学成分が入っているし、何より手づくりすることで線香により心が込められるのではないか、と考えたからです。
 
線香の材料には「タブノキ」という広葉樹が使われています。タブノキは葉や木の皮を粉末にして水を加えることで糊のようなねばねばした状態になり、粘結剤として用いられています。
このタブノキは東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町の「町の木」に指定されています。このことから約900名の亡くなられた南三陸の方の供養にと現地の方に手づくりの線香を焚いて頂きたいと、父は慰霊の意味を込めて9月頃から線香を手づくりし始めました。12月に脳出血で入院するハプニングがありましたが、2012年には一人で千本を作り上げました。
 
またこの線香や線香を焚くことの意味について、東京麻布の香雅堂(http://www.kogado.co.jp/)店主の山田さまから温かいメッセージをいただきました。
多くの方に読んで頂き、日頃からなじみのある線香について再認識して頂いたり、日本が持つ歴史と風土を感じ取る機会となって頂ければ幸いです。
PDF(521KB)はこちらよりダウンロードできます。
 
 
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祈りのときに
― 千本の手作り線香 に寄せて ―
 
生きとし生けるものに等しく与えられているもの、それは、いずれ必ず命が尽きるという定めです。
知識として理解はしていますし、日常的に、実例に遭遇したりもします。
それが人である場合、高齢で命が尽きることを「天寿を全うする」とか「お迎えが来る」と表現したりもします。
そこには、与えられた命を精一杯生きることができたことに対する感謝の意が含まれているように思えます。
残された者は、逝かれた人が幸せな人生を送っておられたに違いないと信じること、その魂が安らかであること、そして自らも悔いなく何ものにも恥じることのない余生を生きることを願い、祈ります。
 
東日本大震災により亡くなられた方々にとって、命の尽き方は余りにも突然で理不尽で、受け容れることができないものであったことと想像します。
生き残った私たちは無力かも知れませんが、亡くなられた方々の無念に思いを馳せつつ祈りを深め、生きとし生けるものへの敬意と愛を深めることはできます。
「千本の手作り線香」には、そのような志が籠められていると感じています。
 
【祈りの象徴が、なぜ線香なのか。】
日本における香りの文化は、王朝時代の貴族文化を象徴する存在として『源氏物語』を誕生させる原動力となり、武家時代には精神生活の拠り所へと変容し、室町時代に至って「香道」という世界に類の無い芸道を成立させました。
そのような香りの文化が醸成された端緒は、“仏教の伝来” という歴史的な出来事に見出すことができます。それまで花や草木など身の回りの自然から感じられる匂い
しか知らなかった奈良時代の人々は、仏教の教えと共に、香木(伽羅・沈香・白檀)をはじめ東南アジアやインド・中国などに産出する数々の天然香料と出会うことになりました。それら遠路から届いた貴重な素材から作られた御香を焚くことが故人を弔い三宝(仏・法・僧)を敬う最善の供養となりました。
供養に欠かすことができない御香には、様々な内容や形状が見られます。
香木を塊のまま焚くこともありますし、小さく刻んで用いることもあります。香木に丁字や大茴香・桂皮などの香料を調合したものは「焼香」あるいは「抹香」と称されます。
現在御香として最も馴染みのある「線香」は江戸時代に開発された御香の形体です。これは読経が続く間、御香を絶やさず供え続けるために色んな工夫をした画期的な例の一つで、いくらかでも供養に集中して魂に祈りを届けたいと願った我々の先祖の気持ちを伺い知ることが出来ます。
 
【手づくり線香の価値】
点火すれば長い時間にわたり燃え続けてくれ、簡易で便利な線香には様々な種類が見受けられ、特徴や品質も多岐に亘ります。素朴な作り方しかできなかった江戸時代と異なり、現代では作り方も様々です。
最も一般的に出回っているのは、化学合成香料で味付けすることにより製造原価を抑え、大量生産されたものです。“純天然素材・無添加・無着色” にこだわるメーカーは極めて稀にしか存在せず、化学合成香料・染料を燃やすことによってどんな物質が放出されるのか、研究もさほど進んでいない現状です。
「千本の手作り線香」の意義は、自然の素材をそのまま用いて、人間の力で素朴に線香を手づくりしているところにも見出すことができるのです。
自然を大切にすることは、自然の一部である人間を大切にすることに繋がります。目に見えない微生物を含めて、全ての生き物が健全で互いに役立ちあう環境を維持することができなければ、やがては人間も滅んでしまう運命を辿ることでしょう。人類という一つの種が自らの罪深さによって滅ぶのは勝手かも知れませんが、何ら罪のない生き物たちを巻き込むことは、避けなければならないと思うのです。
“南三陸町の自然の賜物である手づくり線香に火を点し、立ち上がる一筋の紫煙に、それぞれの想いを託す” という試みに、多くの方々が参加されることを祈念してやみません。
 
 
平成24 年2月   
東京 麻布 香雅堂 
主人 山田 眞裕
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