1.俺の嫁はお姫様
第十七幕
誰ですか 前編
昼休みになると、詩織さんがお弁当を一緒に食べないかと誘ってくれた。さっきのことで気を使ってくれているのかもしれない。まーでもカイリとは仲直りできたんだけどな。
朝問題になっていた元凶である絵美を探してみるが、いない。
「あいつ、今日は学校来ないつもりなのかな。でも絵美がいないのならこの話に乗っても罰は当たらないよな」
んー、大丈夫だろ。
何も悪いことはしていないし、俺が誰と飯を食おうがあいつには関係ない。それでも保険ってことで翔と亮も誘ってみるか。
俺は詩織さんにオーケーを出してから翔と亮を探してみる。
「翔はいないみたいだな」
教室の隅から隅まで眺めてみても翔の姿は見えない。食堂にでも行ったのだろうか。
亮は一人で弁当を食べていたので一緒に食べようと声をかけて、二人で詩織さんのところに向かうことにした。
お弁当を持って席をくっつけると机は四つになった。さて、あと一人は誰でしょう? 疑問に思っている間におのずと答えは目の前に現れた。川上さんだ。彼女は転校してきてからまだ詩織さん以外の人と口を利いたことがないそうだ。
みんなの情報から察するに川上さんは無口な子なんだそうだ。詩織さんはそのことも気遣って俺たちを食事に誘ってくれたのかもしれない。
可愛い子二人と一緒にランチだなんて俺も成長したもんだ。心の中ではそう思い、もちろん表面には出さずに川上さんに会釈をして、椅子に座る。相変わらず無反応な彼女だったが、詩織さんに呼ばれると、ちょんと椅子に腰かけた。
ほんと、お人形さんみたいに整った顔してるよな……。
川上さんは存在するだけでその場の雰囲気を英国のそれと変えてしまうような、そんな魅力があった。別に英国が素敵なのではなく、周りとは違う情景を創造できるということが美しいのだ。
そんな魅力のせいで彼女は詩織さんやさくらと並び、今や《2D三大美女》と謳われているのだ。
俺たち四人が席に着いたことを確認してから、
「それではみなさん頂いちゃいましょう」
という詩織さんの掛声によって楽しいお昼ごはんの時間が始まった。
亮は詩織さんに誘ってもらったことに対して改めてお礼をしていた。まったく、律儀なやつだ。でも律儀すぎるのも良くないぜ。
誘いを断らない。これも礼の一つ。
――時間が過ぎると共に会話もはずんでいく。
「あのさ、光司と渡辺さんはどういう関係なんだ? 転校してくる前から知ってるみたいな感じだったよな? 昨日は何だか光司がおかしかったから聞きそびれたんだ。せっかく二人そろってる良い機会なんだし教えてくれよ」
そっか昨日は都美子さんに詩織さんのことを聞きたくて、でもどうしようかって感じで、ずっと考え事してたんだったっけ。でもどんな関係って……こっちが聞きたいな。
「じゃあ、その質問にはわたしがお答えしますね」
黙っていた俺を見かねてなのか、詩織さんはニコッと微笑むと亮の質問に答えた。
「三日前の話なんですけど、わたしがピン止めをなくしてしまった時に光司さんが探すのを手伝ってくださったんです。わたしはその時初めて光司さんを知りましたので、古くからの友人とかではありません。でも、こちらに来てからこんなに親切にしていただいたのは初めてだったので今でも感謝の気持ちを忘れてはいません。そういった間柄です。こんな説明でよろしいでしょうか?」
「ああ、ありがとう。それだけ分かれば十分だ。それにしても光司も隅に置けないな。ま、俺もその場に居合わせていたなら間違いなく詩織さんのお手伝いをしていただろう。それだけは言っておきたいし、分かってもらいたいな。で、詩織さんは光司を追いかけてこの学校に来たってことか?」
詩織さんは目をぱちくりさせていた。俺も唖然とした表情になっていたのかもしれない。だって、何で詩織さんが俺を追いかけなくちゃあいけないんだよ。確かに手伝ったことで好感度はあがったのかもしれないけど、それはそれ、これはこれだ。
だいたいそれだけの事で追っかけになっていたら俺にはとっくに彼女の一人や二人はできているだろう。考えても見ろ。道尋ねられてそこまで送ってあげたら次の日学校に転校してきましたなんてことが日常だったら今頃転校しまくりだろきっと。ん? ちょっと待ってよ。日常? 最近起きていることは非日常だから、えっと、その、つまり、ありえるってことなのか?
「おーい、光司」
亮に揺さぶられてやっと自分が妄想の世界に引きずり込まれていたのを実感した。おっとここはしっかり聞いておかなければ。俺は机の中に入っていた洗濯バサミで指を軽く挟んでおく。
ぐ……これは思った以上に痛いな……。
「詩織さん? 違うなら違うって言ってもいいんだよ。ただ光司の親友である俺からすると非常に興味深いことなんだ。仮に追いかけてきたのだとしたら、俺はこの事を誰にも話すつもりはない。面白半分可笑しくでっち上げなんてことは絶対にしない」
亮の目がいつになく真剣だ。でもこれってそんなに言葉の詰まる質問なのか? ただ俺を追いかけてきたんじゃなくたまたまです。と言えば丸く収まる話なのだろ?それなのにどうして。
「はい、えっとそれは――」
「あーぁあ、ばっからし。んなこと聞いてどうすんのよ」
朝問題になっていた元凶である絵美を探してみるが、いない。
「あいつ、今日は学校来ないつもりなのかな。でも絵美がいないのならこの話に乗っても罰は当たらないよな」
んー、大丈夫だろ。
何も悪いことはしていないし、俺が誰と飯を食おうがあいつには関係ない。それでも保険ってことで翔と亮も誘ってみるか。
俺は詩織さんにオーケーを出してから翔と亮を探してみる。
「翔はいないみたいだな」
教室の隅から隅まで眺めてみても翔の姿は見えない。食堂にでも行ったのだろうか。
亮は一人で弁当を食べていたので一緒に食べようと声をかけて、二人で詩織さんのところに向かうことにした。
お弁当を持って席をくっつけると机は四つになった。さて、あと一人は誰でしょう? 疑問に思っている間におのずと答えは目の前に現れた。川上さんだ。彼女は転校してきてからまだ詩織さん以外の人と口を利いたことがないそうだ。
みんなの情報から察するに川上さんは無口な子なんだそうだ。詩織さんはそのことも気遣って俺たちを食事に誘ってくれたのかもしれない。
可愛い子二人と一緒にランチだなんて俺も成長したもんだ。心の中ではそう思い、もちろん表面には出さずに川上さんに会釈をして、椅子に座る。相変わらず無反応な彼女だったが、詩織さんに呼ばれると、ちょんと椅子に腰かけた。
ほんと、お人形さんみたいに整った顔してるよな……。
川上さんは存在するだけでその場の雰囲気を英国のそれと変えてしまうような、そんな魅力があった。別に英国が素敵なのではなく、周りとは違う情景を創造できるということが美しいのだ。
そんな魅力のせいで彼女は詩織さんやさくらと並び、今や《2D三大美女》と謳われているのだ。
俺たち四人が席に着いたことを確認してから、
「それではみなさん頂いちゃいましょう」
という詩織さんの掛声によって楽しいお昼ごはんの時間が始まった。
亮は詩織さんに誘ってもらったことに対して改めてお礼をしていた。まったく、律儀なやつだ。でも律儀すぎるのも良くないぜ。
誘いを断らない。これも礼の一つ。
――時間が過ぎると共に会話もはずんでいく。
「あのさ、光司と渡辺さんはどういう関係なんだ? 転校してくる前から知ってるみたいな感じだったよな? 昨日は何だか光司がおかしかったから聞きそびれたんだ。せっかく二人そろってる良い機会なんだし教えてくれよ」
そっか昨日は都美子さんに詩織さんのことを聞きたくて、でもどうしようかって感じで、ずっと考え事してたんだったっけ。でもどんな関係って……こっちが聞きたいな。
「じゃあ、その質問にはわたしがお答えしますね」
黙っていた俺を見かねてなのか、詩織さんはニコッと微笑むと亮の質問に答えた。
「三日前の話なんですけど、わたしがピン止めをなくしてしまった時に光司さんが探すのを手伝ってくださったんです。わたしはその時初めて光司さんを知りましたので、古くからの友人とかではありません。でも、こちらに来てからこんなに親切にしていただいたのは初めてだったので今でも感謝の気持ちを忘れてはいません。そういった間柄です。こんな説明でよろしいでしょうか?」
「ああ、ありがとう。それだけ分かれば十分だ。それにしても光司も隅に置けないな。ま、俺もその場に居合わせていたなら間違いなく詩織さんのお手伝いをしていただろう。それだけは言っておきたいし、分かってもらいたいな。で、詩織さんは光司を追いかけてこの学校に来たってことか?」
詩織さんは目をぱちくりさせていた。俺も唖然とした表情になっていたのかもしれない。だって、何で詩織さんが俺を追いかけなくちゃあいけないんだよ。確かに手伝ったことで好感度はあがったのかもしれないけど、それはそれ、これはこれだ。
だいたいそれだけの事で追っかけになっていたら俺にはとっくに彼女の一人や二人はできているだろう。考えても見ろ。道尋ねられてそこまで送ってあげたら次の日学校に転校してきましたなんてことが日常だったら今頃転校しまくりだろきっと。ん? ちょっと待ってよ。日常? 最近起きていることは非日常だから、えっと、その、つまり、ありえるってことなのか?
「おーい、光司」
亮に揺さぶられてやっと自分が妄想の世界に引きずり込まれていたのを実感した。おっとここはしっかり聞いておかなければ。俺は机の中に入っていた洗濯バサミで指を軽く挟んでおく。
ぐ……これは思った以上に痛いな……。
「詩織さん? 違うなら違うって言ってもいいんだよ。ただ光司の親友である俺からすると非常に興味深いことなんだ。仮に追いかけてきたのだとしたら、俺はこの事を誰にも話すつもりはない。面白半分可笑しくでっち上げなんてことは絶対にしない」
亮の目がいつになく真剣だ。でもこれってそんなに言葉の詰まる質問なのか? ただ俺を追いかけてきたんじゃなくたまたまです。と言えば丸く収まる話なのだろ?それなのにどうして。
「はい、えっとそれは――」
「あーぁあ、ばっからし。んなこと聞いてどうすんのよ」
プロフィール
- 凍空 瑛
- 最近時間がなくて書けていませんでしたが、また時間ができたので、再開しました。どうぞ、よろしくお願いします。
ブログもやってるので、暇ならどぞ、寄っててください。
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