1.俺の嫁はお姫様
第十六幕
やってしまったのか
翌日、俺は学校に着くと忘れずに持ってきた本をカイリに渡す……のだが、カイリはふんっと言って引っ手繰る様にして俺から本を毟り取った。
「カイリどーした? なんか不機嫌だな」
「どうして不機嫌だかわかる? まぁ分からないなんて抜かしたらぶっ飛ばしてあげるけど」
じろっと俺の顔をみるカイリは本当に俺をぶっ飛ばしそうでなんだか冷汗が出てきた。
「えっと、本返すの遅れてゴメン。これはさっき言ったよな? じゃあ、ページに折り目とかついてたらゴメン……」
とりあえず謝ってみたものカイリは不機嫌になる一方で何も良い方向に進まない。
「あんたさ、――まぁいいわ。せいぜい転校生たちと仲良くするのね」
「カイリ、何か言ってくれないと分からないよ。悪いところがあるなら教えてくれよ」
「そのくらい自分で考えなさい」
カイリはしっしっと小蠅でも追い払うかのように俺をあしらってそっぽを向いてしまった。
俺はあきらめて自分の席に戻る。
するとどこからともなく詩織さんが話しかけてきた。落し物を探してあげた時に話してから、あまり話していなかったので俺の中ではかなり久し振りに思えた。
「光司さん。瀬尾さんと何かあったんですか?」
あまり親しくないはずなのに心配してくれるなんてなんて優しいのだろう。
そんな詩織さんに甘えるように俺は軽い相談のように事情を話す。
「いやあ、俺にもよく分からなくて。最近分からないことが増えてきる一方で」
確かに最近になってどんどん周りの人が分からなくなってきた。絵美にしたって、……ん?
絵美。えみ。昨日。今日のカイリの態度。約束。昨日の約束。帰る。誰と。都美子さん。留美ちゃん。マイシスター。俺の頭の中にバラバラだったイメージが溢れ出てきた。
そうか……思い出した。
昨日は絵美と帰る約束をカイリとしたけど、都美子さんが一昨日言ってたことが気になって、それで……。ああ、そうか。そうだったんだ。大変なことしたな――どーしよ。
「どうかしました?」
詩織さんが俺の顔を覗き込んできた。やばい、こんなとこ見られたらもっと取り返しがつかなくなる。
「あの、詩織さん。ちょっと用事が出来たから席外すわ」
ああ、せっかく詩織さんが話しかけてくれたのに俺はなんてことを。
「あ、はい。どうぞ」
ニッコリと笑って送り出しくれるマリア様に大量の罪悪感を残して俺はカイリに思い出したと報告をしにいった。
カイリは、はぁっと溜息をついてから話を聞いてくれた。
「……あのさ、絵美怒ってる?」
「当たり前でしょ。なんか昨日は二時間ぐらい待ってたみたいよ」
「で、でもさ、なんで絵美が直接俺に言いに来てくれないんだよ?」
「一昨日の朝、光司が他の女の子と一緒に学校来てたからね。邪魔したくなかったんじゃない? ああ、健気な絵美ちゃんは辛いわね。ほんと、同情するわ」
そっか、絵美は俺の邪魔をしないように気を使ってくれたのか。でも直接話してくれたっていいんじゃないか? 彼女ができたわけでもないし、遠慮なんて絵美には全然似合わない。
「まぁ、絵美には謝っておくよ。教えてくれてありがとな」
「どういたしまして」
そっけない挨拶で別れを告げると絵美に謝罪をするべく絵美を探す。もうそろそろホームルームが始まるのでまだ学校に来ていないことなんてないだろう。だが、絵美の席を見ても鞄は置いてなかった。さて、どうしたもんか。これじゃあ、謝まるにも謝まれない。
廊下に出てみたり教室の窓から校内を見渡して見るが絵美の姿はない。
あれこれ探していくうちに時間はどんどんと過ぎていき、担任である島谷先生が教室に入ってきた時点でタイムオーバー。
結局、絵美が学校に来ないままホームルームは始まるのだった。
始まったと思ったらすぐ終わる。俺の午前中の授業はいつもそう。休み時間も基本的には寝ているし、起きていたとしたらトイレに行きたかったんだろうと思われても過言ではないほどよく寝る。
一昨日辺りからは転校生のさくらの所為でちょくちょく睡眠を妨害されるのだが、今だ起きずに抵抗し続けている。いつまで耐えられるか分からないがその気になれば一年ぐらい……。
だから今日も特に何ごともなく過ぎ去っていったのだった……。
「カイリどーした? なんか不機嫌だな」
「どうして不機嫌だかわかる? まぁ分からないなんて抜かしたらぶっ飛ばしてあげるけど」
じろっと俺の顔をみるカイリは本当に俺をぶっ飛ばしそうでなんだか冷汗が出てきた。
「えっと、本返すの遅れてゴメン。これはさっき言ったよな? じゃあ、ページに折り目とかついてたらゴメン……」
とりあえず謝ってみたものカイリは不機嫌になる一方で何も良い方向に進まない。
「あんたさ、――まぁいいわ。せいぜい転校生たちと仲良くするのね」
「カイリ、何か言ってくれないと分からないよ。悪いところがあるなら教えてくれよ」
「そのくらい自分で考えなさい」
カイリはしっしっと小蠅でも追い払うかのように俺をあしらってそっぽを向いてしまった。
俺はあきらめて自分の席に戻る。
するとどこからともなく詩織さんが話しかけてきた。落し物を探してあげた時に話してから、あまり話していなかったので俺の中ではかなり久し振りに思えた。
「光司さん。瀬尾さんと何かあったんですか?」
あまり親しくないはずなのに心配してくれるなんてなんて優しいのだろう。
そんな詩織さんに甘えるように俺は軽い相談のように事情を話す。
「いやあ、俺にもよく分からなくて。最近分からないことが増えてきる一方で」
確かに最近になってどんどん周りの人が分からなくなってきた。絵美にしたって、……ん?
絵美。えみ。昨日。今日のカイリの態度。約束。昨日の約束。帰る。誰と。都美子さん。留美ちゃん。マイシスター。俺の頭の中にバラバラだったイメージが溢れ出てきた。
そうか……思い出した。
昨日は絵美と帰る約束をカイリとしたけど、都美子さんが一昨日言ってたことが気になって、それで……。ああ、そうか。そうだったんだ。大変なことしたな――どーしよ。
「どうかしました?」
詩織さんが俺の顔を覗き込んできた。やばい、こんなとこ見られたらもっと取り返しがつかなくなる。
「あの、詩織さん。ちょっと用事が出来たから席外すわ」
ああ、せっかく詩織さんが話しかけてくれたのに俺はなんてことを。
「あ、はい。どうぞ」
ニッコリと笑って送り出しくれるマリア様に大量の罪悪感を残して俺はカイリに思い出したと報告をしにいった。
カイリは、はぁっと溜息をついてから話を聞いてくれた。
「……あのさ、絵美怒ってる?」
「当たり前でしょ。なんか昨日は二時間ぐらい待ってたみたいよ」
「で、でもさ、なんで絵美が直接俺に言いに来てくれないんだよ?」
「一昨日の朝、光司が他の女の子と一緒に学校来てたからね。邪魔したくなかったんじゃない? ああ、健気な絵美ちゃんは辛いわね。ほんと、同情するわ」
そっか、絵美は俺の邪魔をしないように気を使ってくれたのか。でも直接話してくれたっていいんじゃないか? 彼女ができたわけでもないし、遠慮なんて絵美には全然似合わない。
「まぁ、絵美には謝っておくよ。教えてくれてありがとな」
「どういたしまして」
そっけない挨拶で別れを告げると絵美に謝罪をするべく絵美を探す。もうそろそろホームルームが始まるのでまだ学校に来ていないことなんてないだろう。だが、絵美の席を見ても鞄は置いてなかった。さて、どうしたもんか。これじゃあ、謝まるにも謝まれない。
廊下に出てみたり教室の窓から校内を見渡して見るが絵美の姿はない。
あれこれ探していくうちに時間はどんどんと過ぎていき、担任である島谷先生が教室に入ってきた時点でタイムオーバー。
結局、絵美が学校に来ないままホームルームは始まるのだった。
始まったと思ったらすぐ終わる。俺の午前中の授業はいつもそう。休み時間も基本的には寝ているし、起きていたとしたらトイレに行きたかったんだろうと思われても過言ではないほどよく寝る。
一昨日辺りからは転校生のさくらの所為でちょくちょく睡眠を妨害されるのだが、今だ起きずに抵抗し続けている。いつまで耐えられるか分からないがその気になれば一年ぐらい……。
だから今日も特に何ごともなく過ぎ去っていったのだった……。
プロフィール
- 凍空 瑛
- 最近時間がなくて書けていませんでしたが、また時間ができたので、再開しました。どうぞ、よろしくお願いします。
ブログもやってるので、暇ならどぞ、寄っててください。
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