碧ちゃんの話
6
近づくなと言ったその口で、次に会った時に、と言う。
口ではそんなことを言って、というか実際にそう思っているのだろうが、だからといってその意志や行動を強要しようとは思っていない。
やはり、良い娘なのだろう。
「まったく、怪我すんな、なんて言っても無駄だろうから言わねぇけどよ、いつも言ってんだろうが。怪我した時はちゃんと手当てを受けろよってさ」
そうぶつぶつと呟いて手当てを続けて、それから急にハッとした顔になった。
喧嘩に明け暮れたという学生時代には、彼女の言うところの仲間たちにいつもこう言っていたのだろう。その光景を想像して、少し笑ってしまった。
「ほら、終わったぞ」
照れ隠しなのだろう、メイドさんは少し頬を赤らめて、手当したばかりの傷をぽんと叩いた。
「うん、ありがとう」
手当は自分の望んだことではないが、それでも自分の為に何かしたいと思ってくれたことは嬉しいし、して貰ったのなら礼を言う。
当たり前の話。
なのに、礼を言われた当のメイドさんは何故か渋い顔をしていた。
「何?」
「いや……」
どうしたのかと聞いてみても、そう生返事をしてただ傷を叩くのを繰り返す。
「こうやって痛がるのを見て、痛いのは生きてる証拠、痛いのが嫌なら気を付けろ……ってぇのが定番だったんだけど」
「いや、痛いよ?」
うん、痛い。叩かれるたび、治りかけの傷にじんじんとする鈍い痛みが走る。
ただ、気になる程の痛みではなく、反応する程の強さでもないというだけ。
「えー……いや、うん。まぁいいや」
よくわからないが、深く考えないことにしたのだろう。手際よく使った治療用具を片付けていく。
恐らく、いつも持ち歩いているのだろう。
拒否されても無理やり治療するために。
そういえば、昨日千恵理があの少女のことを、怪我をしている人を見て見ぬふり出来ない子だ、と言っていた。
気に掛けるけれど、自分がそうして欲しいからと相手の自由意思を尊重する。
気に掛けた上で、相手の自由意思はどうでもいいから自分が決めたことをする。
間に挟まる物が違うだけで、突き詰めれば自分のやりたいようにやる。
そう考えれば、あの少女とこのメイドさんとは似た者主従なのかもしれない。
口ではそんなことを言って、というか実際にそう思っているのだろうが、だからといってその意志や行動を強要しようとは思っていない。
やはり、良い娘なのだろう。
「まったく、怪我すんな、なんて言っても無駄だろうから言わねぇけどよ、いつも言ってんだろうが。怪我した時はちゃんと手当てを受けろよってさ」
そうぶつぶつと呟いて手当てを続けて、それから急にハッとした顔になった。
喧嘩に明け暮れたという学生時代には、彼女の言うところの仲間たちにいつもこう言っていたのだろう。その光景を想像して、少し笑ってしまった。
「ほら、終わったぞ」
照れ隠しなのだろう、メイドさんは少し頬を赤らめて、手当したばかりの傷をぽんと叩いた。
「うん、ありがとう」
手当は自分の望んだことではないが、それでも自分の為に何かしたいと思ってくれたことは嬉しいし、して貰ったのなら礼を言う。
当たり前の話。
なのに、礼を言われた当のメイドさんは何故か渋い顔をしていた。
「何?」
「いや……」
どうしたのかと聞いてみても、そう生返事をしてただ傷を叩くのを繰り返す。
「こうやって痛がるのを見て、痛いのは生きてる証拠、痛いのが嫌なら気を付けろ……ってぇのが定番だったんだけど」
「いや、痛いよ?」
うん、痛い。叩かれるたび、治りかけの傷にじんじんとする鈍い痛みが走る。
ただ、気になる程の痛みではなく、反応する程の強さでもないというだけ。
「えー……いや、うん。まぁいいや」
よくわからないが、深く考えないことにしたのだろう。手際よく使った治療用具を片付けていく。
恐らく、いつも持ち歩いているのだろう。
拒否されても無理やり治療するために。
そういえば、昨日千恵理があの少女のことを、怪我をしている人を見て見ぬふり出来ない子だ、と言っていた。
気に掛けるけれど、自分がそうして欲しいからと相手の自由意思を尊重する。
気に掛けた上で、相手の自由意思はどうでもいいから自分が決めたことをする。
間に挟まる物が違うだけで、突き詰めれば自分のやりたいようにやる。
そう考えれば、あの少女とこのメイドさんとは似た者主従なのかもしれない。
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プロフィール
- 名前
- 未田 尚(まだ なお)
- 通称
- にゃー
- お仕事募集ちう。
- 文章を書く関係ならなんでも。
連絡は「お問合せ」まで。
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