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ひめはじめ

 

前   『兄妹』   『レシピ』   『マフラー』   『ハロウィン』 「おにーちゃんお年玉!」 「年越した瞬間それか。せめて明けましておめでとうくらい言え」 「おにーちゃんお年玉! ついでにあけましておめでとう」 「俺はお前をそんな風に育てた覚えは無いぞ。……ほら」 「なんだかんだ言ってちゃんと用意しといてくれるおにーちゃん大好き! 愛してる!」 「はいはいわかったわかった」 「えーっと、いくら入ってるかなー?」 「……せめて本人の目の前で開けるのは止めろ」 「毎年確実にレベルアップ、どーもありっす!」 「その分俺の懐へのダメージもレベルアップだ」 「うんうん、そうだろうと思って……はい、私からお年玉」 「目上に渡すのはお年玉でなくて御年賀だ。でもその気持ちは素直に嬉しいぞ。ありがとな」 「開けてみて開けてみて!」 「だから目の前で開けるなと今言ったばかり……でもまあ、本人が言うんだから開けてみるか」 「はいどうぞ! どう、嬉しい?」 「ぶっ……いや、現金じゃないのは予想通りだけど、えっと……なんだコレ?」 「肩でも腰でも腕でも脚でも、どこでも好きなとこを揉んであげる券!」 「あー……ああ! なるほど、そっちか」 「どっち?」 「あーいや、……えっとな、趣旨はわかるけど……『もみもみ券』とかいういかがわしい名前は何とかしろ」 「なして?」 「いや、なんというか。ええと、……馬鹿っぽいから?」 「むかっ、バカって言う方がバカだー!」 「わかったわかった、俺の方が馬鹿でいいよ。流石に今のは俺が悪い」 「うむ。今日のところはお年玉に免じて許してあげよう」 「やれやれ。……さて、無事年も越したことだし、そろそろ寝るぞ」 「いやいや甘いねおにーちゃん。せっかく年を越すまで起きてたんだから、やっぱり初日の出までは起きてないと!」 「とか言って、どうせ起きてられやしないくせに」 「ふーんだ。お子ちゃまじゃないんだから、そのくらいらくしょーです」 「そういうことはせめてBになってから言え」 「な! セクハラだ! 弁護士を呼べ!」 「風呂上りに裸でうろついてるくせに何を言う。むしろ毎日お前の貧相なモノを見せ付けられてることの方が、ずっとセクハラだ」 「ふーんだ。どんな格好で居ようが私の勝手ですー」 「やっぱりお前の基準はわからん」  「……」 「? どうした」 「……! うん! やっぱり日の出まで暇だね!」 「……今寝そうになってたな?」 「そんなことないよー! 無い、けど……でも暇だから、何かしようよ!」 「まぁよかろう。確かにこのまま面白くも無い正月特番見てても時間の無駄だしな。で、何をするんだ?」 「やっぱりお正月だから、それっぽいこと!」 「凧揚げとか羽子板とか? 家の中では無理だし、まだ暗いから外でも出来ないぞ」 「ふふーん。そんな子供の遊びしか思いつかないなんて、やっぱりおにーちゃんはお子ちゃまですねーw」 「じゃあ、お前は何する気なんだよ」 「二人で姫初め!」 「ちょ、おま……女の子がそんなこと言っちゃいけません! というかそれはまずいだろ流石に!」 「……えっと、姫初めって、お姫様みたいに着飾って初詣に行くことだよね?」 「え……あ、えっと……うん。そう」 「そのまま初日の出見られるし。……なんで言っちゃいけないの?」 「あー……それはだな、えっと……そう、自分で自分のことをお姫様なんて、イタい子みたいだろ?」 「んー……うん、そうかも。わかった。言わないようにする」 「はー。……全く、お前の相手してるとほんと疲れるよ」 「じゃあ元気になるように、姫初めの前にもみもみしとく?」 「あーもー! だからお前は!」 「あははー。おにーちゃん着付け手伝って!」 「ああ、わかった。……あ、ちょっと待て。胸に詰めるタオルをたくさん用意しとかないと」 「むきー! 着付けのタオルは豊胸用じゃなーい!」    『エイプリルフール』    『クリスマス』    『年賀状』    『四月になってもバカ』    『たなぼた』
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未田 尚(まだ なお)
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