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キリ番以外

『児童向け「旅」』

琢磨Pさんの誕生日リク お題  『児童向け』、『旅』、『幼馴染』

 きょうも けんたは しおりちゃんの おみまいに 来ていました。  しおりちゃんは、けんたの 家の ちかくに すんでいる 女の子で、いつも いっしょに あそんでいます。  でも からだが よわくて、ときどき こうして 入院して しまうのでした。 「だいじょうぶだよ。からだが よわい だけで、びょうきは たいしたこと ない から」  しおりちゃんは そう 言うのですが、けんたは まいにち 来ています。  びょうきが だいじょうぶでも、こうして 一日中 びょうしつに いるのは つまらない だろうな、と 思ったからです。 「そうだ、いいこと考えた!」  けんたが きゅうに 大きな こえを 出したので、しおりちゃんは びっくりしています。  でも それには かまわないで、けんたは つづけました。 「あした 来られないけど、ごめんな」  けんたはもう、じぶんの いい考えに むちゅうに なって しまって いました。  つぎの日の あさ はやくに、けんたは たびに 出かける ことに しました。  びょうしつで たいくつ している はずの しおりちゃんに、なにか すてきな ものを さがしてきて、プレゼント しようと 思ったのです。  いいものが 見つかれば、しおりちゃんは よろこんで くれる でしょう  そんな ことを 考えながら くつを はいていた 時 です。  けんたの つまさきに 何かが あたりました。  くつを ひっくりかえして、けんたは 出てきた ものを ひろい あげました。  こゆびの つめ くらいの 小さな石 です。ひょうめんが つるつるして ひかって いましたが、どこに でも ある ふつうの 石 でした。 「なんで こんなの が くつの なかに 入ってたんだろう?」  きのう くつを ぬいだ 時には こんな 石は 入って いませんでしたし、どこで 入ったのか ぜんぜんわかりません。 「ま、いいや」  なんとなく その石を ポケットに 入れると、けんたは あるき はじめました。  まず やってきたのは 海です。  海は ひろいし、そこで 見つけた もの なら、びょういんに いる しおりちゃん には いちばん いいと 思ったのです。  けんたは いっしょうけんめい さがしました。  しおりちゃんの ことを かんがえて さがしました。  ずいぶんと さがしつづけて みつけたのは、かわいい 貝がら です。  小さくて、白くて、かわいくて、しおりちゃんに あげるには ぴったりです。 「でも」  けんたは 考えました。 「でも、きょうの プレゼントには ならないな」  その かわいい 貝がらは、ふだん あげるもの なら ぴったり だった でしょう。  でも、きょうは しおりちゃんが びょうきに まけない ように あげる プレゼントを さがしに 来たのです。  これでは ものたりない 気が しました。 「海は もう さがした から、つぎは のはらへ 行ってみよう」  けんたは かわいい 貝がらを おいて、のはら へと 向かいました。  けんたは のはらに やって きました。  のはらは しぜんが いっぱい あるし、びょうきの しおりちゃんには いちばん いいと 思ったのです。  のはら には くさが いっぱいに はえていて、いちめん みどり色に そまっていました。 「そうだ、四つばの クローバーを 見つけると しあわせに なれるって 言うな」  しおりちゃんへの プレゼント には ぴったりな 気が しました。  けんたは いっしょうけんめい さがしました。  しおりちゃんの びょうきの ことを かんがえて さがしました。  長い じかんを かけて、たくさんの 中から やっと 四つばの クローバーを 見つけました。  びょうきが なおって ほしい しおりちゃんに あげる には ぴったりです。 「でも」  けんたは かんがえました。 「でも、きょうの プレゼント には ならないな」  しあわせの 四つばの くろーばーは、ぜんぜん すごいもの には 見えません でした。  しおりちゃんの ために こんなに じかんを かけて さがしたのです。  これでは ものたりない 気が しました。 「のはらは もう さがした から、つぎは 川へ 行ってみよう」  けんたは 四つばの クローバーを おいて、川へと 向かいました。  けんたは 川に やって きました。  川は 水も きれい だし、しおりちゃんに よろこんで もらう には いちばん いいと 思ったのです。  けんたは いっしょうけんめい さがしました。  しおりちゃんに よろこんで もらおうと さがしました。  ずいぶんと さがし つづけて みつけた のは、きれいな ほうせき です。  その ほうせきは とても きれいで、しおりちゃんに よろこんで もらう には ぴったりです。 「でも」  けんたは かんがえました。 「でも、きょうの プレゼント には ならないな」  きれいな ほうせきは 小さくて、けんたが 思っている しおりちゃんへの きもちの 大きさには、ふさわしく 見えません。  これでは ものたりない 気が しました。 「川は もう さがした から、つぎは 山へ 行ってみよう」  けんたは きれいな 石を おいて、山へと 向かいました。  けんたは 山に やってきました。  山は とても 大きくて、けんたが しおりちゃん への きもちの 大きさを しめす には いちばん いいと 思ったのです。  けんたは いっしょうけんめい さがしました。  じぶんが どれだけ しおりちゃんの ことを 思ってるのか わかって もらおうと さがしました。  ずいぶんと さがし つづけて けんたは たくさんの くだものを 見つけました。  りんごや ももや なしに すいか。ばななも あります。  りょう手で もてないくらい たくさん あって、けんたの きもちの 大きさ には ぴったりです。 「でも」  けんたは かんがえました。 「でも、きょうの プレゼント には ならないな」  たくさんの くだものは なんだか おんなのこ への プレゼントには あわなくて、これを あげても しおりちゃんが けんたの ことを 好きに なって くれる とは 思えません。  これでは ものたりない 気が しました。 「山は もう さがした から、つぎは まちへ 行ってみよう」  けんたは たくさんの くだものを おいて、まちへと 向かいました。  けんたは まちに やってきました。  まちには おしゃれな ものが たくさん あって、しおりちゃんに 好きに なって もらう には いちばん いいと 思ったのです。  けんたは いっしょうけんめい さがしました。  しおりちゃんが けんたの ことを 好きに なって くれる ようにと さがしました。  ずいぶんと さがし つづけて みつけた のは、おしゃれな ペンダント です。  ちょっと よごれて いるので 安く なっていて、けんたの おこずかい でも かえる ねだん でした。 「でも」  けんたは かんがえました。 「でも、きょうの プレゼント には ならないな」  おしゃれな ペンダントは、やっぱり お金で かえる ものです。  どうせ おかねで かった ものだ、なんて 思われる のは やっぱり いやです。  これでは ものたりない 気が しました。 「まちは もう さがしたから、どこか ほかの ところへ 行ってみよう」  けんたは おしゃれな ペンダントを おいて、ほかの ところへと 向かいました。  でも、どこに いって いいのか わかりません。  ほかに、プレゼントが ありそうな ところが 思い つかなかったのです。  それに もう、そらが ゆうやけで まっかに なっています。  そろそろ かえらないと、よるに なってしまいます。 「しかたない、ペンダントを かって かえろう」  けんたは まちへと もどりました。  でも、おしゃれな ペンダントは うれて しまった あと でした。  あたりは だんだん くらく なって きています。 「しかたない、くだものを もって かえろう」  けんたは 山へと もどりました。  でも、いくら さがしても たくさんの くだものは 見つかりませんでした。  あたりは どんどん くらく なって きています。 「しかたない、ほうせきを もって かえろう」  けんたは 川へと もどりました。  でも、いくら さがしても きれいな ほうせきは 見つかりませんでした。  あたりは ますます くらく なって きています。 「しかたない、四つばの クローバーを もって かえろう」  けんたは のはらへと もどりました。  でも、いくら さがしても 四つばの クローバーは 見つかりませんでした。  あたりは ずんずん くらく なって きています。 「しかたない、貝がらを もって かえろう」  けんたは 海へと もどりました。  でも、いくら さがしても かわいい 貝がらは 見つかりませんでした。  あたりは すっかり くらく なって きています。  けんたは とほうに くれてしまいました。  でも、ほんとうに くらくなる まえに かえらなくては いけません。  しかたなく、けんたは 何も もたずに うちに かえりました。  つぎの ひに なって、けんたは しおりちゃんの びょうしつに いきました。  ほんとうは いきたく なかったのですが、きのう 行かなかった のに きょうも いかないのは、なんだか いやだった のです。 「けんたくん、おみまい ありがとう。きのうは どうしてたの?」  けんたは しおりちゃんに きのうの はなしを しました。  とても はずかしかった のですけれど、うそを 言ったり ごまかしたりは したく なかったのです。 「そっか。けんたくんは だいぼうけん したんだね」  しおりちゃんは たのしそうに けんたの はなしを きいていました。  プレゼントが 何も ないと きいても、にこにこと わらって います。 「プレゼント よういできなくて ごめんなさい」  けんたが あやまると、しおりちゃんは あわてて 言いました。 「わたしの ために いっしょうけんめい さがして くれたのが うれしいの。それに、けんたくんは まいにち おみまいに きてくれる から、ぜんぜん さびしく ないよ」  けんたは じぶんの からだじゅうを しらべました。なんでも いいから、なにか プレゼントを あげなくては と おもったのです。  ポケットに 手を 入れた ときに、ゆびの さきに 何かが あたりました。  とりだして みると、それは ただの 石 です。 「けんたくん、それ なあに?」  けんたは しおりちゃんに そう きかれて、あわてて おもいだそうと しました。 「たしか きのう、うちを 出る ときに くつの 中に 入ってて、そのまま ポケットに 入れた やつ だ」  思い出しました。あんまり ふつうの こと なので、すっかり わすれて いたのです。 「ね、それ ちょうだい?」  しおりちゃんが そう 言いました。 「でも、こんなの どこに でも ある ふつうの 石 だよ」  けんたは うつむいて ぼそぼそと 言いました。  きのう あんなに はりきって いたのに、あげられる のが こんな 石 ひとつ だけ なんて、かなしく なって しまったから です。 「この 石 で いい……ううん、この石 が いいの。だって、きのう けんたくんと いっしょに たびを した 石 だもの」  けんたは しおりちゃんの 手に、その石を のせました。  しおりちゃんは その石を だいじそうに にぎり しめると、その手を むねに あてます。 「こうやって 目を とじると ね。わたしも けんたくんと いっしょに たびしてる つもりに なれるよ。だから ありがとう」  しおりちゃんの えがおは、ほんとうに うれしそう でした。  どうやら、けんたは いちばんの プレゼントを あげられた ようです。
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未田 尚(まだ なお)
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