1.俺の嫁はお姫様
第十幕
煩悩退散
――――ふぅ、こんなもんだろうか。漫画を読んで入れば時間が経つのなんてあっという間だ。
もうかれこれ五冊ほどは読んでしまった。
「一人で時間を使うのってのも乙なもんだな……」
しかし、いったい一人でいるのときには何をするものだろう。と考えることがしばしばある。
ブラウザ起動してニコ動でも見ていたら時間なんて一気にすぎるものなのかもしれない。
何か勿体ない気もするけどな。俺は兄妹がいるからあんまり一人でいる時っていうのはないんだけど。
「ただいまー」
噂をすれば何とやら。どうやら妹が帰ってきたみたいだな。紹介しよう。俺の妹の葉山菜々美だ。
俺は菜々美がいるときはだいたい二人で遊んでいたりする。
シスコンと言われるかもしれないが、俺と菜々美は結構仲が良かったりする。
日曜日は時間が合えば二人で出掛けることもあるし、買い物にもよく一緒に行く。
「おかえり、菜々美」
この家(俺の住む家)は二階建てである。
家族四人の部屋が二階にあって、リビングや浴室など共同で使うものが一階にあるといった感じだ。一階は吹き抜けになっているので二階からよく見渡せる。今は俺が菜々美を二階から見下ろしている感じだ。
「お兄ちゃん、もう帰ってたの? あのさ、友達連れてきたんだけど、家に呼んでも大丈夫だよね?」
うちの両親は共働きなので、家には夜遅くに帰ってくる。とはいっても八時には帰ってくるが……。なので、いつもは俺と菜々美の二人しかこの家にはいないのだ。
一階にいる菜々美の周りを見ても友達の姿は見えない。おそらく外で待たしているのだろう。
特に断る理由もないのでオーケーサインを出しておくことに。
「ありがとっ! 留美ちゃん、入っていいみたい!」
入ってきた菜々美の友達はなんでか大きいカートを持っていた。……家出じゃないよな?
「こんにちわ」
挨拶もきちんとしてくれる。
「こんにちわ。いつも菜々美がお世話になってるね」
保護者代用としての、社交辞令みたいな台詞を吐くが、こういうのもクラスの奴に聞かれたりしたら偉そうだとか言われるのかもな。主に俺が言うからなんだろうけど……。
「じゃあ、留美ちゃん私の部屋来て。早く始めちゃお!」
菜々美はそう言うなり、留美とかいう子をずんずんと引っ張って階段を上がっていく。
何だか、菜々美が一方的に振り回しているようで、心配だなぁ。
「菜々美ちゃん、そんなに引っ張らなくてもちゃんと急ぐから!」
うん、菜々美が留美ちゃんの妹にしか見えない……。それでは俺は二人のお兄さんか。ふむ、それも中々……。
「それではお兄さま、失礼します」
俺の横を通り過ぎる時にぺこっと挨拶をしてくれた。あんまり敵視して見ない辺り、菜々美が俺のことを良く話してくれているのだろう。何かおごってやろう。
「はいよ」
「はいよ」
俺もずっとここにいては退屈なのでそろそろ部屋に戻るか。
菜々美たちが何を始めるのか気になったが、そこは踏み込んではいけない領域だろう。二人が階段を登る前に部屋へ戻ることにした。
「はぁ。今日は一人か」
部屋に戻った俺は、これから何をするかについて真面目に考えていた。第一、このままパソコンでネットサーフィンでもしながらぐーたらする。第二、漫画を読んでぐーたらする。第三、暇だから遊んでくれと妹達と合流してみる。第四……。
「いや、やめよう。ろくなことじゃねぇな」
何をしようとしても変わらないと判断したので、近くのゲーセンまで一っ走りしてこよう。そしてついでに遊んで来れば案外友達がいたりするかもしれないしな。
出掛けるとなれば着替えが必要だ。クローゼットを開けて、近所に出かける用のパーカーとジーパンを引っ張りだす。
着替えの際に隣の妹の部屋から楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
楽しそうな声を聞いたらついつい何をしているか気になってしまう。でも盗み聞きなんてしたら妹の信頼度が大変なことになってしまう。
俺は自分を抑制するためにある行動をとる。
「すーはー、すーはー、むぅ……てやっ!」
※注意、あやしい人ではありません。
胸に手を当て、煩悩払拭作業を行使することによって俺は何とか自制心を取り戻すことに。
さらば俺の煩悩。
だが、ここに長居するのは危険かもしれない。・
「早いとこ出掛けてくるか……」
学校の制服の中に入れっぱなしだった財布を取り出してそう呟くと、俺はそのまま部屋の電気を消して部屋を出ることにした。
念のため鍵も掛けておくことに。男には見られてはならないものがあるってもんよ。
鍵も掛けて、いざ出発という時には隣の部屋から聞こえていた音はすっかりやんでしまっていた。聞こえなくても気になってしまうのが俺の中での道理だ。
でも、これではさっき諦めたことに意味がなくなってしまう。意味のないことをとことん嫌う俺にはそんな真似はできっこない。
あ? 面倒くさい野郎だって? まあ、否定はできないな。
それから俺は階段をかけるようにようにして下りた。
階段を下りる最中に「あっ……」という声が聞こえた気がしたが、きっと俺には関係のないことだと思い、振り返ることさえしなかった。
一旦外に出るという目的を持ってしまえば、俺をここに踏みとどまらせることは容易ではないのだ。目的があるんだという気持ちが高鳴って気持ちの悪い独り言を口走っているが、気にしないでくれ。
相当うきうきとしてたのか、俺は靴紐も結ばずに街の楽園へと繰り出していったのだった。
もうかれこれ五冊ほどは読んでしまった。
「一人で時間を使うのってのも乙なもんだな……」
しかし、いったい一人でいるのときには何をするものだろう。と考えることがしばしばある。
ブラウザ起動してニコ動でも見ていたら時間なんて一気にすぎるものなのかもしれない。
何か勿体ない気もするけどな。俺は兄妹がいるからあんまり一人でいる時っていうのはないんだけど。
「ただいまー」
噂をすれば何とやら。どうやら妹が帰ってきたみたいだな。紹介しよう。俺の妹の葉山菜々美だ。
俺は菜々美がいるときはだいたい二人で遊んでいたりする。
シスコンと言われるかもしれないが、俺と菜々美は結構仲が良かったりする。
日曜日は時間が合えば二人で出掛けることもあるし、買い物にもよく一緒に行く。
「おかえり、菜々美」
この家(俺の住む家)は二階建てである。
家族四人の部屋が二階にあって、リビングや浴室など共同で使うものが一階にあるといった感じだ。一階は吹き抜けになっているので二階からよく見渡せる。今は俺が菜々美を二階から見下ろしている感じだ。
「お兄ちゃん、もう帰ってたの? あのさ、友達連れてきたんだけど、家に呼んでも大丈夫だよね?」
うちの両親は共働きなので、家には夜遅くに帰ってくる。とはいっても八時には帰ってくるが……。なので、いつもは俺と菜々美の二人しかこの家にはいないのだ。
一階にいる菜々美の周りを見ても友達の姿は見えない。おそらく外で待たしているのだろう。
特に断る理由もないのでオーケーサインを出しておくことに。
「ありがとっ! 留美ちゃん、入っていいみたい!」
入ってきた菜々美の友達はなんでか大きいカートを持っていた。……家出じゃないよな?
「こんにちわ」
挨拶もきちんとしてくれる。
「こんにちわ。いつも菜々美がお世話になってるね」
保護者代用としての、社交辞令みたいな台詞を吐くが、こういうのもクラスの奴に聞かれたりしたら偉そうだとか言われるのかもな。主に俺が言うからなんだろうけど……。
「じゃあ、留美ちゃん私の部屋来て。早く始めちゃお!」
菜々美はそう言うなり、留美とかいう子をずんずんと引っ張って階段を上がっていく。
何だか、菜々美が一方的に振り回しているようで、心配だなぁ。
「菜々美ちゃん、そんなに引っ張らなくてもちゃんと急ぐから!」
うん、菜々美が留美ちゃんの妹にしか見えない……。それでは俺は二人のお兄さんか。ふむ、それも中々……。
「それではお兄さま、失礼します」
俺の横を通り過ぎる時にぺこっと挨拶をしてくれた。あんまり敵視して見ない辺り、菜々美が俺のことを良く話してくれているのだろう。何かおごってやろう。
「はいよ」
「はいよ」
俺もずっとここにいては退屈なのでそろそろ部屋に戻るか。
菜々美たちが何を始めるのか気になったが、そこは踏み込んではいけない領域だろう。二人が階段を登る前に部屋へ戻ることにした。
「はぁ。今日は一人か」
部屋に戻った俺は、これから何をするかについて真面目に考えていた。第一、このままパソコンでネットサーフィンでもしながらぐーたらする。第二、漫画を読んでぐーたらする。第三、暇だから遊んでくれと妹達と合流してみる。第四……。
「いや、やめよう。ろくなことじゃねぇな」
何をしようとしても変わらないと判断したので、近くのゲーセンまで一っ走りしてこよう。そしてついでに遊んで来れば案外友達がいたりするかもしれないしな。
出掛けるとなれば着替えが必要だ。クローゼットを開けて、近所に出かける用のパーカーとジーパンを引っ張りだす。
着替えの際に隣の妹の部屋から楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
楽しそうな声を聞いたらついつい何をしているか気になってしまう。でも盗み聞きなんてしたら妹の信頼度が大変なことになってしまう。
俺は自分を抑制するためにある行動をとる。
「すーはー、すーはー、むぅ……てやっ!」
※注意、あやしい人ではありません。
胸に手を当て、煩悩払拭作業を行使することによって俺は何とか自制心を取り戻すことに。
さらば俺の煩悩。
だが、ここに長居するのは危険かもしれない。・
「早いとこ出掛けてくるか……」
学校の制服の中に入れっぱなしだった財布を取り出してそう呟くと、俺はそのまま部屋の電気を消して部屋を出ることにした。
念のため鍵も掛けておくことに。男には見られてはならないものがあるってもんよ。
鍵も掛けて、いざ出発という時には隣の部屋から聞こえていた音はすっかりやんでしまっていた。聞こえなくても気になってしまうのが俺の中での道理だ。
でも、これではさっき諦めたことに意味がなくなってしまう。意味のないことをとことん嫌う俺にはそんな真似はできっこない。
あ? 面倒くさい野郎だって? まあ、否定はできないな。
それから俺は階段をかけるようにようにして下りた。
階段を下りる最中に「あっ……」という声が聞こえた気がしたが、きっと俺には関係のないことだと思い、振り返ることさえしなかった。
一旦外に出るという目的を持ってしまえば、俺をここに踏みとどまらせることは容易ではないのだ。目的があるんだという気持ちが高鳴って気持ちの悪い独り言を口走っているが、気にしないでくれ。
相当うきうきとしてたのか、俺は靴紐も結ばずに街の楽園へと繰り出していったのだった。
プロフィール
- 凍空 瑛
- 最近時間がなくて書けていませんでしたが、また時間ができたので、再開しました。どうぞ、よろしくお願いします。
ブログもやってるので、暇ならどぞ、寄っててください。
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