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小説


~序章~

 ある大学の大講堂。
 教壇では、一人の中年教授がノートを台において熱弁をふるっていた。
 その講義をまじめに聞き、ノートに知識を書き込む前列の学生たち。
 しかし、そのはるか後列では不良学生がひとつのグループになって、大声でしゃべり、大きな音を不定期に鳴らし、教授の講義を妨害していた。
 (お願い、静かにして。)
 そんな騒いでいる後列グループの端っこに座り、ノートを広げていた女性が顔を下に向ける。
 今日の彼女は不運だった。いつもならば前列でノートを取っているのに、今日だけはいつも乗っている電車が事故のため5分遅延してしまった。
 その結果、後列での聴講を余儀なくされているのであった。
 1分、1秒がこの日ばかりは苦痛に感じた。途中で退席することも考えたが必修の授業であり、真面目な彼女はいつもこの授業でノートを取ることを欠かせないでいた。
 席も前列は既に埋まっているし、席を移動するのも周りの迷惑になる。
 しかし、後列での妨害ともいえるおしゃべりはやむことはない。
 徐々に、授業から後列のグループに対する怒りが心の底からこみあげてきた。
 (静かにして。うるさい。黙れ。静かにしろ。いい加減にしろ。シズカニシロ。)
 周りの人間から平静でおとなしいイメージがあった彼女・・・島野佳美の中にもう一人の人格が生まれ、その人格が爆発しようとしていた。いつの間にか怒りから殺意へと変わってきている。
 握っているシャーペンがきしむ。
 歯ぎしりの音が大きくなっていく。
 いつの間にか、佳美の視線は教授の話より後列のグループに移っていた。
 (静かにしないのなら、私が・・・コロシテアゲル。)
だんだんと、もう一つの人格が佳美を支配しようとしていた。既におとなしい彼女はそこにはいなかった。
佳美は意を決して、席を立ちあがる。
手には先の芯を出したボールペンとハサミ。
後列のグループの前に立つと、講堂内が騒がしくなる。周りの視線が佳美とグループに集中する。
「あ?何?俺達に何か用?」
グループ内の不良っぽい男が口を開くが、佳美は眼をうつろにしたまま口で何かつぶやいていた。
そして、その呟きが小言から大きくなっていく。
(コロス、コロス、コロス、コロス、コロスコロスコロス・・・・・。シズカニシナイナラ 皆、私が  コロシテアゲル!!!)
そして、佳美はハサミを持った右手を大きく振り上げる。
次の瞬間
人間だった島野佳美は罪人への階段を勢いよく登って行き、同時に地獄への坂道を一気に下っていた。

プロフィール

ニックネーム
tosikosi
性別
血液型
のほほんとしたおおっざぱなO型。
生年月日
9・9生まれのぞろ目。
所在地
京都府住人。生まれは福井
職業
大学生。
自己紹介
ネタは突然浮かんでくるもの。それまでが長いですができるだけお待たせしないようにしっかり更新します!

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