キリ番
『レシピ』
キリ番600
出題者:茂藍庵 お題 :『レシピ』 キューピーをアクセントに。
前
『兄妹』
「さて##おにーちゃん##」
「なんだ##妹##」
「今日のお昼は私が作ろうと思うのですが」
「マジですか」
「マジです」
「お前料理なんて出来たっけ」
「何をおっしゃるウサギさん。料理くらい私の手に掛かればちょちょいのちょいってなもんですよ」
「よし。では今から料理に関する問題を出す。答えられたら作って良い」
「作ってもらう立場なくせになんて偉そうな。まぁいいでしょう。私の豊富な知識に戦慄したまえ」
「違う意味で戦慄しそうな気がするが。では第一問。
『鰹節に含まれる旨味成分はイノシン酸、では昆布に含まれるのは?』」
「い……井上さん?」
「第二問。『千六本とは?』」
「え、えと、千利休の弟子!」
「第三問。『桂むきとはどんな技法でしょう』」
「これはわかる!『いらっしゃ~い』」
「ええーと、二人分だから三千円もあれば……」
「やだーやだー作るー!」
「わかったわかった。は良いが何を作るんだ? それによっては俺は急用が出来てしまうが」
「それはやっぱり今時のおにゃのこらしく、オサレな感じの料理にしようと思ってるわけですよ」
「その台詞からしてすでに不安で一杯なのだが」
「今流行のBLTサンドとかオシャレっぽくない? ない?」
「ない。というか、いまBLTサンドとか流行ってないし。そもそもBLTってなんの略かわかってるのか?」
「えーと、B、B……ぶ、ぶたにく?」
「じゃぁLは?」
「れ、れとりーばー?」
「……T」
「ち、ちょんまげ!」
「ちょんまげ付けたレトリーバーがぶたにくガツガツ喰らうのか。というかぶたにく以外は食べ物ですらないが」
「れ、れとりーばーは頑張れば食べられるよ!」
「よし頑張れ。お隣から借りてくるから」
「ゴメンナサイ」
「そもそもレトリーバーはRだからその時点で間違ってる」
「じゃあ、Lっていうと……夜神月!」
「もういい。とりあえず素人が無理しても仕方ない。料理の本かなんかあるだろ。それ見ながら決めよう」
「ないよ」
「……は?」
「私がそんなものに頼る女だと思うのかね。自分のインスピレーションで勝負なのだっ!」
「ええーっと、味山亭の電話番号は……」
「やらせはせんっ!」
「……ハイキックはやめろとあれほど」
「だ・か・ら。今日のお昼は私がつくるの。どぅーゆーあんだすたん?」
「いえすあいどぅー。だから暴力反対。……しかし流石にレシピも何もなしに作るのだけは認められん。ええと、この時間だと……あ、キューピー三分クッキングをやってるな。これ見ながら作るぞ」
「他人の真似なんてしてたら一流の料理人にはなれないんだよっ。勝負はいつも己が身ひとつ!」
「一流の料理人になる前に人並みの女になれ。さてぽちっとな」
てれれっててててん。てれれっててててん。てれれっててててててってってってっ
「おお、始まった始まった。このOP、やっぱりテンション上がるなー」
「おっ、##おにーちゃん##がどうしてもって言うから見てあげるんだからねっ! 私は見たくなんかないんだからっ!」
「はいはいツンデレ乙。今日はいつもみたいに「おいしそー」とか言いながらのんきに見てられないからな。気合を入れていくぞ」
[キューピー三分クッキング] 配信終了しました
『寒い季節に体の温まるチャウダーは……』
ぷちっ
「ああっ!なんで消すのっ!」
「難しげな横文字の料理には手を出さない方が吉だ。さ、出かけるぞ。今日は特別に回るのでよければ寿司でも可だ」
「う……そ、そんな買収にはひっかからないんだから! 今日は絶対私が作るのっ!」
ぽちっ
『かきは身のふっくらとした大きいものをお選びください』
「##おにーちゃん##、かき用意!」
「急に言われてもある訳ないだろ。豚肉しかないぞ。しかもカレー用だ」
「う、やむをえない、それで可です!」
『かきは塩水で洗っていきます』
「##おにーちゃん##、洗っといて!」
「だからこれはかきじゃないんだが」
『ラップをかけて電子レンジ500Wで三分加熱してください』
「##おにーちゃん##レンジで三分!」
「番組終わるって。というか、レンジで三分でカレー肉に火が通るか?」
『こちらでタマネギをバターでいためておきました』
「##おにーちゃん##、炒めといたタマネギ!」
「ねーよ」
『そこにマッシュルームの四つ割りを加えます』
「マッシュルーム? あるのは……干ししいたけ? 代用!」
『このようにおいしいかきの蒸し汁ができていますので、この汁も鍋に入れて煮込みます』
「##おにーちゃん##、かき……じゃなくて豚肉の蒸し汁!」
「出ねーよ。というかまだ三分たってないし」
『にんじんとかぶの1.5cm角のものを加えて……』
「今から切るのかよ、おい」
『ふたをして、中火で20分から25分、野菜が柔らかくなるまで煮て下さい』
「「マテ」」
『けっこう時間をかけるんですね』
「「お前が言うな」」
『硬いにんじんにすっと竹串が入るくらいまで柔らかく煮て下さい』
「だから無理だ」
『野菜が柔らかくなったところで牛乳を加えてください』
「うう、野菜が柔らかくなるのを優先するべきか、牛乳を加えるのを優先するべきか……ええい、悩んでる暇はなーい!」
「ちょっ、まて!」
『牛乳が2カップです』
「あああ……」
『かきは始めにワイン蒸しにして、最後に暖める程度に加えるとふっくらと仕上がります』
「##おにーちゃん##、かき……でなくて豚肉とーにゅー!」
「いやだからまだ出来てないって」
『あまりぐつぐつ煮過ぎてしまいますと分離してしまうので、くつくつっときたら出来上がりです』
「はい出来上がりっ!」
「だから出来てない。ってゆーか豚肉生はヤバいって」
「……私もそんな気がした」
「もう少し煮とくか。牛乳が分離とか言ってられないしな」
「うん……使えないね、三分クッキング」
「ああ、使えないな、三分クッキング。そもそも何でキューピーなんだ。キューピーとマヨネーズにどんな関係があるってんだ」
「勝手に使ってるみたいだよ。で、訴えられたんだって」
※登録商標は取っているらしいです。
「マジか」
「うん。勝ったみたいだけど」
「はっはっはっ。キューピー面白すぎるぞ」
「もともとキューピーっていうのはアメリカの女の人がデザインしたものなんだって。日本では通天閣でネ申として祭られてるんだよ」
「……まて。それはビリケンさんだろう」
「え?ビリケンさんって何?」
「アメリカの女性がデザインした、頭がとがってて子供の姿の……」
「キューピーと何処が違うの?」
「そりゃ全然違……わないのか?」
「……でもこれ、どうしよう。牛乳も分離しちゃってるし、小麦粉も溶けないでダマになってるし。……もうたべものじゃないよね、コレ」
「ほれ、寄越せ」
「あ……」
「うん、確かに決して旨くはないが、なんとか火も通ってるし、食えないことはない」
「無理して食べなくても……」
「可愛い##妹##が生まれて初めて作った料理なんだ。無理してでも食わない奴は兄じゃない」
「もう……本人の前で無理して、とかゆーかな」
「こんなマズい料理を食ってくれる男は俺くらいしかいないぞ。急に料理とか言い出したってことは、食べさせたい男がいるんだろ。もっと頑張らないとな」
「他に、食べさせたい人なんて居る訳ないじゃない……バカ」
続き 『マフラー』
『ハロウィン』
『ひめはじめ』
『クリスマス』
『年賀状』
『四月になってもバカ』
『たなぼた』
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プロフィール
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- 未田 尚(まだ なお)
- 通称
- にゃー
- お仕事募集ちう。
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