異世界ですよ、山田さん!
プレミアムなフライデーな新世界
官房長官と書いて人間兵器と読む
「あちらに控えている、赤髪の少女。彼女により召喚された異国の戦士、それが、あなたというわけです」
「はあ……」
ロウソクっぽい照明の置かれた、マーブル模様のでっかい円卓をオッサンズ(2名)と囲む。十字に配置すれば麻雀マットを5枚は敷けそうだ。
そして|対面《トイメン》の魔王閣下、もとい国王陛下が事情を説明してくれる。顔の下から黄色い光を浴びているせいで、顔の陰がとんでもなく不気味な雰囲気を醸してる。
怪談話とかで、懐中電灯でアゴの下から顔照らすやつ。あの照明効果を地で体現してる。
最初にいた赤絨毯の間から、俺はエーテルに引っ張られてこの円卓の間に来ていた。
中学校の教室程度の広さ、真ん中に高そうな円卓を据えた部屋で出迎えたのはコワモテ陛下と、ムキムキマッチョな宰相。
他にいっぱいいた連中は、それぞれ外せない仕事があるとかでここにはいない。
彼らと俺はフカフカの高そうな椅子に座ったが、案内してくれた少年少女は席に着かず、円卓の間の入り口付近で立っていた。
で、お互いの紹介を終えて、あちらがこうなったいきさつを説明したところ。
「納得いかぬ、というご様子ですな」
国王から時計回りに席一つ空けて座る、ムキムキスキンヘッドの素敵な宰相が俺の意を汲む。
「いえ、はい、大丈夫です」
ややしどろもどろな俺の返答にも、宰相は穏やかな表情のまま頷く。名前は、えーと、シュバ、シュタ、なんだったっけ。わっかんねーや。
最初に、赤絨毯の間で『あらせられます』って言ってた人ね。
どの辺が素敵かって? 黒い眉にカイゼル髭はやしてるあたり、素敵だろ。
―――まあ、オッサンがやれ怪しさMAXだのやれ筋肉ムキムキだのってのは、この際些末なことだ。
問題は、そういうトガりきったオッサンたちに、異国の戦士というトガった|役職《みぶん》に祭り上げられていることである。
「左様ですか。ならば、本題に入りましょう」
筋肉宰相が切り出す。
続いて、向かって左、俺の正面に座る国王陛下が、いよいよ暗澹たる微笑みをこちらに突き刺してくる。
「山田様」
「はい……」
俺は思わず居住まいを正す。なんだ。どんな無理難題が飛んでくるんだ。
俺、全然『左様ですか』って気分ではないのですが……!
「今我々は、非常に難しい局面を迎えつつあります」
―――はい。
「国内では若年層を中心とした少数過激な反体制派が破壊活動を企て」
―――一昔前は|日本《ウチ》にもいた気がしますねえ。
「一部では移民に対する差別も根強く」
―――はい。
「北の国境を接する国とは領土問題があり」
―――はい。
「東の国とは歴史認識で溝があり」
―――はい。
「さらにかの国は新しい軍用技術の開発・試験を積極的に進め、国境の安全保障を脅かしているとのこと」
―――……はい。
「このような局面を打開すべく、ぜひあなたに政治顧問を務めていただきたいのです」
思った通りだった―――! それ全部解決できたら俺|我が国《ニッポン》の総理大臣になれるわ!
無茶振りにも限度ってもんがあるでしょう。せいぜい俺ができるのって、官房長官スキル:必殺“遺憾の意”くらいだぞ。
この面白そうな事態に興味はある。ただ、そこで、世界救うとか政治顧問なんて大仕事やれと言われても。
こちとら、自分とこの企業戦士やるだけで手一杯な|一般人《リーマン》すよ。まず平日は|現実《むこう》にいなきゃだし。
そーいう面倒なことは他の|物好き《ゆうしゃ》を|召喚《よ》んでやってもらうことにして、俺は(できればガイドをお供に)、来たい時に来て、適当にその辺観光したりとかってできないかなあ―――。
「いささか役不足な感はありますが、引き受けていただけますかな?」
耳の奥底まで響く陛下の声で、俺は目の前の現実(?)に引き戻される。この俺の何を見抜けば、そこまで買い被れるのか不思議でならない。
俺が政治顧問やるんだったら、少なくとも『指クンッ!』で山ドッカーンできる程度の能力は欲しい。
そう、政治顧問(人間兵器)でありたい。
残念ながら、そういった未知なるパワーに目覚めた自覚がない以上、機智叡智を駆使してなんやかんやする道しかない。
ぶっちゃけそれも、俺みたいな若造よか、このオッサンズのほうがよほど精通してるだろう。
その辺り、うまく対面の|国王《ラスボス》に伝えなければ……。
「はあ……」
ロウソクっぽい照明の置かれた、マーブル模様のでっかい円卓をオッサンズ(2名)と囲む。十字に配置すれば麻雀マットを5枚は敷けそうだ。
そして|対面《トイメン》の魔王閣下、もとい国王陛下が事情を説明してくれる。顔の下から黄色い光を浴びているせいで、顔の陰がとんでもなく不気味な雰囲気を醸してる。
怪談話とかで、懐中電灯でアゴの下から顔照らすやつ。あの照明効果を地で体現してる。
最初にいた赤絨毯の間から、俺はエーテルに引っ張られてこの円卓の間に来ていた。
中学校の教室程度の広さ、真ん中に高そうな円卓を据えた部屋で出迎えたのはコワモテ陛下と、ムキムキマッチョな宰相。
他にいっぱいいた連中は、それぞれ外せない仕事があるとかでここにはいない。
彼らと俺はフカフカの高そうな椅子に座ったが、案内してくれた少年少女は席に着かず、円卓の間の入り口付近で立っていた。
で、お互いの紹介を終えて、あちらがこうなったいきさつを説明したところ。
「納得いかぬ、というご様子ですな」
国王から時計回りに席一つ空けて座る、ムキムキスキンヘッドの素敵な宰相が俺の意を汲む。
「いえ、はい、大丈夫です」
ややしどろもどろな俺の返答にも、宰相は穏やかな表情のまま頷く。名前は、えーと、シュバ、シュタ、なんだったっけ。わっかんねーや。
最初に、赤絨毯の間で『あらせられます』って言ってた人ね。
どの辺が素敵かって? 黒い眉にカイゼル髭はやしてるあたり、素敵だろ。
―――まあ、オッサンがやれ怪しさMAXだのやれ筋肉ムキムキだのってのは、この際些末なことだ。
問題は、そういうトガりきったオッサンたちに、異国の戦士というトガった|役職《みぶん》に祭り上げられていることである。
「左様ですか。ならば、本題に入りましょう」
筋肉宰相が切り出す。
続いて、向かって左、俺の正面に座る国王陛下が、いよいよ暗澹たる微笑みをこちらに突き刺してくる。
「山田様」
「はい……」
俺は思わず居住まいを正す。なんだ。どんな無理難題が飛んでくるんだ。
俺、全然『左様ですか』って気分ではないのですが……!
「今我々は、非常に難しい局面を迎えつつあります」
―――はい。
「国内では若年層を中心とした少数過激な反体制派が破壊活動を企て」
―――一昔前は|日本《ウチ》にもいた気がしますねえ。
「一部では移民に対する差別も根強く」
―――はい。
「北の国境を接する国とは領土問題があり」
―――はい。
「東の国とは歴史認識で溝があり」
―――はい。
「さらにかの国は新しい軍用技術の開発・試験を積極的に進め、国境の安全保障を脅かしているとのこと」
―――……はい。
「このような局面を打開すべく、ぜひあなたに政治顧問を務めていただきたいのです」
思った通りだった―――! それ全部解決できたら俺|我が国《ニッポン》の総理大臣になれるわ!
無茶振りにも限度ってもんがあるでしょう。せいぜい俺ができるのって、官房長官スキル:必殺“遺憾の意”くらいだぞ。
この面白そうな事態に興味はある。ただ、そこで、世界救うとか政治顧問なんて大仕事やれと言われても。
こちとら、自分とこの企業戦士やるだけで手一杯な|一般人《リーマン》すよ。まず平日は|現実《むこう》にいなきゃだし。
そーいう面倒なことは他の|物好き《ゆうしゃ》を|召喚《よ》んでやってもらうことにして、俺は(できればガイドをお供に)、来たい時に来て、適当にその辺観光したりとかってできないかなあ―――。
「いささか役不足な感はありますが、引き受けていただけますかな?」
耳の奥底まで響く陛下の声で、俺は目の前の現実(?)に引き戻される。この俺の何を見抜けば、そこまで買い被れるのか不思議でならない。
俺が政治顧問やるんだったら、少なくとも『指クンッ!』で山ドッカーンできる程度の能力は欲しい。
そう、政治顧問(人間兵器)でありたい。
残念ながら、そういった未知なるパワーに目覚めた自覚がない以上、機智叡智を駆使してなんやかんやする道しかない。
ぶっちゃけそれも、俺みたいな若造よか、このオッサンズのほうがよほど精通してるだろう。
その辺り、うまく対面の|国王《ラスボス》に伝えなければ……。
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