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Short & present!


エゴイスト 持ツナ テンマさんより



ボンゴレ邸、夜8時。

書類整理をしていたツナの部屋に、一人の男がやってきた。――包帯を巻いた右腕を肩から下げて。

書類から顔を上げて彼に視線を移したツナは、男の怪我を見て、その大きな亜麻色の瞳を辛そうに揺らした。


「…お帰りなさい、持田先輩」






持田 剣介。

10年前。ツナが中学生だった頃、ひとつ年上の先輩だった剣道部・主将。

かつては、笹川 京子を巡ってツナが初めて死ぬ気モードで戦った相手。

昔は同じ中学校に通う先輩・後輩の関係であったが…、この10年間で色々とあり、今では上司の沢田と部下の持田という関係である。

持田は仏頂面でズカズカと部屋の出入り口からツナのデスクまで大股で歩き、左手に持っていた数枚の報告書をツナの机の上に置いた。


「…ほらよ」


ツナは報告書を手に取り、左から右へ…、また左に戻り右へと眼球を動かして内容に目を通す。

全てを読み終え、報告書を机の上に静かに置いたツナは、持田を見上げるようにして少し擦りキズの付いている彼の顔に視線を移した。


「お疲れ様でした。……大変でしたよね?東エリアで問題を起こしていた不良集団の規制」


「オレは弱ぇって言いてーのかよ、沢田」


「そ、そんなつもりじゃ……っ」


ツリ目で睨みをきかす持田と、肩を揺らしてビクつくツナ。例え上司とはいえ年下の元後輩に頭を下げるような行為は、持田のプライドが許さず、彼はこの数年間ずっとこんな態度をツナに取り続けている。





数年前まで持田の身の周りで様々な危険が及んでいた。

黒曜中の事件をはじめ、黒いスーツを着た明らかに怪しい外国人に尾行されたり、銃刀法違反な修羅場、しまいには『ミルフィオーレ』と名乗る妙な団体の者に拉致られそうになった時の事。

拉致という持田の大ピンチを救ったのは、彼がこの世で一番憎んでた男、―――額に赤く大きな炎を灯した沢田 綱吉だった。

中学卒業以来は、顔を合わす事もなかった二人だったが…、数年振りに廃工場で再会した元後輩は同一人物かと疑問に思わせるくらい凛々しくて……、だけど数秒後には気弱で頼りなさそうな沢田の姿。



それ以来、彼は『ボンゴレファミリー』と関わってしまい、気が付けばボンゴレ入りとなっていた。

持田は剣道有段者で、高校の時は全国大会個人の部で決勝戦に進出した程の実力。

『ボンゴレの二大剣豪』と呼ばれる山本やスクアーロに比べればヒヨッコ同然だが、世間一般で言えば十分強い部類に値する。

………それでもやはり、プロの素質がある訳ではない為、いつも彼が任される仕事は危険度が最低ラインの物。未成年の家出や夜遊びなど、不良を補導するパトロールが持田の仕事。

文句を言いながらも帰れば良い方だが…、中には厄介なケースも数多くある。未成年とはいえ体格の良い奴や武器を持った者の反抗だってある。時には集団で持田を囲んだり………。

彼が怪我して帰ってくる事は今回だけではなかった。

ツナの守護者や暗殺部隊のように超人的に身体能力が優れてる訳でもなく、策を練るような頭脳派でもない。情報収集が得意な訳でもないし、技術屋のように専門分野に長けている訳でもない。

だが持田は、自分が非戦闘員という立場で扱われる事を屈辱に感じ、街のパトロールは彼の仕事となっていた。

そして少しずつだが…、確実に力もつけていっている。





相変わらず二人の間にはギクシャクとした気まずい空気。

口を開いたのはツナの方。


「…、今日は先輩の誕生日ですよね?」


「知ってたのかよ…」


仏頂面だけど、どこか照れたような表情の持田にツナは明るく返事をした。


「はい! ……それで…あの…、これ誕生日プレゼントなんですけど………」


水色のリボンを掛けてある白く長細い箱を引き出しから出したツナは、それを持田の前に差し出す。

箱を持つ白く細い指先に一瞬目を奪われる持田。


「……ま、貰えるモンは貰っとく」


箱を受け取り少し意地の悪気な表情で笑う持田に、ツナは「受け取って貰えて嬉しいです」…と、はにかんだ笑顔を向けた。

トクン・・・ッ!と持田の胸が一瞬大きく高鳴る。

持田は、今まで聞けずにいた疑問を問いてみる事にした。


「………なぁ沢田、何でお前は俺をここに置くんだよ?」


途絶えたツナの笑顔。


「…なんでって……」


「俺は別に守護者みてぇに特別な力がある訳でもねぇし、情報収集が得意な訳でも…秀でた特技がある訳でもねぇ。それ所か、俺とお前は中坊の頃対立した因縁の仲だ」


「………」


「あのガキが俺をボンゴレの一員にした事を、何でお前は了承した?」


「………オレの…、エゴなんです」


「エゴ?」


「……先輩だって辞めたりせず、常に死と隣り合わなボンゴレに何で居てくれるんです?こんな顔も見たくないだろうな後輩がボスなマフィア組織に…」


「……俺のエゴだ」


「答えになってません」


「お前もな」


ツナはどこか辛そうな苦笑いをして、「そうですね」…と答えながら先程読み終えたはずの報告書を持ち上げて読む『ふり』をする。

これ以上、今日はココに居てはいけないと感じた持田は踵を返し、クラシカル作りなドアノブを左手で回した。


「…じゃ、俺は先に休ませて貰うぜ」


「はい…、お休みなさい…」


背を向けたままパタンと閉まるドアの音。

この部屋に残ったのは、この部屋の主と

静けさと

切ない想いと罪悪感。




「…っ、お誕…生日……ッ、おめでとう…ございます……っっ…」



ツナ以外誰も居ないこの部屋で、彼は声を声を震わせながら、本人には言えなかった祝いの言葉を、デスクの上に落ちる大粒の涙と共に零す。





…一方、持田も苦い表情をしながら廊下を歩いていた。





(言える訳がない)

(言える訳がねぇ)



(あなたをココに置く理由が)

(俺がココに居る理由が)



(そばに居て欲しいからだなんて……)

(俺なりにお前を守りたいからだなんて……)





(( これは完全なエゴイズムだ ))





雲で隠された夜の空から、窓を濡らす雨が降り始めた。






スク誕と同じくフリーで初挑戦の持ツナ。


性格とか口調とか未来とか捏造しまくりの好き勝手に書いた結果がコレ…(涙)

でも個人的にモッチー再登場願ってます。


ここまで読んで下さった方は有難うございます(*^∪^*)



 奏 Euph
 素敵持ツナ!もちろん強奪してしまいますよ…っ!持ツナ大好きなのですが、かなりマイナーで…orz でもこうして書いてくださると、幸せが倍々になりますね!エゴイストな持田さん!カッコイイです^^*
 テンマさん、頂いてしまいましたよーw 本当にありがとうございます!

プロフィール

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奏 Euph
割となんでもやる、活動的な魚類。
狐狸・二ノ宮翼・塵芥・ラピなど、名前がたくさんあります。
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