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BLOODY BODY


追い込み

前橋は車内を回り、怪しまれないようにしながら乗客を確認していった。1号車から2、3号車を経て4号車に入り確認していくと端の方に座っている女が目に留まった。前橋の心臓は早く脈打ち、興奮が全身を駆け巡った。間違いない、言葉だ。前橋が八尾の元に戻り、言葉を見た旨を告げると八尾は驚きの表情を見せた。
「居たか…次の駅で取り押さえようか」
「いや、捕まえたとしても田舎で警察が中々来ないだろうし、どうせなら北の果てまで行きたいから敢えて稚内で取り押さえる」
「途中で降りちまったらどうするんだよ」
「言葉の通路側の席が空いている。気づかれないように見張るんだ」
2人は4号車に移動し、気づかれないように言葉を見た。言葉は顔を下に向け、僅かに見える表情はとても暗く空恐ろしかった。言葉は終点稚内まで2人に気づくことはなく乗り続けた。前橋は降りる際に言葉と同時に立ち上がり言葉とぶつかった。
「あっ…すみません。お先にどうぞ」
「いえいえ、僕らは後で降りますからそちらが先にどうぞ」
「分かりました。ありがとうございます」
言葉が列車から降りるのを確認すると、前橋は八尾に「追うぞ」と小さな声で言った。言葉は駅を出て、道なりに進んでいた。その後を2人は気づかれないように追った。
「いよいよだな。最後まで気を緩めるなよ」
「分かっている。おっと、声が大きいぞ」
2人は言葉を凝視しながら歩いていた。雪で足を滑らせ、足元を一瞬見てしまい、顔を急いで上げると言葉の姿が見えなくなっていた。
「しまった。見失ったぞ」
「落ち着け。2人一緒に動いて言葉との前後が入れ替わるとまずいから前橋、お前は俺と距離を空けろ」
「分かった」
八尾は早歩きで歩き、前橋と距離を空けた。しばらく歩くと背後に人の気配を感じ、立ち止まった。八尾は振り向かず背後の人物が言葉だと確信した。その時、首筋に何かが触れるのを感じた。八尾は怯えず、背後の人物にこう言った。
「俺を殺るのか?そして、お前は桂言葉だな」
10秒ほど沈黙し、背後の人物は小さな声でこう言った。
「ええ。そうですよ。あなた達が私のあとをつけていることも知っていますよ」
「そうか…じゃあ訊くが、俺の首には何を当てているんだ」
「ノコギリです。今すぐ切りますよ」
八尾は彼らしくなく怯えた。
「どうしたんです?怖いんですか?もう切りますよ。これ以上私と誠くんに邪魔するのは許しませんよ」
八尾は思った。こんな死に方は嫌だ。ならどうこの状況を打開すれば良いんだ。

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