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小説

闇への序曲


 あの事件から数十年経った。
城神京介は結婚し子供を生み、その子供も子供を生んだ。
それが俺、城神隆である。
俺はまだあの事件を知らなかった。
紫苑フェイスターがこの学校へ転校して来るまでは……

「ねぇねぇ知ってる? 紫苑の話」
「ああ、当時の警察が極秘に調査してた未解決事件だろ?
 何でも調査してた警察官がそのこと自体を覚えてないとか
 言い張ってるやつだろ? まじで警察って馬鹿ばっかだよな」
「でも噂では解決できないからって忘れたふりをしてるって話よ。
 ほんっと無責任よね。でも最後の事件がこの高校だったんでしょ?
 でも当時の学生はそのことを覚えていないって言ってるらしいわよ」
「実際本物の幽霊だったのかもしれないかもな」
「やだー。私そう言うの無理だって」

 ここの学生は飽きないのか、毎日紫苑の話ばかり。
俺は入学当時でもう飽きてしまっていると言うのに。
でも、当時この学校におじいちゃんが通っていた。
紫苑についての情報は全く教えてくれなかった。
知らないとは言わないおじいちゃんの言葉に少し疑問を持っていた。
教えないとしか言わないということは知っていると言うことでもある。
実際本当に紫苑と言う女性はいたのかもしれない。
だが、今の俺には知るよしもなかった。