Dead After
「果ての大地からの始まりとは……お前よほど悪い事でもしてたのではないだろうな?」
武装した男が俺に話しかけるが俺には何の意味も分からない。
これは夢なのか?
人生でこんなに混乱したことは無い。
果たして俺が今人でこれが『人生』と言って差し支えない状態なのかも分からない。
「そうか、懐かしいな。俺もシンムに来たばかりの頃はそんな感じだったな」
「シンム?」
「ああ、この世界の説明は俺達『無生派』のボスが教えて下さるが
この世界の名はシンム、神が無い世界と書いて神無だ」
「俺はこれからどうしたら良いんだ?」
「まぁ着いたら分かる。もうちょっとだ!」
あの何も無い大地、男の話から察するに名は果ての大地と言うのだろうか。
そこから小一時間歩いた先に土で出来た家々、まるで東南アジアにでも来たかのような錯覚を覚える街が見えてきた。
街の周りは男と同じ武装した兵隊が一メートル間隔で均等に立っている。
まるで一つの大きな王国のようだ。
「C-PS208だ。新人を連れて来た」
男は一人の兵隊に話しかける。
「了解しました。認証しますので少々お待ち下さい」
兵隊はずっと俺を見つめている。
「タイプ特殊、ランクEですね。かけらも新しいので新人さんに間違いありません。
どうぞ、お入り下さい」
そう言うと兵隊は砂で隠してあった地下通路の入り口を開けた。
丁度大人がギリギリ通れそうなほどの小さな隙間しかなかった。
「これほど大きな街なのにここから入るのか?」
「この街は全部カモフラージュだ。敵が攻めて来ても安全なように本物の街は地下にある」
敵、敵とは一体何なのだろう。
最初に出会った女性みたいな人の事を言うのだろうか。
「それでも君は幸運だな。あそこは少しでも欠片を集めようと新人狩りの野郎がたくさん居るんだがな」
男は俺の肩をぽんっと叩いた。
「いやぁ、一人女性と会ったよ。殺されると思ったよ……」
俺がそう言った途端、男は足を止めた。
「あ、あいつかぁ……正義のヒーロー気取りの殺し屋だな……」
「あの人、有名な人なんだぁ」
「ああ、人々は彼女の事をあまりよく思っていない。
少なからずここの住民はな」
「は、はぁ……」
もっと問いただしたいと思う気持ちをぐっと堪え、俺はひたすら続く地下への階段を下っていく。
階段が終わりを告げる。
そこはまるで戦時中を思わせるような薄暗く長い洞窟になっている。
そこに居る人々が震え上がり、まるで俺を殺人鬼を見るような形相で見つめる。
「ここも昔は人々の活気に溢れ、賑わっていたそうだ……」
男はまるで見てはいけないものを見るかのように周りの景色、人々を見て見ぬ振りをする。
「一体何があったんだ?」
俺の問いに答える気は無いようだ。
しばらく狭い一本道を進み奥に着くとある程度な広さのある場所へ出た。
そこに人々の姿は無い。
ただ、何となく俺自身に何かが語りかける気がする。
男はその場所で跪き、何かに祈るように目を瞑る。
「私は……貴方を待っていました」
声が聞こえてきた。
と言っても実際に耳から聞こえてきたのではなく、
どことなく感じると言うか直接頭に入ってくるような感覚だ。
「あ、あんたは誰だ?」
男しか居ないはずなのに感じる声に返答する。
「私はもう存在しない存在。
ここは魂を守る場所。
そして魂が始まった場所。
あなたは知ってるはずですが忘れています。
この世界の始まり、そして終わりを……」
俺にはこの声が言っている意味が分からない。
「昔話をしましょう。それはこの世界が誕生した時のお話です」
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