魔法戦争 第一話
Magic of War ~ 魔法戦争 ~
ある日少年は夢を見た。
緑豊かな広大な野原を一瞬で焼き尽くす激しい炎。
剣を突き出す女と下から見上げる男。
周りには凶暴なモンスター達。
そして人間の死体の山。
女が一言見下しながら言った。
「これは仕方がない事。君もわかっていたのでしょう?」
男は何も言い返さなかった。
飛び起きた少年は大量の汗を掻いていた。
自分の部屋を出ると家の中はお祭り騒ぎ。
これ以上人が入れないほどの人達で賑わっていた。
「おっ! 主役の登場だぞ!!」
近くにいた小太りの老人が周りの騒がしい音に負けないほどの大声を出した。
その瞬間、一気に家の中が静まり返った。
「フェイル、お誕生日おめでとう!」
今日は少年「フェイル」の十歳の誕生日だ。
フェイルの祖父ガブリスはこの世界でもっとも慕われている英雄で最強の人物だった。
二十年前のガイラス戦争で魔族に殺されてからこの世界は不安に包まれていた。
そんな時期にフェイルの十歳の誕生日。
この世界では十歳から成人と見なされ、男は戦士として戦う。
ガブリスが亡き今、フェイルと父アランがガイラスの村、いや、世界の唯一の希望といっても過言ではない。
「フェイル、お誕生日おめでとう」
母のミルフィーがフェイルに近寄る。
「ありがとうお母さん。僕今日から戦士としておじいちゃんに負けないぐらい強くなって見せるよ」
フェイルの熱い眼差しに母は何も言わず頭を撫でた。
そんな楽しいガイラスの村のひと時はそう長くは続かなかった。
「敵襲だーー!! バームの大群だーー!!」
男の叫び声と共に鐘の音が村中に響き渡る。
「な、何!!」
アランは急いで家の外に飛び出した。
村の中央にある高さ二十メートルはある木製の見張り台によじ登った。
「アランさん、ぱっと見た感じでも百は超えている。さすがに我々だけでは……」
全長三メートルはある大きなモグラのような化け物バーム。
紫色をした体からは黄土色の液体が染み出ている。
バーム自体は思考能力が無く、ただひたすらに建物や人に襲い掛かるしか出来ない。
どんだけ多くても二十体ぐらいでしか襲ってこないのだが、今日はそれをはるかに上回る量だ。
「うむ……女と子供は急いで隣町のポムに非難させよう。お前は至急ガルセラントに知らせを送ってくれ」
「了解ですアランさん!」
見張りは急いで下へ降りていった。
「これは……あの時以来だな……フェイルを狙っているのか?」
アランが見た光景は二十年前のガイラス戦争を嫌でも思い返させる光景だった。
アランは見張り台から一気に飛び降りた。
急いで自分の家へと向かう。
「みんな! バームがざっと百はいる。戦えるものは急いで剣を取ってそれ以外の者は急いでポムに行く支度をしてくれ!」
家の中は大パニックである。
一緒に騒いでた人達も急いで自分の家へ戻る。
「父さん、僕も戦います!」
フェイルは自分の小さめの剣を取り出した。
「フェイル……お前は母さんと一緒にポムへ行きなさい。父さん達も生きて戻れることは難しそうだからな……」
フェイルは軽く背伸びをして言い放った。
「父さん! 僕も今日でガイラスの勇敢な戦士だ! 一緒に戦わしてください!!」
フェイルの目は本気だった。
アランはミルフィーの顔を伺った。
ミルフィーは小さく頷くしかなかった。
「よし、フェイル着いて来い! だがなんせ敵の数が多い。引く時はちゃんと従うんだぞ!」
「は、はい!!」
アランはフェイルの剣よりも三倍ほど大きな剣を取り、村の外へ走り出した。
やっと戻りつつあった草木を蝕むようにひたすら進むバーム。
戦士達はただ絶望感を抱くしか出来なかった。
「みんなー!! 我々は家族を、仲間を守るためここに終結した。
大切なものを守るため、ここで命落ちようとも必ず死守するんだ!!」
アランはバームの泣き声に負けないぐらいの大声で活をいれた。
「うおおぉぉぉ!!!」
戦士達は剣を高々と上げ、決意を決めた。
「フェイル、今回の任務はあくまで防衛だ。無理と判断したら引くんだ。わかったな!」
「はい、父さん」
アランはフェイルの頭を強くたたきつけた。
「ここでは父さんじゃない。隊長と呼ぶんだ」
「はい、隊長!」
アランを先頭に戦士達は駆け出した。
「行くぞーー!!!」
何時間、いや、何十時間たっただろうか。
時間など考えてる余裕はそこには無かった。
大量のバームと人の死骸が山のように積み上がっていた。
そんな中、バームの紫色の血と人の血の色で赤紫化した体を拭う少年がいた。
「父さん……父さんどこにいるのー!?」
フェイルは生き延びた。
必死で仲間を探すが死体しか見つからない。
フェイルは生存者がいないことを悟るまでそう時間が掛からなかった。
ただその場で立ち尽くすしかなかった。
その時、荒れ狂う波のようにバームの大群がまた押し寄せてきた。
「ま、まだ来るの……」
味方はもう居ない。
フェイルは手に持っていた剣を手放した。
「父さん……」
フェイルはただ俯き、赤紫に染まった地面を見つめていた。
「それでもガブリスの末裔かい? 随分と落ちぶれたもんだな」
フェイルは人の声に驚くように後ろを振り返った。
そこに立っていたのはこの世の者とは思えないほどの大男。
ざっと三メートルはある男は身長よりもさらに長く大きい大剣を持っていた。
「あ、あなたは? ガイラスの人じゃないですよね?」
男はフェイルに耳を貸さず、剣を構えた。
「自己紹介をするにしちゃ居心地が悪い。さっさと片付けてからにしようぜ!」
男はそう言うと一目散にバームの大群の中へ走っていった。
「え!? こんな量を一人で……無理ですよ!!」
フェイルは後を追うように追いかけていった。
携帯用一覧へ 次へ
ある日少年は夢を見た。
緑豊かな広大な野原を一瞬で焼き尽くす激しい炎。
剣を突き出す女と下から見上げる男。
周りには凶暴なモンスター達。
そして人間の死体の山。
女が一言見下しながら言った。
「これは仕方がない事。君もわかっていたのでしょう?」
男は何も言い返さなかった。
飛び起きた少年は大量の汗を掻いていた。
自分の部屋を出ると家の中はお祭り騒ぎ。
これ以上人が入れないほどの人達で賑わっていた。
「おっ! 主役の登場だぞ!!」
近くにいた小太りの老人が周りの騒がしい音に負けないほどの大声を出した。
その瞬間、一気に家の中が静まり返った。
「フェイル、お誕生日おめでとう!」
今日は少年「フェイル」の十歳の誕生日だ。
フェイルの祖父ガブリスはこの世界でもっとも慕われている英雄で最強の人物だった。
二十年前のガイラス戦争で魔族に殺されてからこの世界は不安に包まれていた。
そんな時期にフェイルの十歳の誕生日。
この世界では十歳から成人と見なされ、男は戦士として戦う。
ガブリスが亡き今、フェイルと父アランがガイラスの村、いや、世界の唯一の希望といっても過言ではない。
「フェイル、お誕生日おめでとう」
母のミルフィーがフェイルに近寄る。
「ありがとうお母さん。僕今日から戦士としておじいちゃんに負けないぐらい強くなって見せるよ」
フェイルの熱い眼差しに母は何も言わず頭を撫でた。
そんな楽しいガイラスの村のひと時はそう長くは続かなかった。
「敵襲だーー!! バームの大群だーー!!」
男の叫び声と共に鐘の音が村中に響き渡る。
「な、何!!」
アランは急いで家の外に飛び出した。
村の中央にある高さ二十メートルはある木製の見張り台によじ登った。
「アランさん、ぱっと見た感じでも百は超えている。さすがに我々だけでは……」
全長三メートルはある大きなモグラのような化け物バーム。
紫色をした体からは黄土色の液体が染み出ている。
バーム自体は思考能力が無く、ただひたすらに建物や人に襲い掛かるしか出来ない。
どんだけ多くても二十体ぐらいでしか襲ってこないのだが、今日はそれをはるかに上回る量だ。
「うむ……女と子供は急いで隣町のポムに非難させよう。お前は至急ガルセラントに知らせを送ってくれ」
「了解ですアランさん!」
見張りは急いで下へ降りていった。
「これは……あの時以来だな……フェイルを狙っているのか?」
アランが見た光景は二十年前のガイラス戦争を嫌でも思い返させる光景だった。
アランは見張り台から一気に飛び降りた。
急いで自分の家へと向かう。
「みんな! バームがざっと百はいる。戦えるものは急いで剣を取ってそれ以外の者は急いでポムに行く支度をしてくれ!」
家の中は大パニックである。
一緒に騒いでた人達も急いで自分の家へ戻る。
「父さん、僕も戦います!」
フェイルは自分の小さめの剣を取り出した。
「フェイル……お前は母さんと一緒にポムへ行きなさい。父さん達も生きて戻れることは難しそうだからな……」
フェイルは軽く背伸びをして言い放った。
「父さん! 僕も今日でガイラスの勇敢な戦士だ! 一緒に戦わしてください!!」
フェイルの目は本気だった。
アランはミルフィーの顔を伺った。
ミルフィーは小さく頷くしかなかった。
「よし、フェイル着いて来い! だがなんせ敵の数が多い。引く時はちゃんと従うんだぞ!」
「は、はい!!」
アランはフェイルの剣よりも三倍ほど大きな剣を取り、村の外へ走り出した。
やっと戻りつつあった草木を蝕むようにひたすら進むバーム。
戦士達はただ絶望感を抱くしか出来なかった。
「みんなー!! 我々は家族を、仲間を守るためここに終結した。
大切なものを守るため、ここで命落ちようとも必ず死守するんだ!!」
アランはバームの泣き声に負けないぐらいの大声で活をいれた。
「うおおぉぉぉ!!!」
戦士達は剣を高々と上げ、決意を決めた。
「フェイル、今回の任務はあくまで防衛だ。無理と判断したら引くんだ。わかったな!」
「はい、父さん」
アランはフェイルの頭を強くたたきつけた。
「ここでは父さんじゃない。隊長と呼ぶんだ」
「はい、隊長!」
アランを先頭に戦士達は駆け出した。
「行くぞーー!!!」
何時間、いや、何十時間たっただろうか。
時間など考えてる余裕はそこには無かった。
大量のバームと人の死骸が山のように積み上がっていた。
そんな中、バームの紫色の血と人の血の色で赤紫化した体を拭う少年がいた。
「父さん……父さんどこにいるのー!?」
フェイルは生き延びた。
必死で仲間を探すが死体しか見つからない。
フェイルは生存者がいないことを悟るまでそう時間が掛からなかった。
ただその場で立ち尽くすしかなかった。
その時、荒れ狂う波のようにバームの大群がまた押し寄せてきた。
「ま、まだ来るの……」
味方はもう居ない。
フェイルは手に持っていた剣を手放した。
「父さん……」
フェイルはただ俯き、赤紫に染まった地面を見つめていた。
「それでもガブリスの末裔かい? 随分と落ちぶれたもんだな」
フェイルは人の声に驚くように後ろを振り返った。
そこに立っていたのはこの世の者とは思えないほどの大男。
ざっと三メートルはある男は身長よりもさらに長く大きい大剣を持っていた。
「あ、あなたは? ガイラスの人じゃないですよね?」
男はフェイルに耳を貸さず、剣を構えた。
「自己紹介をするにしちゃ居心地が悪い。さっさと片付けてからにしようぜ!」
男はそう言うと一目散にバームの大群の中へ走っていった。
「え!? こんな量を一人で……無理ですよ!!」
フェイルは後を追うように追いかけていった。
携帯用一覧へ 次へ