1.俺の嫁はお姫様
第十二幕
真打ち登場
……朝か。今日はいつも通りの時間だな」
昨日の出来事は全部夢のようなことばかりだった気がする。でも、朝を迎えて実感した。夢ではないと。それが今の俺にとって、何よりも嬉しいことだった。それに、昨日の都美子さんの話は気になってしょうがないので俺は朝食をすばやくすますと、急いで家を飛び出した。
「さて、早いとこ学校に行って転校生がくるか峰っちに聞かないとな」
峰っちは新聞部ということもあって毎朝七時には学校についているそうだ。
基本的に記事は学校内で起きたものを取り扱うという規則ができているそうなので、人に見られるのが恥ずかしくて、早めに学校にきたカップルとかの情報を手に入れるために、なるべく早く学校に来ているとのことだ。お勤めご苦労様です。
いつもは新聞部の部室にいるということなので、学校につくと、鞄もおかずにその部室へと向かう。
場所は三階の三号館にあるらしい。前に峰っちが言っていたのを小耳にはさんだ記憶がある。
「新聞部、新聞部……」
三号館の教室をしらみつぶしに探していると手書きの看板が立てかけてある部屋を見つけた。
「ここか……」
俺は咳払いを一つして、ドアをノックした。
「すいません。峰綾乃さんはいらっしゃいますか?」
すると、ツインテールの後輩らしき人物が出てきた。
「あの、峰さんは……?」
ツインテールの少女は日本の房をふさふさと揺らしながら丁寧な口調で言った。
「先輩なら今しがた転校生がくるとの情報を聞いたようですので、校外を駆けずり回っているかと思われます」
転校生という単語に思考が集中する。
俺は昨日都美子さんに言われたことを思い出していた。すごく嬉しいのだが、なんだか昨日の話では詩織さんの転校は陰謀めいてるだのなんだの言っていたので、少しだけ不安になった。
不安というのも色々あって、詩織さんが俺を覚えてくれているかとか、彼氏はいないかとか、そういった俺とのことだったり。悪質な陰謀を画作しているようならどうしようとか、もしかしたらスパイだったりしてとか、そういう詩織さん本人の存在のことだ。
それはすべて、おのずと分かることなので今は待つしかないんだけどな。
俺は新聞部の後輩にお礼をいって、教室に戻った。俺が戻った頃にはもう余令がなっている時間だった。
「ねぇー光司!」
俺が鞄を机におくと前方から瀬尾カイリが話しかけてきた。片方の目が髪で隠れるような奇怪な髪型の持ち主だ。
「なんだよ?」と俺は返事をする。
「なんだよ? じゃないでしょ。昨日は絵美ちゃんと一緒にいなかったから気になって」
「あれは、俺なりに考えがあってのことで」
「ふーん、考えがあって他の女のことべたべたすることにしたんだ」
「あ、え、いや、あれはたまたまで……」
「光司はたまたま女のこと一緒に学校行くなんてことできるやつじゃないもん」
「たしかに、カイリのおっしゃる通りで」
カイリは翔や亮と同じで高一の時に知り合った。話をきいての通り非常にお節介なやつだ。でも、俺はそのお節介なところを嫌いというかありがたく思ってたりする。
だいたい悩み事は亮に相談して簡単に解決してもらうんだが、亮は男だからすべての問題に対して順応できるわけじゃない。
だからカイリみたいなのがいると色々と助かったりするのだ。
「それで、どんな考えがあるの? わたし昨日絵美ちゃんと帰ったんだけど、めちゃ不機嫌だったよ?」
今のお前の顔もすげぇ不機嫌そうなんだが……。
「絵美不機嫌だったの?」
「わたしがあんたに嘘言ってもしょうがないでしょ?」
「それはそうかもしんないけど……、おかしいな。だって絵美には好きな人がいるから、俺が一緒に帰らない方が自由にできるって聞いたんだけど……」
あれ? なんだかカイリの目が恐くて直視できない。
「それ、誰から聞いたの? あんた絵美ちゃんの好きな人知ってるの?」
「い、えっと、よく行く商店街のおじさん達に聞いて……、絵美の好きな人は知らないな……」
ごめんね、おっちゃん。俺はこんな鬼のような顔でにらみをきかされたら一溜まりもありません。きっと問い詰められに行くかもしれないけど、許してください。
「はぁ……、まったく、その商店街のおじさんもあんたも馬鹿丸出しで何を言っていいかも分からなくなっちゃった。今日はちゃんと絵美ちゃん誘って帰りなさいよ」
「ああ、そうするよ」
言いたいことを言い終えたのか分からないが、カイリは俺の席から立ち去ってくれた。ほっとしているうちのホームルームが始まって転校生の紹介があった。
この学校は五つもクラスがあるのだが、どうしたものかうちのクラスにばかりに転校生がやってくる。ちなみに俺達のクラスはD組だ。ちょっと補足説明をしておくと、昨日の朝にぶつかった桜井杏はE組。謎多き少女、早瀬都美子さんはA組だ。さっき話しかけてきたカイリとか他大多数は俺と同じクラスなんだけどな。話をちょっと戻すと、転校生が多いい理由は謎だ。きっと先生方は知ってるんだろうけど、うちの先生はかなりいい加減な方だからな。
そのうち峰っちが調べ上げくれるだろう。なんて軽い気持ちでいるのであった。
「ガラ、ガラガラ……」
扉は開くのがだ誰も入ってこない。
「ほら、はやく入ってきちゃって」
転校生が教室に中々入ってこないので先生は急ぐように言った。
そしていよいよご登場となるその時が来た。俺らクラスの人間は扉を凝視する。
そして――――――教室に入ってきたのは初めて見る少女だった……。
俺は愕然とした。
……やっぱり嘘じゃねぇか。
都美子さんも何であんな嘘までついて俺を騙したのだろう。
でも……すっげえ可愛い……。交差していた思いが吹き飛ぶぐらいの可愛さだった。他の奴からすればさくらなどと同じレベルの可愛いなのかもしれないが、俺にとっては違かった。
そう……これは好みの問題だ!
黒髪を腰まで垂らした清楚な感じで、大きな眼は鶯色をしていてとても印象的だ。綺麗なでなんというか神々しくて、それでいて凛として……この感覚は昨日会った詩織さんによく似ている気がした。見ているだけで吸い込まれそうな――――そんな美しさを持った感じで。
というかこの子はどうして転校してきたんだ? 何か詩織さんと関係があるのか?
というか峰っちは転校生が来るという情報まで掴んでいたくせに今日は号外してなかったな。
ふとそう思って峰っちの方を見てみると何やら悔しそうなそれでいて残念そうな表情で机に肘をついてその先に延びるこぶしに頬を当てて不機嫌そうにこの場を眺めていた。
峰っちは転校生がくるとかはどうでもいいのかもしれない。ただ自分が誰よりも早く情報を手に入れてみんなに知らせて回る。これが彼女の唯一の喜びであるのだと再確認した一時に感じられた。
俺が視線を後ろ方の峰っちから前にある教卓の方へとうつす。すると……、
「…………都美子さんの言ってたことも正しかったってこと……?」
そこには信じられるようで信じられない光景が広がっていた。転校生は二人いたのだ。最初に入ってきた少女があまりにも好みだからそっちにばかり気を取られていた。
俺は独り事を言い終えると同時に席を立ってしまった。
当然クラスは俺に注目してしまう。立ち上がってからしまったと思うものの、もうどうすることもできない。
「あら、光司さん! 奇遇ですね! これからよろしくお願いします」
クラス中からの視線を集めているというのに、微動だにたじろぐこともなく明るく振る舞う詩織さんは仏かなにかの類なのだろうか。
「ん、あ、よろしく」
知らないうちに席を立っていたということもあって、それだけ口にすると魂の抜けたようにぺしゃりと椅子にへたり込む。
ただ、行動とは反対に俺の頭には都美子さんの言葉が鮮明に思い出されていた。
明日学校に来る。
この事自体は連絡を取り合うような友達なら知っているだろう。だが、友達にしては知らないことが多すぎやしないか。都美子さんは詩織さんのことを少しだけ知っていると言っていた。
その少しというのがどれくらいのものかは分からないけど、八割がた友達ではないと思う。
都美子さんは他に何を知っているのだろう。本当に俺たちの見えないところで何かが動いているのだろうか。
諸事情はさておき、二人の転校生の自己紹介があった。俺の理解なんてまってくれる有余なんてないってか?
まあいい。どんな人か分からせるための自己紹介だ。これを聞けばなんか分かるんじゃないかと思い、俺はしっかりと聞き耳を立てた。
そして聞いたすべての情報はこれだけ。
先に入ってきた子が川上百合菜。後から入ってきたのが、昨日出会った少女、渡辺詩織さん。
二人とも外国から来たらしい。でも別々の国名だった。だから一緒に来たということもないのだろう。確か川上さんがイギリスで、詩織さんがフランスだっけか?
とっても簡単な自己紹介だったのでこんなものなのだろう。ま、海外からきたすげぇ可愛い女の子ってことが分かれば大方良しというものだろう!
その後、彼女等の席決めがあったのだが、さくらの世話係である俺には知りあいだからといっても近くの席を宛がってもらえなかった。
結果を言うと、残念ながらお二人とも席は前の方に座られてしまったということだ。これじゃ話ができねーじゃねーか。でも詩織さんとは運命的なものがあるし、川上さんもその流れで仲良くできるかもしれない。
俺の夢が交差する中、本当に夢を見てしまったようで一時間目から昼休みを挟んで六時間目まで大爆睡をしてしまった。
起きたのは帰りのホームルーム……。
何で誰も起こしてくれなかったのかは――だいたい予想がつくな。詩織さんと俺を引き離そうとしたんだな。まったく、嫌なこと考えてくれるぜ。
ま、終わっちまったものはしょうがない。都美子さんに聞きたいこともあるし、とっとと行くか。
鞄を持ち上げて帰ろうとするといつものようにさくらに声をかけられた。
「あれ、もう帰るの? もうちょっと待っててよ」
「わり、今日は待ち合わせてる人がいるんだ」
「ふーん、そうなんだ。じゃ、またね」
さくらのことだから、そんなの無視して待ってなさい。とか言うものだと思っていたが――結構さっぱりしてるんだな。
俺はそんなことを軽く思いながら颯爽と都美子さんのいるA組へと向かった。
昨日の出来事は全部夢のようなことばかりだった気がする。でも、朝を迎えて実感した。夢ではないと。それが今の俺にとって、何よりも嬉しいことだった。それに、昨日の都美子さんの話は気になってしょうがないので俺は朝食をすばやくすますと、急いで家を飛び出した。
「さて、早いとこ学校に行って転校生がくるか峰っちに聞かないとな」
峰っちは新聞部ということもあって毎朝七時には学校についているそうだ。
基本的に記事は学校内で起きたものを取り扱うという規則ができているそうなので、人に見られるのが恥ずかしくて、早めに学校にきたカップルとかの情報を手に入れるために、なるべく早く学校に来ているとのことだ。お勤めご苦労様です。
いつもは新聞部の部室にいるということなので、学校につくと、鞄もおかずにその部室へと向かう。
場所は三階の三号館にあるらしい。前に峰っちが言っていたのを小耳にはさんだ記憶がある。
「新聞部、新聞部……」
三号館の教室をしらみつぶしに探していると手書きの看板が立てかけてある部屋を見つけた。
「ここか……」
俺は咳払いを一つして、ドアをノックした。
「すいません。峰綾乃さんはいらっしゃいますか?」
すると、ツインテールの後輩らしき人物が出てきた。
「あの、峰さんは……?」
ツインテールの少女は日本の房をふさふさと揺らしながら丁寧な口調で言った。
「先輩なら今しがた転校生がくるとの情報を聞いたようですので、校外を駆けずり回っているかと思われます」
転校生という単語に思考が集中する。
俺は昨日都美子さんに言われたことを思い出していた。すごく嬉しいのだが、なんだか昨日の話では詩織さんの転校は陰謀めいてるだのなんだの言っていたので、少しだけ不安になった。
不安というのも色々あって、詩織さんが俺を覚えてくれているかとか、彼氏はいないかとか、そういった俺とのことだったり。悪質な陰謀を画作しているようならどうしようとか、もしかしたらスパイだったりしてとか、そういう詩織さん本人の存在のことだ。
それはすべて、おのずと分かることなので今は待つしかないんだけどな。
俺は新聞部の後輩にお礼をいって、教室に戻った。俺が戻った頃にはもう余令がなっている時間だった。
「ねぇー光司!」
俺が鞄を机におくと前方から瀬尾カイリが話しかけてきた。片方の目が髪で隠れるような奇怪な髪型の持ち主だ。
「なんだよ?」と俺は返事をする。
「なんだよ? じゃないでしょ。昨日は絵美ちゃんと一緒にいなかったから気になって」
「あれは、俺なりに考えがあってのことで」
「ふーん、考えがあって他の女のことべたべたすることにしたんだ」
「あ、え、いや、あれはたまたまで……」
「光司はたまたま女のこと一緒に学校行くなんてことできるやつじゃないもん」
「たしかに、カイリのおっしゃる通りで」
カイリは翔や亮と同じで高一の時に知り合った。話をきいての通り非常にお節介なやつだ。でも、俺はそのお節介なところを嫌いというかありがたく思ってたりする。
だいたい悩み事は亮に相談して簡単に解決してもらうんだが、亮は男だからすべての問題に対して順応できるわけじゃない。
だからカイリみたいなのがいると色々と助かったりするのだ。
「それで、どんな考えがあるの? わたし昨日絵美ちゃんと帰ったんだけど、めちゃ不機嫌だったよ?」
今のお前の顔もすげぇ不機嫌そうなんだが……。
「絵美不機嫌だったの?」
「わたしがあんたに嘘言ってもしょうがないでしょ?」
「それはそうかもしんないけど……、おかしいな。だって絵美には好きな人がいるから、俺が一緒に帰らない方が自由にできるって聞いたんだけど……」
あれ? なんだかカイリの目が恐くて直視できない。
「それ、誰から聞いたの? あんた絵美ちゃんの好きな人知ってるの?」
「い、えっと、よく行く商店街のおじさん達に聞いて……、絵美の好きな人は知らないな……」
ごめんね、おっちゃん。俺はこんな鬼のような顔でにらみをきかされたら一溜まりもありません。きっと問い詰められに行くかもしれないけど、許してください。
「はぁ……、まったく、その商店街のおじさんもあんたも馬鹿丸出しで何を言っていいかも分からなくなっちゃった。今日はちゃんと絵美ちゃん誘って帰りなさいよ」
「ああ、そうするよ」
言いたいことを言い終えたのか分からないが、カイリは俺の席から立ち去ってくれた。ほっとしているうちのホームルームが始まって転校生の紹介があった。
この学校は五つもクラスがあるのだが、どうしたものかうちのクラスにばかりに転校生がやってくる。ちなみに俺達のクラスはD組だ。ちょっと補足説明をしておくと、昨日の朝にぶつかった桜井杏はE組。謎多き少女、早瀬都美子さんはA組だ。さっき話しかけてきたカイリとか他大多数は俺と同じクラスなんだけどな。話をちょっと戻すと、転校生が多いい理由は謎だ。きっと先生方は知ってるんだろうけど、うちの先生はかなりいい加減な方だからな。
そのうち峰っちが調べ上げくれるだろう。なんて軽い気持ちでいるのであった。
「ガラ、ガラガラ……」
扉は開くのがだ誰も入ってこない。
「ほら、はやく入ってきちゃって」
転校生が教室に中々入ってこないので先生は急ぐように言った。
そしていよいよご登場となるその時が来た。俺らクラスの人間は扉を凝視する。
そして――――――教室に入ってきたのは初めて見る少女だった……。
俺は愕然とした。
……やっぱり嘘じゃねぇか。
都美子さんも何であんな嘘までついて俺を騙したのだろう。
でも……すっげえ可愛い……。交差していた思いが吹き飛ぶぐらいの可愛さだった。他の奴からすればさくらなどと同じレベルの可愛いなのかもしれないが、俺にとっては違かった。
そう……これは好みの問題だ!
黒髪を腰まで垂らした清楚な感じで、大きな眼は鶯色をしていてとても印象的だ。綺麗なでなんというか神々しくて、それでいて凛として……この感覚は昨日会った詩織さんによく似ている気がした。見ているだけで吸い込まれそうな――――そんな美しさを持った感じで。
というかこの子はどうして転校してきたんだ? 何か詩織さんと関係があるのか?
というか峰っちは転校生が来るという情報まで掴んでいたくせに今日は号外してなかったな。
ふとそう思って峰っちの方を見てみると何やら悔しそうなそれでいて残念そうな表情で机に肘をついてその先に延びるこぶしに頬を当てて不機嫌そうにこの場を眺めていた。
峰っちは転校生がくるとかはどうでもいいのかもしれない。ただ自分が誰よりも早く情報を手に入れてみんなに知らせて回る。これが彼女の唯一の喜びであるのだと再確認した一時に感じられた。
俺が視線を後ろ方の峰っちから前にある教卓の方へとうつす。すると……、
「…………都美子さんの言ってたことも正しかったってこと……?」
そこには信じられるようで信じられない光景が広がっていた。転校生は二人いたのだ。最初に入ってきた少女があまりにも好みだからそっちにばかり気を取られていた。
俺は独り事を言い終えると同時に席を立ってしまった。
当然クラスは俺に注目してしまう。立ち上がってからしまったと思うものの、もうどうすることもできない。
「あら、光司さん! 奇遇ですね! これからよろしくお願いします」
クラス中からの視線を集めているというのに、微動だにたじろぐこともなく明るく振る舞う詩織さんは仏かなにかの類なのだろうか。
「ん、あ、よろしく」
知らないうちに席を立っていたということもあって、それだけ口にすると魂の抜けたようにぺしゃりと椅子にへたり込む。
ただ、行動とは反対に俺の頭には都美子さんの言葉が鮮明に思い出されていた。
明日学校に来る。
この事自体は連絡を取り合うような友達なら知っているだろう。だが、友達にしては知らないことが多すぎやしないか。都美子さんは詩織さんのことを少しだけ知っていると言っていた。
その少しというのがどれくらいのものかは分からないけど、八割がた友達ではないと思う。
都美子さんは他に何を知っているのだろう。本当に俺たちの見えないところで何かが動いているのだろうか。
諸事情はさておき、二人の転校生の自己紹介があった。俺の理解なんてまってくれる有余なんてないってか?
まあいい。どんな人か分からせるための自己紹介だ。これを聞けばなんか分かるんじゃないかと思い、俺はしっかりと聞き耳を立てた。
そして聞いたすべての情報はこれだけ。
先に入ってきた子が川上百合菜。後から入ってきたのが、昨日出会った少女、渡辺詩織さん。
二人とも外国から来たらしい。でも別々の国名だった。だから一緒に来たということもないのだろう。確か川上さんがイギリスで、詩織さんがフランスだっけか?
とっても簡単な自己紹介だったのでこんなものなのだろう。ま、海外からきたすげぇ可愛い女の子ってことが分かれば大方良しというものだろう!
その後、彼女等の席決めがあったのだが、さくらの世話係である俺には知りあいだからといっても近くの席を宛がってもらえなかった。
結果を言うと、残念ながらお二人とも席は前の方に座られてしまったということだ。これじゃ話ができねーじゃねーか。でも詩織さんとは運命的なものがあるし、川上さんもその流れで仲良くできるかもしれない。
俺の夢が交差する中、本当に夢を見てしまったようで一時間目から昼休みを挟んで六時間目まで大爆睡をしてしまった。
起きたのは帰りのホームルーム……。
何で誰も起こしてくれなかったのかは――だいたい予想がつくな。詩織さんと俺を引き離そうとしたんだな。まったく、嫌なこと考えてくれるぜ。
ま、終わっちまったものはしょうがない。都美子さんに聞きたいこともあるし、とっとと行くか。
鞄を持ち上げて帰ろうとするといつものようにさくらに声をかけられた。
「あれ、もう帰るの? もうちょっと待っててよ」
「わり、今日は待ち合わせてる人がいるんだ」
「ふーん、そうなんだ。じゃ、またね」
さくらのことだから、そんなの無視して待ってなさい。とか言うものだと思っていたが――結構さっぱりしてるんだな。
俺はそんなことを軽く思いながら颯爽と都美子さんのいるA組へと向かった。
プロフィール
- 凍空 瑛
- 最近時間がなくて書けていませんでしたが、また時間ができたので、再開しました。どうぞ、よろしくお願いします。
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