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2009年8月31日 12時00分00秒 (Mon)

CRM

【2009年8月31日12時(月)】

出来た。
遂に完成した。
丁度一ヵ月費やしてしまった。
夏休みの宿題には一切手をつけていない。
しかし、ジュンはこの上ない清々しい気持ちだった。
ずっと閉め切っていた窓を開け、日光を浴びたかった。
カーテンを「シャッ」と開ける。

『雨かよ!』
ジュンは思わず独り言でツッコんでしまった。
この機械が完成する記念すべき瞬間を天は祝ってくれなかった。
そう思った。

テレビをつける。
いつぶりだろうか。

何やらこの雨は台風の影響らしい。
台風11号。
「折角の処女航海の日が台風か」そう思った。
殆どのチャンネルが選挙のニュースだ。
昨日は衆議院選挙だったらしい。
自民?民主?
16歳のジュンには到底興味を持てそうにないニュースだ。
「笑っていいんだよ」今日のゲストは渡部正洋か。

何だか夏休み最後の日だとは思えない。
何せ活気が無い。
ジュンは思った。
「夏休みの宿題もやらなきゃならないし、友達の遊びの誘いも全部断ってきた。やりなおすぞ。よし!」

腕時計型CRMのスイッチを入れる。
立ち上がると同時に立体ビジョンが飛び出した。
操作はこのビジョン上で行う。
xyz軸は変更なし、自動補正機能もばっちり備わっている。
x:AUTO
y:AUTO
z:AUTO
t軸、ここだ。
とりあえず、8月1日(土)を目標にする。
『一ヵ月もありゃあ宿題も終わるだろ。コードは、、、2592000だな。』
t:R2592000S

すべての軸入力、完了。
遂に来た、この時が来た。
高鳴る鼓動。
興奮して鼻息が荒くなっていた。
心做しか風雨が強くなってきたきがする。
『パラレルワールドの自分よ、ごめん!いざ!コーディネートリプレイス!』
叫ぶと同時に「RUN」スイッチを押す。
ジュンの体が瞬時に光りだす。

次の瞬間にはジュンの体は消えていた。





【?】

『ん?』
ジュンは目を開けた。
成功か?
カーテンを開ける。
『曇ってる。。。』
失敗か、、、
テレビをつける。
「宇宙飛行士の若林光二さんがスペースシャトル『エンデバー』で現地時間7月、、、」





『は、、、、、



やった、、、、、



成功だ、、、、、。』

【8月1日(土)】

2009年8月9日 5時10分00秒 (Sun)

CRM10

【8月9日5時10分】

「やめろ!」
叫びながらジュンはベッドから飛び起きた。
『あれ、、、家か。』
「はあ。偉い目にあった。」
ジュンはテレビをつけニュースを見た。
アナログテレビ終了を伝えている。
2011年7月24日からテレビは『地デジ』になる。
ジュンはこの『地デジ』のことは何も知らないし興味も無かった。
しかし矢鱈と耳につく声が気になってその番組を見ていた。
恐らく声の主は山崎アイスだ。

「あ、、、」
ジュンは我に返った。
「今は、、、8月9日(日)5時13分、、、か。」
『クッソ。タツヤ先輩マジムカツクわ。』
ジュンはポケットを確認する。
しっかり1万円入っていた。
『CRMの使用料だ。よりによって未来に飛ばすなんて。』

そう、ジュンはリプレイスしていた。
麻雀の場にいたタツヤ達から見ればジュンには何の変化も見られないが、あの『RUN』の後、確実にジュンはパラレルワールドのジュンと入れ替わっていたのだ。

『とりあえず、今日は寝るか。』
ふと携帯電話に目をやった。
メールが来てる。
シンゴからだ。

08/09 04:03
Frm シンゴ
Sb Re:
コニチワー
今日はお金取り返してくれて
あのさ、明日(ってか今日だし←)西武園遊園地に行かね
花火見ながらバーベキューなんてどよ
お礼もしたいしおごるよ

ジュンは思い出した。
これは、クラスのサヤがシンゴに恋愛相談して企画されたダブルデートだった。
サヤはジュンの事が好きだった。
ジュンはCRM作りに夢中になっていた上に、シンゴと二人で出かけるなんて面倒だと思い断っていた。
後から知ったダブルデートの事実。
今回は二つ返事で参加する。
ジュンもサヤの事が好きだった。
勿論この企画の詳細は知らん振りしなければならない。

08/09 05:17
To シンゴ
Sb Re:
寝てた。すまん。面倒だけどおごりなら行ってやるよ←
何時どこ?

ジュンは知らない振りをしながら今日の予定を決めた。
胸の高鳴りは増す一方だった。
『眠れないぞこりゃ!』



【8月9日15時21分】

「やべ!」
叫びながらジュンはベッドから飛び起きた。
直ぐに時計を見る。
「やっべ!」
集合時間は16時だった。
直ぐにシャワーを浴び着替える。
髪をセットしながら、シャワーを浴びるのは煙草臭くしたタツヤ先輩のせいだと考え舌打ちをした。

家を飛び出す時には既に16時を回っていた。

【8月9日16時1分】

2009年8月8日 23時31分00秒 (Sat)

CRM9

【8月8日23時31分】

何半荘やっても結果は同じだった。
ジュンは勝ち続けた。

タツヤ達の苛々は頂点にまで達していた。
しかし、しっかりルールは守るタツヤ、負け分の2万円を卓の上に叩き付け、透かさずセブンスターに火を点けた。
炬燵を出、窓へ向かう。
窓を開け煙草の煙を暗闇に吐いた。

「ほら」ジュンはシンゴに1万円渡した。
「取り返したぞ。」
「あ、、、ありがとう。」
シンゴは目を丸くして驚いた。
と言うより、先輩から金を巻き上げたジュンに恐怖すら覚えた表情だった。

「なあ、ジュン。」ススムが話しかけた。
得意気な表情で振り返り返事をするジュン。
「お前の、左手。その時計何?」
心臓が大きく鳴った。
「お前、矢鱈とその時計、弄ってなかったか?」
何?と言わんばかりにタツヤとナオトがジュンを睨み付けた。
「え?これは、普通の時計ですけど。」
「嘘付け、調べさせろ。」
タツヤ達3人の動きは早かった。
ススムに脚を、ナオトに右肩腕を押さえ込まれジュンは動けなくなった。
タツヤが左手のCRMに手をかける。
シンゴは恐怖で動けない様子だ。

「何か起動ボタンがあるじゃねえか。」
ボタンを押すタツヤ。
立体ヴィジョンが飛び出した。
「おい!な、、、何だよこれ。。。てめえ炬燵の中でこれ、、、何かしただろ!?」
「やめろ!何もしてない!」ジュンは暴れるがすぐ押さえられてしまう。
tコード入力画面に切り替わる。
「F?R?何だこれ?」
「やめろって!」必死に抵抗するジュン。
「わかんねえ、Fカップのグラビアアイドルっと。」
Fのボタンを押すタツヤ。
次の画面に切り替わる。
「何か数字入れるのか?」
「ちょ、、、はなせ!やめろ!」
「ススム、ナオト、好きな数字言ってみろよ。」
タツヤはニタニタ笑い始めている。
「そうだな。」
「さっき負けた2万を取り返す為に、2万なんてどうよ。」
「それ最高!20000、、、と。」
タツヤは20000と入力した。
「クソ!」
『RUN』ボタンが表示された。
「おいおい、『RUN』だってよ。遂に何か起こるんじゃねえの!?」
「カウントダウンしようぜ!」
「5!」
「4!」
「3!」
「2!」
「1!」
「ゼロ!」言うと同時にタツヤは『RUN』ボタンを押す。



















状況を早く、理解しなければ。

体が痛い。

3人の先輩に押さえ付けられている。

何が起こった?

何が変わった?

「あれ?」タツヤが言う。
「何も起こらねえじゃねえか。」

『え?何だって?』

「何だよ、期待させやがって!」
「何も意味無い機能かよ!」

【8月8日23時39分】

2009年8月8日 21時28分00秒 (Sat)

CRM8

【8月8日21時28分】

「ツモ」ジュンは言った。
手配の端を三本指で掴み奥へと倒す。
「メンピン一発ツモイッツードラ3。倍満です。」

「マジかよ。」ナオトは吐息と共に音にならない声を発した。
タツヤが言う。
「カンチャン赤ウーピンを一発でツモか。さっきはペンチャンを一発で跳満。何か如何様でもしてんじゃねえだろうな?そんな事してたらタダじゃ済まねえぞ?」

ジュンは答える。
「如何様なんてしてません。」
『ただ未来が見えてるだけです』と、続けたい衝動を必死に抑えた。

【8月8日21時32分】

東三局
親ジュン53000点
ナオト18000点
タツヤ15000点
ススム14000点

「リーチ」
早々と3巡目でナオトがリーチをかける。

4巡目、ジュンもタンヤオのみで聴牌。
リーチはかけず回す事に。
待ちはウーパーピン。
ススムがツモの後に笑ったように見えた。
実際ススムはこの時点でチンイツリャンペードラ2の三倍満を聴牌していた。
待ちはウーソー。
ダマで待つ。

5巡目、ジュンはナオトの安牌パーピンをきる。
タンヤオのみで聴牌は変わらず。
スーチーピンのリャンメン待ち。
タツヤは自分だけ聴牌していない事に気づいたのか舌打ちをし、セブンスターに火を点け強打した。
ススムのツモはチーワン。
即きりだ。
チーワンはジュンにとって鳴けるる牌だったが、聴牌を崩す事になるので素通り。

6巡目、ジュンのツモした牌はウーソー。
ススムの捨て牌は字牌が殆どで、そこから聴牌そして待ちを予測することはジュンには出来なかった。
特に深く考えずジュンはウーソーを打牌。
左後ろで見ていたシンゴが息を呑んだように感じた。










「ロン」
ススムが言った。
「チンイツリャンペードラ2。三倍満だ。ジュンの運もここまでだな!ははは!」

『RUN』

【8月8日21時36分】

ススムがチーワンを打牌する。

「チー」ジュンは鳴いた。
パーワンを打牌。

ナオトはウーソーをツモ。
一瞬顔が引き攣った気がした。
為す術無く、打牌。

「ロン」
ススムが言うと同時にタツヤが叫んだ。
「莫迦!」
時既に遅し、ススムは手牌を倒していた。










顔を見合わせるタツヤとナオト。

事を理解したのかススムも焦りだす。

ナオトの点数は18000点。

三倍満の24000点は払えない。

ハコでこの半荘は終了する。

ススムは24000点入っても38000点で、ジュンの53000点には届かない。

ジュンが1位だった。

「す、、、すまん。。。」
ススムが脂汗を掻きながら謝罪した。

「糞っ垂れが、、、もう一半荘だ。」
タツヤは煙草の火を睨み付けながら灰皿に押し付け消した。

【8月8日21時41分】

2009年8月8日 20時40分00秒 (Sat)

CRM7

【8月8日(土)20時40分】

『は!』

俄に視界が開けた感覚があった。

『寝てしまったのか!?』

『確実に〔飛んだ〕。』確信があった。

状況を必死に理解しようと脳をフル回転させた。

『ここは、、、

タツヤ先輩の家。』

ジュンの家から自転車で5分程度の団地の中に同じ高校の2年生『タツヤ』の家はある。
タツヤは典型的な『悪』で、碌に授業にも出ず、飲酒、煙草、万引き、喝上げの毎日を送っていた。
同じ部屋の中に自分以外に4人いて、炬燵を囲み麻雀をしている。
タツヤの部屋は一年中炬燵が出ている。

ジュンは思い出した。
タツヤに麻雀に誘われたとき、インフルエンザに罹ったと嘘を吐き回避した事を。
しかし今回は既に来てしまっている。

『目の前に背を向けて座っているのは同じクラスのシンゴか。
上家にススム先輩、対面にタツヤ先輩、下家にナオト先輩だ。』

いつもタツヤ達は後輩を集め麻雀の鴨にしていた。

「ロン!」
ススムが言った。
「ここでリャンピンは危険でしょう!ははは!メンタンピンイーペードラ2!親ッパネ!あらら、ハコですか!ははは!」

シンゴはそこまで詳しく麻雀を知らない。
しかし、有無を言わさずタツヤ達は面子に初心者を入れてお金を巻き上げていた。

シンゴが言う。
「先輩、もう僕お金ありません。勘弁して下さいよ。」

「んだと!?んじゃ選手交代だ。ジュン、お前来い。」
タツヤが言った。
わかっている。
拒否は出来ない。
返事は二つ。
『イエス』か『はい』だ。

ふと、思い出しポケットの中のメモを見る。
『8月5日15時』まではチェックしてあった。

『その後か、、、しかも、丸一日吹き飛ぶのかと思ったら、そうでは無いらしいな。』

テレビを見てジュンは思った。
ニュースで甲子園をやっている。
今日は開幕戦があったらしい。
という事は今日は『8月8日』。
福岡の九州国際大付が茨城の常総学院を4-0から逆転し勝利を収めた。
ジュンには二度目のニュースだ。
愛知の中京大中京が優勝する事も知っている。
同じ高校生が一球入魂の勝負をしている時に、この先輩達は何て情けないんだろうかと思った。
決して麻雀を否定する訳ではない、やるならルールも碌に知らない後輩とではなく、強豪と勝負して欲しい。
その方が一牌入魂出来る。
そう、ジュンは思った。

「おい!早くしろ!」ナオトが急かした。

『とりあえず、目の前の問題から解決するか。』

ジュンは小声でシンゴに訊いた。
「なあ、いくら負けた?」
「1万ちょっとだよ。はあ。」
「俺に任せとけ。」

こっちにはCRMがある。

【8月8日21時7分】

プロフィール

プロフィール画像
ニックネーム
性別
血液型
O型
生年月日
1983年7月11日
所属バンド
『おちゃかば』
『千歳飴』

(※五十音順)
自己紹介
ある時は数学者、
ある時は打楽器奏者、
竹です。

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