キリ番以外
『零重人格』
香坂静さんの突発リク リク :『情報屋』『二重人格者』『コンプレックス』 『返金(品)はできません』『コメディー』
それは店の中に足を踏み入れた瞬間に来た。
いつものアレだ。ゆっくりと遠くなっていく意識の中で、慌てて考える。
──すぐに用件を済ませるか?
店員に用件を伝えて返事を聞いて……そんな時間、あるわけがない。
──店から外に出て、出来るだけ遠くに行くか?
この周囲には建物はここしかない。この店に興味を引かれない……そんな遠くまで行く時間は無い。
どうして、よりによってこんな時に……
俺の意識はゆっくりと闇の中に沈んでいった。
気が付いた時、俺は店主らしい男に、掴みかからんばかりに迫っているところだった。
今にも胸倉でもつかみかねない体勢だったけれど、店主に焦った様子は全くない。
俺は誤魔化すように咳払いをひとつすると、店主から距離をとった。
「落ち着かれましたか、お客様?」
そんな俺の様子など気にもしない風に、梟の羽飾りの帽子を被った店主は、ただにこにこと微笑んでいる。
その笑顔が何故だか気に喰わなくて、俺は店主から視線を逸らした。
見回してみれば、そこはやたらと雑多とした空間だった。
埃を被った机や椅子や箪笥、年代モノのラジオや手回しのコーヒーミル、罅の入った姿見や足の折れたピアノに立てかけられたドア、右半身のないマネキン人形。
もはや骨董とも前衛的なオブジェとも、あるいはただのゴミとも判別の付かないモノが、特に仕分けられるでもなく放り散らかされている。
唯一統一されている物といえば、入り口以外の全ての壁を本棚が覆っているということくらいか。
「それでは、改めまして。いらっしゃいませ、本日二人目のお客様。意中の相手の気持ちから宇宙の真理まで、古今東西いかなる知識も余すところなく集めた情報屋へようこそ」
この空間を見回すにつけ、まるで情報屋の店だという認識からは遠のく一方だ。少なくとも、情報屋に必要そうなものなど何一つとしてない。
駆け込んできた時はそれどころでなかったが、状態さえまともだったら、入ってきた瞬間に出て行ったかもしれない。
そこで、ふと気付いた。
『本日二人目のお客様──』
「ヤツは、情報を買ったのか!?」
今度こそ間違いなく、情報屋の襟首を掴む。
「ヤツは……もうひとりの俺は」
もうひとりの俺。
ソイツの存在に気付いたのは、高校の頃だった。
最初は些細な違和感だった。部屋の配置が微妙に変わっている。家族や友人が覚えの無い話をする。
始めのうちは思い違いだろうと思っていた。デジャヴュなんてものもある。知らないのに覚えがあるということがあるのなら、知っているのに覚えがないということだってあるのだろう、と。
だが違和感が確信に変わり、思い違いで説明が付かなくなった時、俺は一枚のメモを書いた。
『俺はお前だ。これを読んだら返事をくれ』
ただの勘違いであってくれと祈りながら、それを机の上においた次の朝だった。
裏返されたそのメモに、こう書いてあった。
『なんてこった』
スポーツで鍛えた俺に襟首を掴まれているというのに、情報屋はあいも変わらず微笑みを崩しさえしなかった。
「とりあえずお客様、穏便に、穏便に」
他人を小馬鹿にしたような薄ら笑いも、大仰な挨拶も何もかもが気に入らない。
その中でも特に、俺が店に来て以来、腰掛けた長櫃から一度たりとも立ち上がろうとしないところが気に入らない。
襟首を掴まれ、容赦なく締め上げられている今に至ってもだ。
だが、いつまでもコイツの襟首を掴んでいても仕方ない。
むしろ顔色ひとつ変えない情報屋に怖気を感じて、俺は手を離した。
「ご存知の通り、ここは情報屋です。お客様については守秘義務を負っているのですよ。……もっとも、その情報を買いたいというのであれば、そこはそれ情報屋として適切な対応をさせていただきますが」
つまり、『知りたいのなら買え』、ということなのだろう。
やはりいけすかない。もっとも、情報屋としては一流の態度なのかもしれないが。
「……わかった。そもそも情報を買いに来たんだ」
店も主人も気に入らないが、ここに用があるという事実には変わりない。
ここは世界中のどんな情報も持っているという情報屋。
代償は高いと聞いたが、そんなことは関係ない。必要な情報が貰えるのなら、命以外なら惜しいものはない。
「金なら全財産払ったってかまわない。今すぐ教えてくれ」
三度、掴みかからんばかりになった俺に、胸に手を当てて情報屋が頭を下げる。
「まぁまぁ、お待ちください」
余裕ぶった態度が気に障るが、我慢。
情報を聞くまでは、我慢だ。
「私の情報はとても貴重で、故に代価もとても大きいものになっております。それ故、後のトラブルも多く、大きくなってしまいがちです」
俺も覚えがある。作った会社がまだ小さかった頃は些細な事で済んでいたトラブルも、大きくなるに連れて大事になっていった。
図体がでかければ、よってくるハエやダニもでかくなるというものだ。
「情報屋にとって一番大切なのは信用です。情報が信じられない、なんて思われては、情報屋としておしまいですから。ですから、トラブルは特に情報屋にとっては致命傷になりかねません。それを避ける為に、利用規約をよくお読みいただいて、納得していただいたお客様としか取引できない決まりとなっております」
それは確かに一理ある。俺だって『客を騙す情報屋』、なんて聞いていたとしたら、ここへは来なかっただろう。
「ご承知いただきましたところで、利用規約の説明をさせていただきます。長くなりますので、どうぞその椅子におかけください」
情報屋に促されるままに長椅子に腰を降ろした。
尻にぬるりと生暖い感触。気持ちの悪さに、尻を少しずらして座りなおす。
きっと、ヤツの体温だろう。ついさっきまでここにいたはずの、『もうひとりの俺』の。
最初のメモの遣り取りから、俺たちの奇妙な文通が始まった。
もちろん、こんなことが周囲に知られたら面倒になるので、読んだメモはその場で処分することにして。
俺たちは色々なことを話し合った。好きなもの、嫌いなもの、お互いの思い出。
俺たちは良く似ていた。
趣味も好みも同じ。俺の好きな料理はヤツも好きだったし、ヤツの買ってきた服は俺の好みそのままだった。
気になることも無いじゃなかったが、主人格は俺の方なんだ。少しくらいのことに目くじら立てるのは大人気ない。
唯一、女をヤツと共有しなきゃいけないことだけは不満だったが、別々に恋人を作って二股になるよりはマシだった。
俺たちは顔は一緒だし、性格も似ている。俺たちが二人居ることに気付いた者はいなかった。家族や恋人でさえ。
一方が寝ている間は一方が起きている。時間の使い方に無駄がない。面倒な仕事も二人で交互にやればすぐに終わった。俺たちは、文字通り普通のヤツの二倍努力した。俺たちだからこそ、それが出来た。
時々物忘れが酷いのを装わなくてはならなかったが、入れ替わる前の感覚がわかるようになり、状況を説明する簡単なメモを残せるようになると、それも減っていった。
デメリットはあったが、それ以上にメリットの方が多かった。
お互い、直接顔をあわせることがなかったのも良かったのだろう。俺たちは、おおよそ上手くやっていた。
それが崩れたのは、ほんの数ヶ月前。
「……ところで、その長櫃はなんだ?」
さっきから気になっていた。
こうしてまともな椅子があるというのに、情報屋はさっきからその長櫃に座ったままだ。
まして、客である俺がこうして立ったり座ったりしているというのに、情報屋はその長櫃に座ったまま、動く気配もない。
その中には、それほどまでに大切なものが入っているのだろうか?
「いえいえ、これは大したものではありません。特に何かの伏線だとか、そんなこともありません。……少なくとも、このお話においては」
何を言っているのかわからないが、今の俺にとって重要な物ではないらしい。俺はすぐに興味を失った。
「それでは、まずこちらをお読みください」
促されるまま、渡された紙に目を通す。
『利用規約
1、契約者は、ひとつの情報につき、魂をひとつ代価として支払う』
いきなり面食らった。
「時々なのですが、『全ての富と権力と女を手に入れる方法』を聞きたい、という方がいらっしゃいます。ですが、富も権力も女も全て違うものですから、手に入れる方法も違います。当然その場合は別の情報ということになりますので、この例の場合は魂が三つ必要となります」
代償が高いとは聞いていたが、まさか、言うに事欠いて魂を寄越せとは。
「魂って……まさか、悪魔じゃあるまいし」
その空気に負けて、俺は誤魔化すようにわざとらしく笑って見せた。
「当店では、魂以外の代価は受け取っておりません。お支払いの意思の無い方は、悪いことは申しません。早々にお引取りください」
情報屋は変わらずにこにことしている。だが、その目が笑っていないことに俺は気付いてしまっていた。
「……魂を取られたら、どうなるんだ?」
「死にます」
こともなげにそう言った。人の生き死になど、道端の蟻を踏んづける程度にしか考えていない様子で。
冗談では、ない。冗談を言っている様子は微塵も無い。魂云々はこの狂った情報屋の妄想だとしても、情報の対価として死ぬことになることだけは間違いない。
支払えるものではない。まして完全に信用して良いのかすら定かではないというのに。
例え目的が果たせたとしても、その結果死んでしまうのでは仕方がない。
契約する気などはすっかり失せてしまったけれど、うかつに帰ると言ってしまうのも怖い気がして、とにかく俺は規約の続きを読んだ。
『2、代価と出来るのは、契約者自身、若しくは契約者の自由に出来る魂に限られる』
どう理由をつけて帰るかだけを考えていた俺は……ふと、気付いた。
「例えば──あくまで例えばなんだがな。『俺の中にいるもうひとりの俺の魂』とかは駄目なのか……?」
それは、『もうひとりの俺』の存在に気付いた時と同じ、些細なことから始まった。
口では説明できないけれど、やつの書く文章が気に障りだしたのだ。
どこがというわけでは無いけれど、どことなく違和感を感じる。悪意があるのではないかとすら思える。
そうなるとそれまでは気にならなかったことも気になり出した。
枕元の目覚ましの位置が微妙にずれている。カード入れのカードの並びが使い難く変わっている。財布の中が小銭で一杯になっている……
そんな瑣末な事が積み重なっていくうちに、俺たちの不仲は決定的なものになっていた。
ヤツが使った歯ブラシも嫌、やつが着たシャツも嫌、やつが抱いた女に至っては言うまでも無い。
それが原因で妻とも別れた。
ヤツが俺を出し抜こうとするせいで、仕事も上手くいかなくなった。
ヤツが勝手に始めたことを、俺が出ている時に決断しなきゃいけないなんてことになって、うまくいくはずが無い。
ほどなく、会社も手放すことになった。人生の成功者から一転、落伍者になったのだ。
そうなった時に、俺が当然のことを考えたとしても、誰がそれを責められるだろう。
俺の人生全てをぶち壊しにしたヤツを、この身体から追い出してやりたい。
でも、ヤツと離れることは出来ない。ヤツはもうひとりの俺だからだ。
ヤツを殺すことも出来ない。ヤツが死んだら俺も死ぬ。
だから、俺はここにきた。
俺に今一番必要なのは情報だ。
『もうひとりの俺を、この身体から追い出す方法』という情報なのだから──
「……規約にはありませんが──貴方の身体の中にあり、貴方が何かしようと思えばいつでも出来る物ですから、貴方の物、若しくは貴方の自由になる物と解釈してもよろしいでしょう」
当たって砕けろ、程度の気持ちだった。
どうせ帰るなら、その前にふと思いついたことを言ってみた。それだけのこと。
だが、それが出来るのであれば──
「結構適当なんだな」
緊張で鼓動が早くなるのを抑えながら、平静を装う。
「決められていないことなら自分の都合のいい解釈をするのが人間というものでしょう」
こいつが人間なのかは疑問だが。
しかし、そうなれば話が変わってくる。俺は規約の続きを読んだ。
『3、別の契約の代価となっている魂を代価として指定したものには、100年の労苦を課す。ただし該当の魂が代価となっている可能性を知らなかったものはその限りではない』
「これは単に、二重担保の禁止と、それを行おうとすることの阻止のための項目です。真っ当なお客様であれば、なんの問題もありませんよね?」
「それは……わかるんだが……」
「ただ、中には操られて契約に同意してしまった方や、記憶喪失になってしまった方などもいらっしゃいます。そういった場合は不可抗力ですので、除外になります」
「いや……100年って……」
「思うのですけれど、あの手この手で債務状況を誤魔化して人をペテンにかけようとする輩とか、担保になってるかもしれないとわかっているのに確認を怠けて他人の手を煩わせるようなヤツは、相応の目に遇ってしかるべきですよね?」
ねぇお客様? と同意を求められて慌てて頷く。
これについては問題ない。ヤツの魂が担保に入っているなんて聞いたことはないし、もし入っているとしたら──ざまぁみろだ。
俺には不要である上に、これ以上触れるのが恐ろしい項目は飛ばして、次に進む。
『4、一度代価とされたことのある魂を、同一人物が再び代価として指定することは出来ない』
二、三度読み直してみたが、意味がよくわからない。
「……魂ってのは、ひとりひとつしかないはずだろ? 再び代価にするってどういうことだ?」
二重担保については前の項目にあった。ということは、取られた後の魂の話ってことになる。
魂を二つ持っている、なんて話は聞いたことがない。俺たちみたいな例はあるのかもしれないが、情報屋はそれぞれを別のものとして扱った。
「いえ、魂を複数お持ちの方は結構いらっしゃいますよ。人間では貴方が初めてですが。ですが、同一人物でも別の魂であればこの項目には該当しません。その項目は、主に次の規約に該当なさった場合ですね」
情報屋に促され、次の項目に目をやる。
『5、他者が同じ情報を同じ代価で契約した場合は、その両方がキャンセルされる』
「この項は規約2と関連するものです。規約2には、『契約者の自由に出来る魂』を代価に出来るとありますでしょう?」
規約を見直してみる。
確かに『2、代価と出来るのは、契約者自身、若しくは契約者の自由に出来る魂に限られる』とある。
「『他人が自由に出来る魂』というのは、大概が奴隷だったり洗脳されたり、拷問などで早く死にたいと思っている方のものです。そういった方の場合、その状況が改善されますと、気が変わる場合が多いですので」
当たり前だ。
自分のために使うのだってこんなに躊躇するのだ。それが他人のために使われたとなれば、冷静になった時に後悔しない方がおかしい。
「そういった場合のトラブル回避用の規約ですね。同じ情報を、というのはパスワードのようなものです。キャンセルされてしまいますと、それまでのことが全て無料働きになってしまいますから、出来れば避けたいんですよ」
方法はあるのに出来ない、のであれば、キャンセル出来ないのは客側の責任だと言えるからだろう。
店側にリスクがあるのだから、客側にもリスクを、ということだ。
「キャンセル自体はトラブルを防ぐという意味で止むを得ないことですが、一度キャンセルがあったのと同じ条件での契約は、再びキャンセルになる可能性が可能性が高いですから、規約4でそれを禁止させていただいています」
それがどんな状況か考えてみれば、確かに再洗脳したとかまた拷問をしたとか、そんな事態しか思い浮かばない。
それではトラブルの元にしかならないだろう。
「ただし、キャンセルになった時の契約者以外が、同じ魂を代価に契約なさるのは問題ありません。ご自分の魂を代価に、相手に復習することも可能です」
にこにこと微笑むその様子に、背筋に悪寒が走った。
それは、決して珍しい事ではないのだろう。
「……ところで、情報ってのはどんなものを貰えるんだ?」
無意識に恐怖を紛らわせようとしたのだろうか。あえて楽しい話題をふる。
ここまでのように厳重に規約が作られているところをみれば、相当な情報を得られるに違いない。
最初、俺が知りたかったのは、『もうひとりの俺』をこの身体から追い出す方法だった。
だが、今となってはそれは意味がない。ヤツの魂を代価にすればいいのだから。
ヤツのせいで失った会社を取り戻す方法を、ヤツの魂で聞くのもいいだろう。別れた妻が返ってくる方法でもいい。
いや、そんなちっぽけなもので妥協する必要はない。
情報屋が例にしたのは『全ての富と権力と女を手に入れる方法』だった。それを聞くには魂が三つ必要だと言ったが、それは裏返せば、その中のひとつだけなら魂ひとつで手に入るということ。
それが、ヤツの魂ひとつで手に入る。失うものは何も無い──どころか、俺にとって得しかない。
邪魔者でしかなかった『もうひとりの俺』に感謝すらしたくなる。
「はい。文字通り、『なんでも』です。人間の方に知覚できる程度の情報であれば。……もっとも、それを実行できるかはご本人様次第ですが」
まただ。
『人間の方に』
──この情報屋の取引相手は、多分人間だけじゃない。むしろ、人間の方が少ないのかもしれない。
であれば、人間には実現不可能な情報も扱っているのだろう。
「……それじゃ、意味がないじゃないか」
実現不可能な情報など、なんの意味もない。そんなもののために魂を代価にするのは割りに合わない。
……いや、『もうひとりの俺』の魂なのだから、持って行ってもらうだけで充分な成果なのだが。
「いえいえ、例えば、ですよ? 『宝くじの当選番号』をお聞きになった方がそのくじを買えなかったとしても、それは私の責任にはなりませんでしょう? 私は『聞かれたとおりの情報をお教えした』のですから」
それは──確かにその通りだ。
つまり、『実現できるような情報が返ってくる質問の仕方』をするのも、自己責任のうちということなのだろう。
ますます聞き方には注意しなくてはならない──そう思いながら、俺は次の項目に目を移した。
『6、代価の回収は情報を伝えた時点で行われる。ただし、その情報の活用が前提の内容での契約の場合は、それが終了・若しくは活用を止めるまで猶予される』
「例えば、『王になる方法』という契約をなさったお客様が、その情報を聞いた瞬間に魂を亡くしてしまうというのでは、契約をしようという方はいなくなってしまうでしょう? ですから契約の前提に従って、お客様が情報を活用を終えられるかそれを諦めるまで、代価の回収は猶予されることになります。先程の例で言えば、魂の回収は王になった瞬間に。情報が『一生遊んで暮らす方法』ならば、一生が終わった時点になります」
「……その『一生』も、お前の思惑ひとつじゃないのか?」
一生が早く終われば、それだけ早く魂が手に入る。恐らくコイツには、そう出来る力がある。
「いえいえ、最初に申し上げましたとおり、情報屋というものは信用が第一です。お客様の寿命を弄ったり、お客様を手にかけたりなど、もっとも信用を失う行為です。何より100年や200年程度、回収が遅れても何の問題もありませんから」
……なる程。『200年程度』、ね。
「ああ、一応説明しておきますが、『世界の真理を知りたい』のように、知識を得ることそのものが目的であれば、情報をお教えした瞬間に回収が行われます」
「……例えば、『俺の身体からもうひとりの俺を追い出す方法を教えてくれ』と聞いた場合は?」
「それでしら、その『もうひとりの俺』を追い出した瞬間ですね」
だとすれば、自分の魂を代価にヤツを追い出した場合、その瞬間に俺も死ぬ事になる。それでは意味がない。
……やはり、ヤツの魂を代価にするしかない。
かといって、今情報屋が例にした『一生遊んで暮らす方法』では、結局ヤツと一生一緒にいなくてはならなくなる。
ヤツとすぐに別れられて、有効に活用できる質問。
よく考えなくては。
『7、前項の条件で代価が回収される前に、契約者・魂の提供者のどちらかが死亡等した場合、その時点で代価の回収を行う』
「簡単に説明しますと、契約が成立した後にお亡くなりになった場合は、情報を活用出来ていない場合でも情報自体をお渡しする前であったとしても、魂を回収させていただきます、ということです」
「情報を貰っていなくてもか? それは厳しすぎるんじゃないか?」
キャンセルの規約まであるのに、そこだけは妙に厳密に出来ている。
「契約を交わした後に、怖くなって自ら命を絶つ方が少なくないのですよ。これはむしろ、お客様を守るための規約なのです」
その場の勢いで契約して、冷静になったら怖くなったなんてのはありそうな話だ。
だからといって、魂を取られる前に死んでしまえ、なんてのはよほど先走った考えだと思うのだが。
「ですから、代価となった魂がどうなるのか、お教えできないのです」
少しの邪気もない顔で、情報屋は笑った。
『8、契約者本人がすでに知っている情報・代価にふさわしくない情報は取引できない』
「これは、規約というよりは私のポリシーです。私は誇りをもってこの仕事をしております。故にいただく代価に相応しくないような情報はお売りできません。お客様はご自分のポケットの中身をご存知ですね? その内容をお客様ご自身にお教えする、なんて真似は、恥ずかしくて私にはとても出来ません。それから、例えばこの長櫃の中身」
情報屋は、ポンポンと腰掛けた長櫃を叩いた。
何か声の様なものが聞こえてきた気がしたのは気のせいだろう。
「……魂と引き換えにしてまで知りたいとはお思いになりませんでしょう?」
むしろ、中身を知ってしまえば魂を亡くしてしまうのではないかとも思う。
「お渡しした情報でお客様に満足していただけないような取引は出来ない。しがない情報屋の、些細なプライドです」
それでは、どうでもいいような簡単な情報を聞いて、さっさとヤツの魂を持って行って貰う──というのは出来ないことになる。
もっとも、そんな勿体無い真似をするつもりはないが。
次の項目──これが最後らしかった。
『9、返品は受け付けません』
「当然、情報をお渡しした後は『規約6』のキャンセルも出来ません。何分取り扱っているものが情報ですから、一度お渡ししてしまいますと──まぁ忘れていただくことも出来ないではありませんが、私にとってはそれこそ無料働きですし、お客様にとっては不幸なことになってしまいますから」
多分、真っ当な手段ではないのだろう。
もっとも、この情報屋のやる事のうち、どの程度までが『真っ当な事』なのか解らないが。
「以上で規約の説明は終わりです」
言われて、もう一度利用規約に目を落とす。
利用規約
1、契約者は、ひとつの情報につき、魂をひとつ代価として支払う
2、代価と出来るのは、契約者自身、若しくは契約者の自由に出来る魂に限られる
3、別の契約の代価となっている魂を代価として指定したものには、100年の労苦を課す。ただし契約者が、該当の魂がすでに代価となっている可能性を知らなかった場合は、その限りではない
4、一度代価としたことのある魂を、同一人物が再び代価とすることは出来ない
5、他者が同じ情報を同じ代価で契約した場合は、その両方がキャンセルされる
6、代価の回収は、情報を伝えた時点で行われる。ただし、その情報の活用が前提の契約の場合は、それが終了・若しくは活用を止めるまで猶予される
7、前項の条件で代価が回収される前に、契約者・魂の提供者のどちらかが死亡等した場合、その時点で代価の回収を行う
8、契約者本人がすでに知っている情報・代価にふさわしくない情報は取引できない
9、返品は受け付けません
ここが運命の別れ道と言っていい。俺は考え込んだ。
代価は最初から決まっている。『もうひとりの俺』の魂。
後は何を聞くかだ。
しにかく必要なのは
ヤツを追い出すためには、実現するのに時間がかかるようなことではいけない。そのためには、少しくらい質問内容を妥協するのも仕方ない。
例えば、番号を当てるタイプの宝くじの当選番号。しばらく当選が出ていないため、金額は4億くらいになっていたはず。
4億程度でははした金だが、新しく事業を始める資金くらいにはなる。
発売日は明日だった。今日一日はヤツと一緒にいなくてはならないが、4億が手に入るのだと思えば我慢も出来よう。
「では、お知りになりたい情報と、その代価はお決まりになりましたでしょうか」
「ああ。俺の聞きたい情報は──」
もうひとりの俺は、この身体の奥の方でぐっすりと眠っているに違いない。
全く哀れなヤツだ。今まさに、自分の魂が代価にされようとしているなんてことを、知りもせずに──
「……その前に聞きたいんだが、自分の魂を代価にされたヤツってのは、それに気が付くものなのか?」
「いいえ。規約3の時も説明しましたが、ご自分の魂が代価にされていることを知らない方もいらっしゃいます。これはあくまで『例えば』ですけれど──」
その後は、おおよそ予想がついた。ついてしまった。
つまり──
「お客様の魂が代価にされていても、ご自分ではお気付きにならないでしょうね」
俺は、ヤツの魂を代価にすることを思いついた。
ヤツがそれを思いつかないという保障はあるのか?
更に言えば、この店に着いたところで俺は意識を失い、その間ヤツが目覚めていた。
その間、この店──情報屋で、ヤツは何をしていた?
腕時計を確認する。店に入ってから3時間程。俺が情報屋と話していたのは、多分1時間くらいだろう。
そうすると、『もうひとりの俺』がここにいた時間は約2時間。
説明を受けるのに俺と同じように1時間かかったと計算すれば、残りの1時間分悩む事が出来る。
その間に、情報を買わなかったとでも言うのか?
俺とヤツとはよく似ている。
俺が『もうひとりの俺』の魂を代価に出来る事に気付いたのに、同じことにヤツが気付かなかったわけがあるだろうか。『もうひとりの俺』の魂を代価に出来ると知って、ヤツがどう思ったか。
それが出来るとはついさっきまで知らなかったが、ヤツはそうは思わないだろう。最初からそうするつもりで来たと思ったはずだ。
だとすれば、俺の魂を代価にすることに何のためらいもないはずだ。
「ヤツは俺の魂を代価にしたんだな!? それで、ヤツはどんな情報を買ったんだ!」
「お客様。『他のお客様がお買い上げになりました情報の内容』と、『お支払いになった代価』は別の情報になります。代価となる魂がひとつなら、どちらかひとつしかお買い上げいただけませんが」
この期に及んで、欲の皮の突っ張った奴だ。
いや、もちろん情報屋には、俺の窮地など、どうでもいいことなのだろうが。
「そうだ……役に立つ情報なんて言っている場合じゃない。さっさと奴の魂を取らせてしまわないと……」
殺られる前に殺れだ。俺の魂を取られる前に、奴を殺してしまうしかない。
「お客様。その場合、『規約7』に該当することになりますが」
言われるまで忘れていた。
『契約者・魂の提供者のどちらかが死亡等した場合、その時点で代価の回収を行う』
やつが死んだら、その時点で魂を取られてしまう。
八方塞がりだ。どうやっても、俺は魂を取られるしかない──
何とか助かる方法はないかと、俺は利用規約を読み返した。
『5、他者が同じ情報を同じ代価で契約した場合は、その両方がキャンセルされる』
そうだ。これしかない。自分の魂を代価にヤツと同じ契約をすれば、契約はキャンセルされる。そうなれば『規約4』で、ヤツが再び俺の魂を代価にすることは出来なくなる。
そうなれば俺は安全。俺の勝ちだ。
「先にご忠告しておきますが、お客様。キャンセルが成立しない場合、規約3に該当する事になりますが」
俺は、ヤツが俺の魂を代価にしていることを知っている。
その上で契約しようとした時に課されるペナルティ──100年の労苦。
この規約の説明をした時の情報屋の様子からすれば、単純な労働で済むとは思えない。きっと、死んだ方がマシだということになるに違いない。
チャンスは一度しかない。失敗すれば、恐らく死んだ方がマシだということになる。
それには──ヤツが、どんな情報を買ったのか、知らなくてはいけない。
「もう少し……考えさせてくれ」
「ええ、お悩みになるのは当然です。今日はもうひとりお客様がいらっしゃいますが、まだお時間があります。どうぞ納得いきますまで、お悩みください」
ヤツは俺と似ている。
それなら、俺と同じように『宝くじの当たり番号』を聞くか?
いや、ヤツは俺がヤツの魂を代価にしようとしていると思っていたはずだ。ならば、一日もかけることはありえない。出来るなら、その場で魂の回収がされるような情報を買ったはずだ。
しかし俺はこうして今生きている。
……多分、『規約8』に邪魔されたのだろう。『魂をかけるに相応しくて、自分の知らない情報』。簡単に思いつくものではない。
それでも、入れ替わりの予兆を感じたところで、何か契約をしたはずだ。契約をせずに入れ替わるのが自殺行為だということくらい、ヤツにだってわかるだろうから。
ヤツが契約していないことにかけるのは、あまりにリスクが高すぎる。
何かヒントになるようなことはないのか。
ヤツの考えを読めるような情報は何かないか。
……俺がヤツと入れ替わった時、ヤツは情報屋に詰め寄らんばかりにしていた。何か、切羽詰ったものを感じた。
契約が終わっていたのなら、出口に向かっていたか、或いはもっと落ち着いていたはずだ。この椅子に座っているか、普通に立っているか。少なくとも情報屋に詰め寄っている事はない。
……そういえば、椅子が温かかった。
入れ替わりが起こる寸前、この椅子に座っていたヤツは、急に立ち上がって情報屋に詰め寄ったのだ。
何のために?
そうまで慌てる理由は、この場にあってはひとつしかない。
契約を、結ぶため。
寸前まで悩んでいたヤツは、入れ替わりの兆候を感じて慌てて契約を結んだ。
焦っていたヤツが思いついたこと。
それは恐らく一番知りたいこと。それしか考えられないというようなこと。
そして、出来るだけ早く──もう一度入れ替わりが起こってヤツに変わった瞬間に、その場で情報を聞いて俺の魂が回収されるようなこと。
ヤツは、俺に似ている。
だったら、俺が知りたいと思っていることが、ヤツの知りたいことのはずだ。
「決まったぞ」
舌に絡みつくつばを飲み込みながら、震える声で告げた。
「はい。承ります」
そのにこにこした顔に殺意すら覚えたが、こいつに怒りをぶつけても何の意味もない。 それよりは、早く終わりにしなくては。
「俺の欲しい情報は、『もうひとりの俺がお前から買った情報』だ。代価は俺の魂」
祈る。もし間違っていれば、100年の労苦。
「……やはり、貴方がたはそっくりです」
情報屋は、それまで腰掛けていた長櫃の上にすっと立ち上がった。
精錬された、慣れた仕草で。まるで自分のために設えられたステージであるかのように。
「それでは、商品である情報の引渡しと参りましょう。──もうひとりの貴方がお買い上げになった情報は、今貴方がお聞きになったのと同じ、『もうひとりの俺がお前から買った情報』でした」
やった、と心の中で喝采を上げる。
これで、俺の勝ちだ。
「……これで、ヤツが俺の魂を代価にすることはできなくなったんだな?」
「はい」
情報屋は微笑を浮かべていた。
だが内心ではきっと、俺の魂を取ることが出来ずに悔しがっているのだろう。散々イラつかせてくれた酬いだ。ざまぁみろ。
「……これで契約はキャンセルだな」
そうして胸を撫で下ろした次の瞬間、俺の背筋は凍りついた。
「いいえ。契約はキャンセルされておりません」
意味がわからなかった。利用規約は何度も読み返した。特にキャンセルのところは。
間違ってなどいるはずがない。
「でもお前だって、ヤツの質問は俺のと同じだと言ったじゃないか」
「はい、その通りです。ですから、」
にっこりと微笑むその表情で、俺は全てを理解した。
買った情報が同じでキャンセルにならない理由。つまり──
「代価が違ったのです」
そうだ。それしかなかった。聞いた情報が同じでも、代価となる魂が違えばそれは違う契約。
キャンセルになどなるわけがない。
「本当に貴方がたはそっくりです。相手が自分の魂を代価にするだろうと、お二人揃ってキャンセルのためにご自分の魂を代価になさった。……ご自分が必要とした情報の代価をご自分の魂で払うのは、当然のことですよね?」
長櫃の上で腰を屈め、情報屋は俺へと顔を近づけてきた。
その笑顔が、あまりに恐ろしすぎる。
「ま……まて、俺が聞きたかったのは違うんだ。ほら、違う質問をするから……」
「お客様。利用規約を良く読まれていないのですか? 『9、返品は受け付けません
』」
俺の視界いっぱいに、情報屋の金色の瞳が広がる。その中心の真黒い瞳孔に引き込まれるように、吸い込まれるようにして──俺は永遠に意識を失った。
「お目覚めですか、お客様?」
目を見開いたまま、椅子に身を預けていた体がぴくりと動いた。
気怠るそうに頭を振りながら起き上がり、不意に叫ぶ。
「生きてる!? 意識が戻ったって事は──俺の勝ちだな!?」
長櫃の上の情報屋に駆け寄った。見下ろされるような体勢はこの男にとって気に喰わないもののはずだったが、そんなことは気になっていないらしい。
「って事は、ヤツの契約はキャンセルされた……じゃなくて、俺の契約がヤツにキャンセルされたんだな? ふん、身体を間借りしてる身分で、主人格の俺に逆らおうなんて無駄な足掻きだ。所詮、ヤツの魂だって俺のものなんだよ。おい、情報屋。ヤツの魂を使うぞ。次の契約は──」
「少々お待ちください、お客様。その前に情報をお渡ししなくては。もうひとりの貴方のお買い上げになられた情報は、『もうひとりの俺がお前から買った情報』でした」
慇懃無礼に頭を下げながらの言葉に、男は眉をしかめた。
「そんなことはもうどうでも良いんだ。キャンセルになった以上、もう意味がない。それより……まて、キャンセルされたのに?」
気付いた。何かがおかしいことに。
既に、全て手遅れだとも知らず。
「はい。契約はキャンセルされておりません。商品である情報の引渡しも、たった今終了しました」
「ま……待て、違う、そうじゃなくて、俺が知りたかった情報はそんなことじゃなかったんだ。俺が知りたかったのは──」
「それにつきましては、もうひとりの貴方にしたのと同じ回答をさせていただきます。利用規約にこうあります。『9、返品は受け付けません』」
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
男は立ち上がり、駆け出した。が。
「やれやれ」
情報屋が面倒くさそうに首を振った瞬間。まるで電池が切れた人形のように、その身体が崩れ落ちた。
「契約違反は重罪ですよ? まぁ、無事魂も回収できたことですし、大目に見ますけれどね」
ふわり、と大仰な服の裾を捌いて、情報屋は長櫃に腰を降ろした。
まるで全てが元通り。今日は客など誰一人いなかったのような風体で。
そうして、視線を遣った。今日の開店時よりも、ただひとつだけ増えた躯へと。
それが……のそり、と身を起こした。
逃げる姿勢のまま出口の方を向き、そのまま膝を突いて、両手を付いたところで動きを止める。
そうして、数分。
「……あの二人は、消えてしまったんでしょうか」
消え入るような声で、そう訪ねる。
「はい。その身体の中にいるのは、貴方ひとりです」
変わらぬ笑顔で、情報屋はにこにこと答えた。
その躯は、四つ這いの姿勢から身を起こし、床の上に力なくべったりと座り込んだ。
「……子供の頃から、僕はつまらない人間でした。勉強も運動も出来ない、性格も暗くて誰からも相手されない。いてもいなくても変わらない。そんな人間でした」
魂の消えたような躯の独白に、情報屋はただにこにこと微笑むばかり。
「それが変わったのは高校の時。あの二人が生まれてからでした。あの二人は頭も良くてスポーツも出来て、人を魅き付けるカリスマも持っていました。それまでの僕には望むべくもない人生です。部活動でいい成績を残して、良い大学に入って、本当なら一生会話も出来ないような美人とつきあって、会社を興して社長になって。望み通りどころか、想像もしなかったような素晴らしい人生」
そこで、初めて躯は振り向いた。
死んだ魚のような、濁り切った生気の失われた瞳で。
「でもね、思うんです。他の二人が生き生きとやりたいことをやっているのを、自分は息を潜めて眺めている時に、どうしても思ってしまうんです。身体を他人に使わせて、自分はこそこそ隠れておこぼれを拾っているコイツは、いったい何者なんだ? こんなコバンザメみたいな生き方をしてるコイツの存在意義はなんだ? ……こんな笑えないコメディ、ありますか? こんな人生は自分の物じゃない。……これなら、少なくとも身体だけは自分のものだった、あの頃の方がまだマシだった」
「だから、貴方は自己主張を始めた」
情報屋の言葉に、そっと頷く。
「自分の身体と自分の人生なんです。間借りみたいな生き方はもうイヤだったんです。だから、メモを残すようにしました。あの二人がしているように。ただ、まだ自分の存在に気付かれるのは怖かったので、名前は書きませんでした。それから、家具や持ち物を自分の使い易いように動かしました。自分の物なんです。好きにするのは当然なんです。──それでも、最後まで彼等は僕の存在に気付く事すらなかった」
「おかげで私は二人分の魂が手に入ってうはうはです。それでは改めまして──いらっしゃいませ、本日最後のお客様。早速お聞きしましょう。貴方が必要としている──自分の中にいるひとりの魂を代価に、もうひとりを消す方法を聞くよりも、貴方にとって重要な──情報と、その代価を」
その男は立ち上がり──情報屋へと歩み寄った。
長櫃に腰掛けた情報屋と視線を合わせて、ゆっくりと、その願いを口にする。
「僕を、この身体から消す方法を教えてください。代価は、僕の魂です」
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プロフィール
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- 未田 尚(まだ なお)
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