碧ちゃんの話
8
「もういっそ相手しなければいいんじゃないんですかね。こっちから相手しなければ向こうから突っかかってくる事はないんですから。ちょうど勝ち越したんですよね? これでもう勝ったッ! 完! でいいじゃないですか?」
「こんな僅差での勝ちは勝ちではありません。地面に這いつくばった小岩井碧を見下ろして高笑いをしなければ」
僅差というか、話を聞く限りでは星を並べるために勝てそうなところを探して不戦勝という事にしている、だけだと思うのだが。
「だったら、もう不戦勝を適当に100個位でっち上げて圧勝ってことにしちゃえばいいじゃないですか?」
「そんな勝ち方で嬉しいわけがないでしょう」
「えぇ……」
そもそも言い掛かり的に不戦勝を積み上げている、という時点でどうかと思うのだけれど、お嬢様の中には何か基準があるらしい。
「それよりも、言いましたでしょう? 小岩井碧に勝つ方法を考えなさい」
「えー……」
「はい」
相良さんが何か言おうとする前に、双海さんが手を上げた。
「双海」
「はい。高等部生が初等部生相手にムキになってる時点で負けだと思います」
その明らかな暴言に、しかしお嬢様はお仕置きするでもなく黙り込んだ。
つまるところ、全てそこに集約されるのだろう。そして本人もそれがわかっている。
高等部生と初等部生、年齢差で恐らく五歳程の……しかし成長期を挟む決定的な差。
勝っても当然どころか大人げないと言われ、負ければどうしてと言われるだけの差。
『対等な勝負』をするにはハンデを付けるしかないが、勝っても負けてもそのハンデが相応しい物だったか疑問視され、参考記録にしかならない。
結果がどうであろうと、真剣に勝負しようとする時点で損にしかならない相手なのだ。
何故そんなことに、とも思うが、今までの会話からして、お嬢様の方が碧ちゃんに突っかかって、この状況にしてしまったのだろう。
「……お嬢にとっての勝ちはお友達になることなんですから、さっさと友達になってくださいって言っちゃえばいいですのにねぇ」
「相良」
ゴン
お嬢様の命令に、相良さんが間髪入れずに反応した。
「いたぁい」
双海さんが頭を押さえる。
音からして、今のは割と本気で殴ったらしい。
「今のはあなたが悪いです」
「……自分でも、言っちゃってから今のはないなと思いました」
ここまでずっと、揶揄う様な不真面目な態度だった双海さんが、少しだけ真面目な声でそう言った。
「友達とは対等な者同士がなるものです。高貴な弁財の人間が小岩井の娘と友達になるなどありえませんわ」
ああ、成程。
つまり、お嬢様は碧ちゃんと友達になりたいのだろう。
だが、対等でなければ友達にはなれないと……自分が相手と対等な存在と証明してからでなければ友達になるわけにはいかないと、そうプライドが邪魔をしているのだろう。
だから負けっぱなしではいられない。
だから、勝ち負けにこだわるし勝ち星を無理矢理にでも対等にしようとする
何かひとつでも勝ったと思えなければ、友達になりたいのだという自分の気持ちを認める訳にはいかない。
そのひとつがあれば少しは素直になれる。その為に意地を張り続ける。
個人的には、友達は対等である必要はないと思う。
少なくとも、能力的には。一方的に寄りかかったり、利用するような関係でさえなければ。
一方的ではなく相互的であれば、金銭的にだったり、能力的にだったり、精神的にだったり、ぞれぞれの出来ることで寄り掛かり合ったり支え合ったり、利用し合ったりするのもいいのではないか。
それで精神的に対等であれば、それはそれで友情なのだと思う。
この四人の様に。
「こんな僅差での勝ちは勝ちではありません。地面に這いつくばった小岩井碧を見下ろして高笑いをしなければ」
僅差というか、話を聞く限りでは星を並べるために勝てそうなところを探して不戦勝という事にしている、だけだと思うのだが。
「だったら、もう不戦勝を適当に100個位でっち上げて圧勝ってことにしちゃえばいいじゃないですか?」
「そんな勝ち方で嬉しいわけがないでしょう」
「えぇ……」
そもそも言い掛かり的に不戦勝を積み上げている、という時点でどうかと思うのだけれど、お嬢様の中には何か基準があるらしい。
「それよりも、言いましたでしょう? 小岩井碧に勝つ方法を考えなさい」
「えー……」
「はい」
相良さんが何か言おうとする前に、双海さんが手を上げた。
「双海」
「はい。高等部生が初等部生相手にムキになってる時点で負けだと思います」
その明らかな暴言に、しかしお嬢様はお仕置きするでもなく黙り込んだ。
つまるところ、全てそこに集約されるのだろう。そして本人もそれがわかっている。
高等部生と初等部生、年齢差で恐らく五歳程の……しかし成長期を挟む決定的な差。
勝っても当然どころか大人げないと言われ、負ければどうしてと言われるだけの差。
『対等な勝負』をするにはハンデを付けるしかないが、勝っても負けてもそのハンデが相応しい物だったか疑問視され、参考記録にしかならない。
結果がどうであろうと、真剣に勝負しようとする時点で損にしかならない相手なのだ。
何故そんなことに、とも思うが、今までの会話からして、お嬢様の方が碧ちゃんに突っかかって、この状況にしてしまったのだろう。
「……お嬢にとっての勝ちはお友達になることなんですから、さっさと友達になってくださいって言っちゃえばいいですのにねぇ」
「相良」
ゴン
お嬢様の命令に、相良さんが間髪入れずに反応した。
「いたぁい」
双海さんが頭を押さえる。
音からして、今のは割と本気で殴ったらしい。
「今のはあなたが悪いです」
「……自分でも、言っちゃってから今のはないなと思いました」
ここまでずっと、揶揄う様な不真面目な態度だった双海さんが、少しだけ真面目な声でそう言った。
「友達とは対等な者同士がなるものです。高貴な弁財の人間が小岩井の娘と友達になるなどありえませんわ」
ああ、成程。
つまり、お嬢様は碧ちゃんと友達になりたいのだろう。
だが、対等でなければ友達にはなれないと……自分が相手と対等な存在と証明してからでなければ友達になるわけにはいかないと、そうプライドが邪魔をしているのだろう。
だから負けっぱなしではいられない。
だから、勝ち負けにこだわるし勝ち星を無理矢理にでも対等にしようとする
何かひとつでも勝ったと思えなければ、友達になりたいのだという自分の気持ちを認める訳にはいかない。
そのひとつがあれば少しは素直になれる。その為に意地を張り続ける。
個人的には、友達は対等である必要はないと思う。
少なくとも、能力的には。一方的に寄りかかったり、利用するような関係でさえなければ。
一方的ではなく相互的であれば、金銭的にだったり、能力的にだったり、精神的にだったり、ぞれぞれの出来ることで寄り掛かり合ったり支え合ったり、利用し合ったりするのもいいのではないか。
それで精神的に対等であれば、それはそれで友情なのだと思う。
この四人の様に。
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プロフィール
- 名前
- 未田 尚(まだ なお)
- 通称
- にゃー
- お仕事募集ちう。
- 文章を書く関係ならなんでも。
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