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Short & present!


色とりどり ザンツナ子 ポトスさんへ

 色とりどり


 ボンゴレ10代目の結婚が決まった。全員反対した。制圧された。相手が相手だったせいが、反対と制圧に深くかかわっている。

 暗殺部隊ヴァリアーのボス、ザンザス。
「あのさ、なにもあそこまでやる必要はなかったと思うんだけど…」
「知るか」
「知るか、じゃないよ!ランボなんか掘り出すのに7時間かかったんだからね!!?」
 ボンゴレ女ボス10代目、沢田 綱吉はザンザスの耳に文句を吐きかけた。なぜ耳に吐きかけることができるのか。彼女の身長では当然ながら無理だ。空を飛んでいるわけでもいない。問題は座っている場所だった。
ザンザスのいかつい肩に、ツナは座っていた。ザンザスがツナの尻と太もも、ふくらはぎをそばに置きたいと思った結果と、ツナがザンザスの『嫌ならこの場で犯す』という脅しによる不可抗力だと思っていただければよろしい。とにかく、肩に16になったばかりの少女を乗せ、ザンザスはストリートを5ブロックほど、ずんずんと歩いていた。タクシーに乗れないわけではない。ただ一緒に歩き、自分の女であると主張したかっただけなのだ。
「ねぇ、さっきから聞きたかったんだけどさ…どこに行くの?」
「結婚式の準備だろ」
 ああ、マジだ。この目はマジだよ。ザンザスがこんな目をしている時は自分にとってすごくいいことか、最悪に、壊滅的に悪いことしか待ち受けていない。
「結婚式かー…9代目が許してくれて本当に良かったね」
「まだ安心はできない。てめぇの守護者どもが会場を襲撃にくるかもしれねぇからな…ドカスどもに見張らせるにしても、役不足だろう」
「おまけにリボーンやコロネロまで反対するとは思ってなかったもん。味方してくれたのってヴァリアーの人たちと、了平さんと山本くらいだよね」
 その山本も、恐ろしい視線をザンザスに投げかけていたのを、彼は思い出した。結婚式に招かれたふりをして、何かをやらかす可能性は十分ある。
「そのための対策なんだろうが」
「え?」
 ツナの声を無視し、ザンザスはストリートを大股で歩いていく。ついたところはおおよそ彼には似合わない、小洒落たドレスショップだった。
「……なに?」
「まだドレス買ってねぇだろうが」
 ツナの持っている服は、まわりにいる男どもの願望の塊という言葉がぴったりと合っていた。ベビードールからきわどいラインのカクテルドレスまで、ツナのクローゼットはほとんど何でもそろう。人がいい性格なので、送られてきたネコ耳と首輪まで、タンスの奥底で眠っている始末だった(もちろん、ザンザスによって最大限に活用されたわけだが)。
「会議で着てくる服も黒や色の濃いものばっかりだ。味気ねぇスーツでヴァージンロードに立つつもりか?」
「いや、母さんからドレスは貰ったし」
 それにもうヴァージンではないし、という言葉がのどまででかかったが、ツナはなんとか飲み込んだ。言ってしまったが最後、ザンザスの口元から笑みが消えなくなるだろう。
「…カマから言われた」
「なんて?」
「披露宴のお色直しくらい、綺麗なドレス着させてあげなさいよ。だかなんだか」
 口調は真似しないが、ザンザスの口からルッスーリアのセリフが出るのがすごくおかしく感じた。それに、ザンザスにそこまで気にかけてもらえたのも、嬉しかったのもある。
「そっか…嬉しいよ、ザンザス」
 ちょっと感傷的な気分になったのもつかの間だった。ザンザスは肩からツナをおろすと、ブラックカードを提示し、人払いをした。
「さて、と」
 どっか、と試着室の前にあるイスに座り、試着室のカーテンとレールをつなぐ金具をXガンで撃って破壊する。そんなザンザスに嫌な予感を覚えたツナだった。それははたして、勘違いではない。

「オレの前で着替えてけ。気に入ったのをチェックしてやる」
 ガラガラと、ツナの何かが崩れていた。


 ツナが目の前で色とりどりのドレスを着ては脱いでいく姿は目の保養というか刺激になった。ふわりとしたレースや、さらさらしたシルクの生地が、ツナの肌を覆い、はがされる。
 白い肌の上には昨夜つけた赤い花が散っていて、ツナがそれを目に留めるたびに頬を染めるのも官能的だ。改めて目の前の少女が淫らで、大切な存在であるとわかる。
「ざ、ザンザス…あの…ファスナーが」
 ふと肌から目を離し、背中に視線を移すと、わずかに赤く染まっている肌の上で、銀と青のドレスのファスナーが止まっていた。
「とどかないよぉ…」
 泣きそうな声で言われ、頭がぐらりとかしぐのを感じた。鼻を鳴らして近づき、背中を眺めながら緩慢な動きで背中のファスナーを上げてやると、水に上がった魚のようにびくりと動いた。視姦は、ツナの苦手なプレイのひとつだ。目を細めて笑い、淡い背中の肌に舌を這わせると、強く脈打ってくる。
「や…ちょっ…と、やぁ…/////」
 ざらついた舌がドレスと肌の境というきわどいところをなぞる度に、ツナはぴくぴくと体を震わせる。
 ちゅく、と音を立てて背中に華を咲かせ、ようやくザンザスはその場の満足を得たらしい。ツナの腕を引いて立たせ、じっくりとその姿を眺める。
「そのドレスはいい。胸と首と背中の朱が青に映えるぞ。よく似合ってるじゃねぇか―――」
「わーっ!!わーっ///!!」
 ツナは顔を真っ赤にして、大きく背延びをしてザンザスの口をふさぐ。
「そんな……そんな、嬉しいけど…嬉しくないぃ!」
 びくびくしながらファスナーに手をかけるツナに気がつき、ザンザスは指摘した。
「おい、てめぇ、さっき上げられなかったくせに、下げることはできるのか?」
「え゛、あ」
 死ぬ気でザンザスを煽るドレスを脱ごうとしたら、手が届いてしまった。説明と現状に困り、しどろもどろに言い訳をする声が、唇に触れてくる指に阻まれた。
「まさか、ツナヨシ。てめぇも欲しかったのか?」
「ち、違うって!」
 寄ってくるザンザスに腰や尻をなでられ、必死になってその胸板を押し返す。だがあごを指で上げられ、情熱的なキスを贈られると、どうでもよくなってしまう。
 いつになっても新鮮な感覚を与えてくる、ザンザスの強く荒々しいキス。甘くてなんだか辛い気もする、ザンザスのキス。ひとつ送られるごとに、自分の中で情欲が高まってくる気がする。それはザンザスも同じだった。
 キスをされ、荒い息で呼吸をするツナの背中をとんとんと叩き、ザンザスは小さな耳に囁いた。
「続きは帰ってからにしてやる」
 ぴくり、と疼く胸を抑え、とりあえず『この場』ではないことに、ツナは少なからず安心した。
 でも、今日ばかりは『この場』でも――――
『いや、いけないだろっ!!しっかりしろ、おれ!』
 自分の中で頭をもたげた性欲を自覚し、ツナはぶんぶんと首を振った。その様子を見ながら、熱を高めてきた張本人はクツクツと笑っている。
 ツナは青いドレスを脱ぎ、苦々しげにザンザスを睨みかえすと、ふんと顔と視線をそらし、コートをまとって違うドレスを選び始めた。
 しかし、なんだかんだあっても、整然と並ぶドレスは、自分に似合わないのではと思ってしまうほど、艶やかで美しかった。さっき着た青いドレスなんて、自分には大人っぽすぎるとも思ったのに、ザンザスは似合うと言ってきた。
『なんでも似合うって言ってくれるかな…』
 それはないはずだ。以前ディーノにプレゼントされた金のネックレスなんて、ザンザスにはぎ取られて質屋に流された(そのことをディーノに謝ると、彼は笑って受け流し、後で自分の邸宅でべそをかいていたという)。
 赤いレースのドレスを手に取り、ツナは笑った。はっきりしているザンザスも、自分は好きなのだ。
 淡いピンク色のドレスを選ぶと、ツナはうきうきしながら袖を通す。やはりザンザスは眺めているだけだ。とりあえず疼きを隠すために無視しよう!しかし、そう思った矢先だった。
「………」
「どうした?」
 にやにやと笑っているような声が後ろからかかってくる。ツナは顔をしかめ、真っ赤にしながらぼそぼそと呟いた。
「聞こえねぇな」
「~~~~~っ!リボン結んでください!」
 蝶結びは縦結びになっていた。


「フッ…結婚式の時は流石に手は出せなかったけどな」
「クフフ…今なら5秒で狙えますよ」
「愚鈍だね。僕なら2秒だ」
 くだらないことで争いながら、獄寺と骸、雲雀は天井裏に待機していた。リボーンはケーキの上の辺りにセッティングしているはずだ。ツナには任務が入っているとウソをついてきた(かなり疑われていたし、多分気がつかれている)。
「よし、今だ!」
「あのふざけた猿山のボスに風穴開けてあげるよ!」
「巡らせて差し上げます!」
 意気込んで天井からザンザスの前に襲撃する寸前のことだった。
『新婦のお色直しが終わりました。拍手でお迎えください』
「「「なにぃ(なんだって)(なんですって)!!?」」」
 襲撃の手は一瞬で止まった。隙を見せたと思ったらこれが源だったか。新婦のお色直しの姿。見たい。
「どきなさい!」
 真っ先に骸が天井裏の穴に目をあてた。

 そこには見知った顔の天使がいた。オレンジが強い赤のドレスにふわりとしたレースの髪飾り。バストでドレスを支えるタイプのドレスは大人らしい雰囲気を醸し出している。ウエスト周りのリボンが愛らしさと甘さをプラスしていた。
「天使…綱吉君……愛らしすぎです」
 ぼと。襲撃口から骸が落ち、会場の床と盛大なキッスをかました。

「ど、どうかな?試着した時にいいなって思ったんだけど…」
「似合わなきゃ買わん」
 ザンザスはぶっきらぼうに言う。首元がわずかに赤くなっているのを見て、ツナはにっこりと笑った。
「大好きだよ、ザンザス」
「……なにを企んでやがる?」
「べーつーにー?」
 ふざけたような口調にザンザスは二股に分かれている眉を動かすと、数時間前に誓いを交わしたばかりの唇に、深い口づけを送った。恥ずかしかったが、望んでいたことで、ツナはぴくりと身じろぎ、愛しげな舌使いで返してきた。初めてのことに、自然とそれが深くなる。
 突然の新婚ぶりに、会場の全員が動けなくなる。もちろん襲撃者たちも。
 ザンザスのもくろみは成功した。
1、ツナを素晴らしく変身させる
2、己の所有を主張する
3、襲撃者は意気消沈
4、自分は大満足
 予想外だったのは、ツナも大満足であったこと。鮮やかなドレスがツナの白い肌の上で揺れるのを満足げに眺めてから、ザンザスはもう一輪の華を、彼女の柔らかい肌に送った。





 こんなぐだぐだですが、受け取ってくださると嬉しいです…!横山 ポトスさんのみお持ち帰り可

プロフィール

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奏 Euph
割となんでもやる、活動的な魚類。
狐狸・二ノ宮翼・塵芥・ラピなど、名前がたくさんあります。
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