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花火tie会

読みきり
ですの

焼きとうもろこしの屋台から良い匂いがするのは網に醤油をつけてるからだとか、金魚掬いの金魚は仕入れ値がかなり安いとか聞いたことがある。
まあお祭りを楽しむためのサービス料だと思えば安いものなのかもしれない。
と言ってみたものの実はお祭り初参加の俺、参上
しかたないじゃない えんがなかったんだもの おれ
みたいな感じなのだ。みつをさんスイマセン
今日お祭りに来たのは友人グループ達から
「ナンパ行こうぜ!」と無駄に爽やかかつ暑苦しい感じに言い寄られたからなんですな。
まあ別に予定もなく暇を持て余していたし、そもそもお祭り行ったことないですしおすし。
断わる理由もなく一緒に行くことになった。が、しかし
俺を誘った友人達はつい数分前に
「んじゃこっから自由行動な、運命と出会っちゃうぜー!」
とほざきながらどこかに消えてしまった。全く、困ったものです。
さておき、このまま棒立ってるのも如何なものかと思い徘徊開始。
するとまるで小説やらドラマやらのご都合主義もビックリな感じにお隣の家の女の子発見。
普段の地味な格好とは違って赤い浴衣を着ていてこれが案外似合ってる。
向こうも俺に気付いたらしく話しかけてきた。
「あの、お一人なんですか?」
「ああ、一緒に来た奴等がナンパしに行っちゃって」
「実は私もそんな感じなんです。ほらあそこの子達」
そういって彼女が指し示す先にいるのは三人組の女の子。それと俺の友人達。
「ってナンパ成功してる!?」
ヲイヲイヲイヲイ!ちょっと待てちょっと待てあいつら冗談だろオイなに仲良さ気に腕組んでるんですかァ!って言うかそっちってホテル街の方向ですよねぇ即合い即ヤリ状態ってどこの出会い系の煽り文句ですか畜生!
「お、落ち着いてください・・・」
そう言われて意味もなく興奮していた自分を恥じてみる。
「ゴメンゴメン。ちょっとみっともなかったね」
「大丈夫です。気にしてませんし」
そういってもらえると非常に有難いものである。
「ところで、お互い暇になっちゃいましたね」
「え?ああうん、ツレが居なくなっちゃったし」
そうなのである。初お祭りな俺を差し置いてあいつ等はホテルでギシギシアンアンアンアンアアンアンしてやがりますからね、ええ絶対赦さねえ。
「俺は祭りに慣れてないしそろそろ帰ろっかな?んじゃーね」
そういって踵を返して家に帰ろうとした。
そんな僕の腕を掴み彼女は
「一緒に周りません?」

・・・断われるわけがない
その後は彼女に引っ張られるままに屋台を回っていった。
射的 金魚すくい たこ焼き 綿あめ
俺の予想なんかより存外お祭りは楽しく。
いや、女の子と一緒で楽しくないわけがなく。
時間は本当に矢の如く過ぎていき。
「そろそろ花火の時間ですね」
俺達は高台に登った。
お世辞にも整備されてるとは言いがたい高台の上。
そこにぽつんと置かれたベンチに二人で腰掛ける。
「ちょっと疲れたかな」
そういって俺は空を見上げる。雲のない空
「でも楽しかったですよね?」
そう言ってこっちを見る彼女
「実は私お祭り来るの初めてだったんです」
いきなり話し出す彼女、その言葉は別に俺に聞かせるために言ったんじゃないんだろう。
「楽しみにしてたんですよ?でも一緒に来た友達が逆ナンされちゃって」
「それで途方に暮れてたら見たことのある顔があって」
彼女はまっすぐ前を見据えて話し続ける。
「安心したのと一緒に期待もしました。一緒に周れるかもって」
花火が上がり始めたが下の方の喧騒は不思議と聞こえてこない。
花火の音が大きすぎてただ聞こえていないだけなのかもしれない。
「断わられなくて嬉しかったです。だって」
一番大きな花火が上がり
「私貴方が――――――」
綺麗に花開く。彼女の顔は今まで色んな人と出会ってきた中で一番良い笑顔だった。
―夏はまだ始まったばかり―
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